教科書検定の件で、韓国各紙が『このままでは国際情勢に対処できない』という謎の理屈を出しています。複数のメディアから同じ記述を見つけることができますが、もっとも分かりやすいハンギョレ新聞の記事を紹介します。長く引用しても頭痛(後頭部痛)がするだけなので、該当部分にします。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・米中の競争と、ロシアのウクライナ事態で、世界秩序が急変し、東アジア情勢が危うい時期である。重要な隣国である韓日が関係を改善し協力しなければならないという要求は両国から出ている。 それでも日本政府は佐渡金山の世界文化遺産登載推進を強行したのに続き、歴史教科書を改悪しているのだ。歴史 ワ○キョク歪曲を止め、未来志向的な韓日関係のために責任ある姿勢を見せることを日本政府に促す>>。
引用部分にはありませんが、他のメディアは、北朝鮮問題を持ち出す場合も多く、昨日のソース記事である韓国日報も、相星大使と尹錫悦(ユンソギョル)当選人の面談を『北朝鮮の核問題についての意気投合だった』とし、わずか1日でそれが事実上の台無しになった、と報じています。
未来志向というけど、この『国際情勢』において日韓関係をもっとも邪魔してきたのも、未来志向でした。2018年、国際観艦式に日本自衛隊の艦が参加することで、「旗問題」で騒ぎが起きました。そのとき、国務総理だったイ・ナギョン氏が、こんなことを言いました(2018年10月1日ニュース1)。「今年は、金大中 – 小渕共同宣言20周年であり、これをきっかけに、未来志向的な関係に発展しようという動きが活発である」、「観艦式に日本の自衛隊艦艇が来ることはいい」、「しかし、韓国の人たちの心に旭日旗がどのような影響を与えるか、日本は繊細に考慮する必要がある」。
最近もまた日韓共同宣言の話がよく出てくるので、この記事をチョイスしてみました。このように、一般的な基準に基づいて動く日本に対し、『一般的ではない』ことを持ち出して譲歩を要求したのは、韓国のほうです。言わば、ここでいう未来志向とは、『心情』のことかもしれません。日本が配慮し、その逆は成立しない。これが未来志向なら、そんな未来が何の役に立つのでしょうか。
この前も、心情について書いたことがあります。韓国社会には、具体的に起きた行動にだけ責任を要求するのではなく、そのときに何を考えていたのか、すなわち『心情』にまで責任を取るように要求する風潮があり、一部の専門家がそれを「心情心理」としている、と。例えば、国民投票で大統領が決まったとして、その大統領が弾劾されたりしても、誰もそれを『票を入れた私の責任でもある』とは思いません。『そんなつもりじゃなかった』、すなわち『あんな人だと知らなかった』とし、自分自身には完全な免罪符を与えます。行動より心が重要ではないか、そんな理屈です。
法律は、人の心まで判断したりしません。どんなに悪い心を持っている人でも、具体的に法をやぶるような行動をしないかぎり、処罰しません。契約や条約も同じです。どんな心情、心境だったかより、『締結』まで出来た以上、それを守る責任は両方に等しく発生します。人が個人レベルで『生き方』にするならともかく、いまどきの国家システムにおいて、『心情』を優先するスタンスは、副作用が大きすぎます。これがもっとも著しく現れているのが、日韓関係でありましょう。未来志向なら、それは『ともに』向かうべき未来であり、だからこそ志向する価値があります。一方通行な配慮だけの、国家間の常識、国家間の約束よりも優先される『心』、しかも他人が勝手に決める心なら、それは未来には繋がりません。
そもそも、米中関係において、ウクライナ事態において、そして北朝鮮問題において、いままで日米韓協力に参加しなかったのは、文在寅政府のほうです。いまになって国際情勢がどうとか言うのは、『他に言うことが無いから』ではないでしょうか。それに、配慮してそれで終わるわけでもありません。2018年2月2日地上波放送MBCは、日本の教科書関連で、こう報じました。「日本が『道徳』科目を70年ぶりに復活させました。復活した教科書は、日本を被害者として描写しています」、「西郷隆盛を、日本の発展を導いた英雄として表現しています。他の教科書も吉田松陰や坂本龍馬などを精神的指導者として扱っていますが、伊藤博文などが彼らの影響を受けた後継者です」。
そう、いちいち聞いてやると、坂本龍馬も教科書に載せられなくなります。西郷隆盛も坂本龍馬も、『国際情勢』を理解していた人たちです。そんな痕跡を消すこと。悪者扱いすること。そんな未来が、韓国側が望む『心』、いわば真正性であり、真の配慮であり、志向したい未来であります。さて、そんな未来で誰が得をするのでしょうか。
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