(※追記・・本エントリーを書いた1日後、ペロシー下院議長が新型コロナ陽性となり、台湾訪問などの計画はキャンセルになった、という報道がありました) 米国のペロシ下院議長が、日本を訪れたあと、台湾を訪れることになりました。米国が台湾との安全保障関係を定めた「台湾関係法」の、制定43周年に合わせてのことだと言われています。
ですが、日本側の報道によりますと、もともとは訪日のあと、訪韓する予定だったそうです。今の時期に大事な意味を持つ法律制定43周年ということ、そして、韓国はもうすぐ政権交代ということ、いろいろ理由もあるでしょう。でも、個人的に、最近の『日米韓』という言葉が、『日米台』に比べて存在感が無さすぎる・・そう思っていただけに、ちょっと気になる案件です。韓国では中央日報など複数のメディアが報じていますが、訪韓キャンセルについては直接的な言及を控え、「日本側がそう報道している」としているにとどまっています。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<ナンシー・ペロシ 米下院議長が、10日に台湾を訪問する見通しだと、台湾官営中央社が7日、日本フジテレビを引用して報道した。フジテレビは消息筋を引用し、ペロシ下院議長が8日(現地時間)、米国から出発して日本を訪問し、10日、岸田文雄日本首相と会談を持って台湾を訪問する方に日程を調整したと報じた。ウクライナ事態により、中国と台湾海峡関係でも懸念が出ており、米政府の支持を明らかにするために設けられた緊急決定だと言う。ペロシ議長は当初、韓国を訪問する予定だったが、台湾に方向を変えたことでキャンセルされたと、フジテレビは付け加えた・・>>
「保守派政権になったからもう大丈夫じゃないのか」という主張もあるし、私も、尹政権では韓米同盟に関するスタンス変化があるだろうと思っています。なにせ、文大統領のときにいろいろありすぎましたので(笑)。でも、米国が韓国との関係に疑問を持つようになったのは、実は文大統領の頃ではなく、その前の朴槿恵大統領の頃だった、という指摘もあります。3月のイーデイリーからの引用で、この場合は台湾ではなくオーストラリアですが、キム・ヒョンウク国立外交院教授は、米国はすでにインド太平洋戦略において韓国に対する考えを変えたとし、このように話しています。
<<・・教授は、「朴槿恵政府以来、韓国に対する米国の見方が変わった。過去には、米国は、インド太平洋戦略の核心国家として韓国と日本を名指ししていた。しかし、今は、オーストラリアと日本を言及している。これが、米国が見ている現状の韓国である」と説明した。キム教授は続いて「私たちの地政学的な位置、米国の中国牽制などを勘案すれば、韓米同盟を強化する方向に戦略を修正しなければならない。すでに昨年5月、韓米首脳会談でそうすることにしたのに、それから進捗が無い」と強調した・・>>
すなわち、右派が左派かは、米国からするとどうでもいいことです。次期政府がこれからどんなスタンスを見せるのか、それで米国が韓国を見る「目」が変わる可能性はいくらでもあるでしょうけど、単に保守政権ができて、韓米同盟強化します、と宣言して・・こういうもの『だけ』だと、自由で開かれたインド太平洋戦略において、米国が韓国をパートナーとして選ぶと期待するのは、無理があるでしょう。
皮肉な話ですが、北朝鮮という存在があったから、韓国は韓米同盟のもと、多くのメリットを受けることができました。まだ左派政権とか平和ムードとか、そんな話が出てくるまでは、韓国は国際情勢の中で、少なくとも自分がいるべき場所がどこなのか、どちらなのかは、その方向性を示してはいました。でも、いつからか、「地位」だの「国益」だのという話とともに、その方向性を失ってしまいました。
中国という存在がある情勢の中、『方向性』を示している今のオーストラリアや台湾がもっと重要な扱いを受けるのは、それは当たり前ではないでしょうか。日米同盟は、もう言うまでもなく。この『順番』を覆すには、次期政府にはただならぬ努力が必要でしょう。しかし、はやくも「3NO」を破棄するという話が公約集から消えるようでは・・ちょっと。
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