佐渡島の金山(佐渡金山)の世界遺産登載のことで、外務省がユネスコ委員国に「賛同を要請する書簡」を送ったところ、約半数の国から回答があった、とのニュースがありました。一部の韓国紙が『賛成するという回答』と報じていますが、日本側からは「前向きな反応」となっています(新潟日報『佐渡金山に前向き反応 ユネスコ委員国の半数』)。
まだ佐渡金山がどんなものか知らない国もあるかもしれませんし、賛同を要請する書簡に前向きな回答があったからとして、それらが全て賛成するという意味ではないでしょう。でも、とりあえず10~11箇国(世界遺産委員国は21箇国ですので、約半数)からは前向きな反応が得られた、ということになります。普通は満場一致で登載が決まりますが、投票の場合、ユネスコ委員国21箇国の3分の2、14箇国が賛成すれば登載となります。
で、本題はこちらですが・・韓国側の記事を読んでみると、なぜか「ロシアからまだ回答が来ていない」と、ロシアが反対している内容が記事のメインになっています。ソース記事の「ソウル新聞」もそうですが、一部のメディアは、ウクライナ事態においての日本のスタンス『のせいで』、日本が困ることになった、な書き方をしています。ロシアは、すでに2月、佐渡金山の世界遺産登載に賛成しないと明らかにしています。以下、<<~>>が引用部分となります。
<<・・ウクライナ事態で日本とロシア関係が悪化、日本の佐渡金山関連外交にも支障をきたしていることが分かった。11日、毎日新聞によると、外務省は最近佐渡金山のユネスコ世界文化遺産登載を最終決定する世界遺産委員会所属国家に、賛成意見を要請(※)する文書を送り、約半分の国家から賛成するという回答を受けた。しかし、ロシアからは佐渡金山賛成に対する回答を受けられなかった。自民党佐藤正久外交部会長は8日、世界文化遺産登録を目指す会議に先立ち、記者たちと会って「ロシアから(回答を)得るのはかなり難しいようだ」と話した。
自民党内では、日本とロシアの関係が、世界文化遺産登載の暗礁になることが懸念されている。世界文化遺産登載は、5月頃、国際記念物遺跡協議会(ICOMOS)が書類審査と現地実写を行った後に行われる。その後、21カ国で構成された世界遺産委員会で再審査後、夏までに登載するかどうかを最終決定する。登載には世界遺産委員会で3分の2以上の賛成が必要だが、日本とロシアが委員国だ。韓国は世界遺産委員会委員局ではなく、発言権がない。日本はロシアに対し、プーチンロシア大統領の資産を凍結するなど、米国などと共に制裁強化に参加してきた。これに対抗してロシアは日本を「非」 友好国に指定するなど、両国関係は不安な状況だ。これにより、自民党内ではロシアから佐渡金山賛成票を確保するのが難しいとの指摘が出ていた・・>>
2月、ロシアの外相が「佐渡金山の世界遺産登載の件で、韓国の立場を理解する」と話したことがあります。ニュース1(2月18日)の記事だと、「世界遺産委員国であるロシアが最近、『韓国側の反応を理解する』と韓国側に力を与えるような姿を見せており、韓国政府の内外では『これならやれる』 との話も流れている」など、韓国外交部はかなり盛り上がっていました。の話を報じたりしました。
2月なら、今ほどじゃないけど、ウクライナ関連でロシアが問題視されていた時期です。それに、ロシア外相の発言は、林芳正外相が「日本のLNG輸入量の一部を天然ガス需給の懸念があるヨーロッパに、先に送る」と話した直後のタイミングです。あのときも、「よくこんなときに、ロシアの発言でここまで盛り上がるものだな」と思いましたが・・今回もまた、ロシアが反対しているということをここまでアピールしていいのでしょうか。
最後にオチを少し書きますと・・引用部分の「(※)要請」ですが、これ、原文では「要求」になっています。賛成を『要求』するはずがないでしょう。なんという上から目線ですか、それは。そんな目で日本を見ているからか、それとも「私なら要求する」とおもっているからか・・心が曇っているに違いありません。
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