韓国、金利の影響などで個人の破産が急増・・個人再生申請が前年比34.5%増加、「信用回復委員会」への債務調整申請が33.8%増加、など

私の検索の仕方に問題があるのかもしれませんが、家計債務関連のシステムが複雑だからでしょうか。それとも「制度」の外側にいる人が多いからでしょうか。個人が債務を返済できなくなる、いわゆる個人の破産に関しては、様々な制度がありますが、それらをすべてあわせて全体で何人なのかもデータはなかなか手に入りません。たとえば、今年5月に野党議員が分析したデータとして、政府が貸して、政府が代位弁済した金額が13兆ウォン(2023年)に及ぶ、といわれています。これらはどう考えても個人破産関連のデータですが、こういうのまで含めての全体数データはなかなか見つかりません。これは韓国だけなのか、他の国もそうなのかはわかりません。ちなみに韓国では政府(公共機関)がいわゆる政策金融として、青年用、自営業(個人)用などに融資を行っています。

ただ、ちゃんと数が発表され、よくニュースになる数値もあります。全体からすると一部でしょうけど、この場合は「前年比~%増えた」などの比較もできるので、データとしてはいい方です。政府が運用している債務調整特殊法人「信用回復委員会」というのものがありますが、去年18万5000人、今年は5月まで8万人が申請したとのことです。また、もっともよく記事になるのが、『個人回生制度』の件数です。こちらも債務調整関連ですが、こちらは「回生法院」といって裁判所が担当します。数がちゃんと公表されていて、申請者が多いからでしょうか。こちらのほうが、よく記事になります。

 

制度そのものがまったく同じなのか不確かですが、個人回生は、日本の『個人再生制度』と似ており、韓国版個人再生制度ともされます。本ブログ、この個人回生件数を何度かエントリーしたことがありますが、ちょうどソウル新聞(9日)に個人回生の最新データ(今年5月まで)が載っていたので、もう一度取り上げてみます。ちなみに去年9月時点の各記事だと、個人回生の受付は2023年8月まで8万件を超え、2023年総数では12万1017件でした。2022年対比で34%以上増えた数値です。今年になってからも5月まで、2023年同期比で11%以上増加している、とのことです。ちなみに、これは去年関連内容を書く際にとっさにネットで検索しただけですが、2022年基準で日本の個人再生は12864件(申請数)でした。また、朝鮮日報(今日)が先に紹介した信用回復委員会(こちらも数がちゃんと発表されます)も記事にしているので、こちらも合わせて紹介します。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・個人回生(※日本の個人再生制度のようなもの)の申請が1年で30%以上増えるなど、急増している。新型コロナ以降、景気低迷と高金利が続いたせいだ。これにより、少なくとも高等裁判所所在地には回生件を専門的に処理する回生裁判所を設置しなければならないという指摘が多い(※いまもありますが、数を増やそうという話ですが、問題はそこではない気もします)。8日、最高裁判所の裁判所行政処によると、昨年全国15箇所の裁判所に受付された個人回生事件は12万1017件で、前年(8万9966件)比34.5%増加した。今年1~5月にも計5万5335件が受け付けられ、昨年同じ期間(4万9655件)より11.4%増えた。これにソウル・水原・釜山回生裁判所は去る5月に進行した回生裁判所実務協議会で対応案を議論し、裁判所行政処は回生裁判所の拡大・追加設立が必要だという立場を明らかにした(ソウル新聞)・・>>

 

<<・・金融会社からお金を借りた後、返済が難しくなり、信用回復委員会(※2021年から政府が運用中の債務調整機関で、もともとは今年4月まで運営する予定でしたが、延長していまも運営中です)に債務調整を申請した個人が今年に入って8万人を超えたことが分かった。高金利長期化と景気低迷で生活高に苦しむ人が増えたと解釈される。10日、国会立法調査処によると、信用回復委員会の調整制度申請件数は今年5月末基準で8万1060人と集計された。債務調整申請者数は2022年以降大幅に増えている。 2021年に12万7147人だった申請者数は2022年に13万8344人に増え、2023年には18万5143人に急増した。これは前年比33.8%増加した規模だ。

債務調整制度は、延滞期間に応じて迅速債務調整(1ヶ月未満)、事前債務調整(1~3ヶ月未満)、個人ワークアウト(3ヶ月以上)の3つに分けられる。迅速及び事前債務調整は金利調整による延滞利息減免を、個人ワークアウトは最大70%まで元金の蔓延を支援することが特徴だ。 3つの債務調整制度とも共通して償還期間を最長10年延長している・・・・問題は、政府の支援後も借金を返済できず、債務調整の効力を喪失した借主も急速に増えているという点だ。借主が3ヶ月以上弁済計画を未履行する場合、債務調整合意は効力を失うことになる。信用回復委員会債務調整制度の平均実効率は5月末基準で24.6%だ(※すなわち、債務調整してやってもちゃんと返済しない人が24.6%)。2022年(14.3%)と比較して10%ポイント以上上がった。債務調整制度別に見ると、事前債務調整の失効率は29.5%で、30%に迫っている。個人ワークアウトと迅速債務調整の失効率はそれぞれ27.2%、17.2%を記録している(朝鮮日報)・・>>

 

 

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