大してネタも無いし、私見でも書いてみます。尹錫悦(ユンソギョル)氏が外交面において『文在寅氏とは違う』を強調したのは、3つだけです。日韓関係、米韓関係、そして南北関係。南北はともかく、日韓、米韓については、韓国側のメディアは、すぐにでも韓国の『地位(?)』がよくなる、という論調にこだわりました。
日韓関係は、何一つ具体的な話が出ていなしし、いまのようでは何かの進展が期待できそうにありません。何度も同じ趣旨を書きましたが、これは尹氏の大統領としての能力を語る以前の問題で、もっとシステム的な壁があるからです。なにせ、4月10日の「未来志向」エントリーでも書きましたが、教科書検定を『日本が尹当選人を意識してわざやったのではないか』とする話まで出ているぐらいですから、こんな状態で何かが出来るとも思えません。なにより私が感じたのは、『日本側と話し合うための手段(チャンネル、とでも言いましょうか)が、まったく出来ていないようだ』です。ひねくれた書き方をするなら、尹当選人側は、日本側と何も話さず、『関係改善をアピールしたぞ、どうだ凄いだろう』『私が改善すると言ったから、日本も喜ぶに決まっている』とする、そんな不愉快なスタンスでした。これだと、意味がないでしょう。
米韓関係もまた同じです。クアッド参加を既成事実のように主張していた尹当選人と韓国メディアですが、日米からほぼ同時に『参加国を増やすことは想定されていない』と言われて、そこからクアッド関連の話は急に無くなりました。事前に日本または米国と話していたなら、もっと違う表現をしていたはずです。何も調整せず、『とりあえず言ってみた』『私がクアッドに参加すると言ったから、相手も喜ぶに決まっているだろう』な感じの、そんなスタンスでした。
先週、尹当選人側は、米国に特使団(のような訪米チーム)を送りました。いろんな人と会って、いろんな話をしてきたようですし、まったく収穫が無かったとは思えません。ですが、チームが派遣される前には、ブリンケン長官、そしてバイデン大統領との面談の話がありました。これは記事にもよりますが、「バイデン大統領と会えるかどうかが注目される」、などなど。結果的に、そんな面談は無く、帰ってきてからの発表内容もパッとするものが無く(マニュアル的なものばかり)、右寄りのメディアからも、さほど大きく取り上げられることなく終わりました。
今朝にはまた、「尹錫悦氏、大統領就任1ヶ月足らずで米韓首脳会談」、「米大統領が訪韓しての首脳会談」などの記事が溢れました。バイデンたん、韓国行くのかな?と思って読んでみたら、5月に日本に来るという話でした。日本でクアッド首脳会談があるのでまぜ日本でその会議に参席し、帰りに韓国にも寄る、ということです。もちろん尹氏にとっては良い機会にはなるだろうけど、こんなときに限っては「日本に来たついでに」の部分はどうでもいいのか(笑)、などと思いながら読んで、それっきりでした。まぁ良かったじゃないですか、大統領になったすぐ後に首脳会談できて。
ですが、午後すぎ、尹当選人側から、『そんな話は聞いていません。情報ソースは外国メディアです』という発表がありました。ニュース1によると、「大統領職引受委員会は12日、ジョーバイデン米国大統領が来る5月末の訪韓を推進しているという報道に対して、『聞いたことがない』と発表した」、とのことでして。「当選者側と大統領職引受委員会側は、そのような内容を聞いたことがなく、事実と多少違うと聞いている、関連報道も、情報源が海外である」、と。韓国では、速報がいくつも流れるほど、この発表が大きく報じられました。でも、この後にも複数のメディアから「最速で首脳会談!」という記事が出ています。
個人的に、多分、バイデン大統領が訪韓して首脳会談を開く可能性なら、あると見ています。でも、問題はそこではありません。なんでこんな話が「海外の情報」でここまで騒がれるのか。そこが問題です。バイデン大統領が訪日してクアッド首脳会談をすると決まったなら、その時点で訪韓、および(クアッド参加を表明している)尹氏側と会うのか会わないのか、そんな内容も大まかな枠組みは決まったはずです。尹当選人側は、そんな米国側と情報をやり取りするための手段(チャンネル)がまったく無い、という意味になります。
実際、米韓関係において文たんがやらかしたこと、いろいろありますが、特に中国関連において、尹当選人側はちゃんとしたスタンスを示していません。中国に対しては、そこまで強調することはありませんでした。まだ大統領に当選する前に公約に『3NO』破棄に関する内容がありましたが、最終的には消えたそうですし。そんな中、日韓と同じく、米国に対しても『関係改善を強調したぞ、どうだ凄いだろう』としているだけではないのか・・そう思わずにはいられない、今日この頃です。
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