中国の地方銀行、1週間で40行が構造調整で「消える」・・そこから見えるのは

韓国と中国の経済、社会、または金融(特に債務)関連記事を見ていると、その規模(影響力と言ったほうがいいでしょうか)では比較になりませんが、似たような方向性が感じられます。今年1月18日、朝鮮日報が「(青年問題において)このままでは中国は『巨大な韓国』になってしまう」とする北京大経済学教授ルフェン(盧鋒)氏の主張を紹介したことがあります。基本的には青年関連で、「昨年には大学卒業者約1160万人が社会に出て、毎年大卒者規模が最高値を更新しているのに、産業現場では人がいなくて困っている」などの指摘でした。

確かにその点もそうではありますが、他にもいろいろ似ていて・・たとえば、地方銀行などがそうです。韓国の場合、地方銀行もそうですが、貯蓄銀行関連でいろいろおもわしくない話が聞こえてきます。貯蓄銀行とは、普通の銀行より金利が高いけど借りるためのハードルは多少低い、「第2金融圏」の代表格です。韓国に行ったことある方なら、「◯◯貯蓄銀行」という看板をご覧になったことがあるでしょう。銀行と事実上同じ機能(口座に『預金』するなどが可能)をし、名前にも「銀行」と書いてあるのに、実は銀行ではなくノンバンクという変わった金融機関です。

 

で、ここの財務状態関連でいろいろ(いろいろ)あって、政府機関などがいろいろ(いろいろ)重点的に調べている、という話です。まだ結果が出ていませんが、不動産PF(プロジェクトファイナンス)関連の調査ともつながっているのではないか、そんな話もあります。公表されているより状態がいろいろ(いろいろ)あれな債権が多くて、それにそなえて「充当」金を増やすようにする・・とかなんとか。中国でもまた、地方銀行が大きな問題とされています。いままでは、中国の国債を買い支える役割でしたが、最近、いわゆる「構造調整(というか、なんというか)」が始まり、韓国経済の記事(5日)によると「1週間で40行も『消えた』(記事原文ママ)」、とのことでして。また、同紙の8日の記事では、中国政府からの不動産救済金融で、地方銀行は中国の国債を買っているという話も出てきます。今回は、中国の地方銀行関連ニュースを2つ紹介します。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・中国政府が最大級の勢いで小規模地方銀行の構造調整に乗り出している。1週間で40の地方銀行が消えた。「融資債権担保融資リスク」が最高潮だった時にも、このようなことはなかったというのが市場からの声だ。一部の銀行は、帳簿のローンの40%が不良債権だったとされている。4日、エコノミストは中国政府が問題の多い小規模地方銀行を整理するのに苦労していると報道した。米国では1980年代、積極的な融資の増加、不十分なリスク管理、不動産景気低迷などで1000社以上の小規模貸金機関がたおれたことがあり、構造調整が進んだ。

中国では、現在までそのような構造調整の事例はほとんどない。しかし、今は状況が変わったという説明だ。中国政府は多様な改革と統合を行い、2019年以降、中堅銀行だけを整理してきた。3800に及ぶ小規模地方銀行の構造調整は、はるかに複雑な問題だからだ。これらの地方銀行の資産は、中国銀行システム全体の13%である55兆元(約7兆5000億ドル)に達する。長い間、不動産開発会社と地方政府に融資をし、不良債権を量産し、不動産リスクが起きた(韓国経済、5日)・・>>

 

<<・・昨年11月以降、中国国債金利が下落しつつある。10年物国債金利は年2%前後だ。主要国の中で日本の次に低い。通常、経済が成熟するほど国家の信用が上がり、それだけ国債金利は下がる。しかし、中国の信用格付けを考慮すると、国債金利は比較的低い。中国国債金利が下がるのは、需給要因によるものだ。金利と債券価格は逆比例関係だ。国債金利が下がって債券価格が上がるのは、国債供給が減少したり、需要が増加する場合だ。しかし、中国は国債の供給を減らすことができるほど、財政条件がおもわしくない。政府が使う金が多い分、相応の国債を発行する。

中国国債を、西側が買う場合は珍しい。世界3大信用評価会社と世界国債指数(WGBI)などは、中国を評価対象国にしていない。国際信用等級がないだけに、海外主要運用会社は中国国債を盛り込んでいない。それだけ需要の空白が大きい。中国の国家債務は国内総生産(GDP)比300%を超える。この国の経済は債務不履行条件を満たしているが、このようなリスクを乗り越える背景として、中国の地方銀行が挙げられる。これらの地方銀行は最近7ヶ月間、中国の国債を1兆6000億元購入した。前年同期に比べて61%膨らんだ規模だ。

 

4年前の恒大グループ事態以後、不動産と地方製造業の景気萎縮し、不渡り直前に置かれていた地方銀行が、多くの国債を買い入れたこと。これには疑問が残る。国債購入資金はどこから来たのか。主に不動産救済金融資金である。中央政府から支給されたこのような資金は、不動産開発業者に提供されなければならない。不動産を担保とする不良債権を購入した後、流動化させるなど構造調整する財源として活用しなければならない。しかし、地方銀行は不動産救済金融資金で国債を買っている・・・・地方銀行が国債を買うことで、習近平主席と共産党政府を支えているという話も出ている。地方銀行が政府の財政を支えているというのだ・・・・問題は国債市場で急激な金利変動が起きると、リスクも大きくなる。国債価格が下がれば、地方銀行の問題も一層速いペースで進行する可能性が高いのだ(9日の記事)・・>>

記事は、アメリカは地方銀行シリコンバレーバンク問題にちゃんと対処できたけど、いまの中国政府にそのような対策は難しいだろう、ともしています。中国経済・金融になにかあった場合、その影響をもっとも受けるのは韓国でしょう(世界的に大騒ぎになるでしょうけど)。中国が対処できなかった場合、その影響に韓国は対処できるのでしょうか。貯蓄銀行問題なども、国内だけでもいろいろ記事が出ていますが・・もし中国からの影響までプラスされるなら、果たして。

 

 

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