韓国の経済メディア記者が見た、日韓の「無担保ローン」に関する認識の差

一つ前のエントリーで、私とレナの10年間について書きながらついでに日本の金融資産が2京ウォンを超えたという話もしました。「ついで」の部分と関連した記事があったので、今回はそれを紹介したいと思います。5月24日マネートゥデイという経済メディアの記事で、韓国の「債務」に関する認識を一つの単語であらわしているところが印象的です。一つの単語とはなにか。「当然」です。お金を借りて、それを当然とする社会だ、というのです。そういえば、7月4日、儒教関連の話で「日本語の『はず』が韓国語では『リ(理)』である」としながら、「当為」、当然そうである、そうでなければならない、そんな考え方があって、現実認識と溝がある場合が多い・・そんな話をしましたが、これもその「当然」と同じものかもしれません。

記者は日本の銀行で、銀行員と話した経験などをもとに記事を書いていますが、基本は『本当にこれでいいのか』という問題提起です。銀行で直接聞いた話として、『日本のサラリーマンは、基本的には住宅ローンのような「担保あり」のものだけで、信用ローン(無担保ローン)はあまり利用しない』というのです。韓国でも住宅ローン(買う家をそのまま担保にする、など)は多いですが、いわゆる『借りて、先に借りた分を返す』システムを支えているのは信用ローンすなわち無担保ローンです。この場合はもはやシステム的なもので、サラリーマンなどのカテゴリーともあまり関係ないと思われます(この部分は私見ですが)。そもそも、いままで本ブログで無数に取り上げてきた家計債務関連の内容だけでも、『当然』の領域になっていると見ていいかもしれません。

 

こんな中、韓国メディアがまずしいとか、ゆたかだとか、そんな話をするたびに私がまっさきに思い出すのは、家計債務です。2023年4~6月期のデータで、韓国の「家計債務」集計対象は、家計債務集計対象は1978万人、集計当時金額は1845兆7000億ウォンでした。ちなみに経済活動人口2800万人で、自営業者の一部は集計対象ではありません。家計ローンの「満期一括償還方式」すなわちいつもは利子だけ払って(元金は返さない)満期になったら一気に返済する形のローンが全体の53.7%です。それでも彼ら1978万人の平均DSRは39.9%。すなわち所得の39.9%を債務の返済に使っています。この分は、たとえば平均賃金データなどには、反映されていません。記事は、「いままで政府レベルで『債務を減らす』やり方を繰り返してきたことも、お金を借りることを当然と考えるようになった一因ではないのか、とも書いています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・日本のサラリーマンは、普通、信用ローンを利用しません。銀行では、家を買うときは住宅ローンだけを受けるものだと思っています」。日本で出会った銀行員に、個人信用(※無担保)ローン市場はどうなのかと聞いたら、こんな返事を聞くことができた。日本の銀行は、カードローンの他に信用ローン、マイナスローンなどをほとんど取り扱わず、カードローンの比重もすごく少ないとの説明だった(※最近関連記事では、韓国のカードローンの急増がまた問題になっています)。事実上、個人は銀行で住宅ローンだけを利用するということだ。お金を借りることが蔓延し、『当然』になった韓国の雰囲気と異なるという印象が残った。

国内銀行(※第2、第3金融圏は含めないデータです)家計ローンで信用ローンなどその他の融資の割合は25.8%で、合計237兆ウォンを超える。2021年末には30.8%に達した。特に昨年基準で、30代世帯の場合は3つのうちの1つ(33.3%)が信用ローンを保有している。5年前と比較して5.9%ポイント増えた。問題は、借金には慣性があるという点だ。いったん借金すると返済が難しく、また簡単にお金を借りることができる。難しいと思うたびにローンを削減してくれる政策などが出てくるから、借金に対する警戒心が低くなったという批判も出ている(マネートゥデイ)・・>>

 

記事は、「お金を借りるということは、いいこともあるがリスクもあるという点を、ちゃんと教える時期に来ている」としています。まさか、知らない人もそういないとは思いますが。いままでは、第1金融圏だけでなく、第2金融圏でも大勢の人たちが信用ローン(無担保ローン)を利用していました。普通の銀行から借りられない人たちが第2に行くわけですから、比較的無担保も多かったわけです。しかし、いまは第2でも信用ローンはほぼ難しくなったと聞きます。というか、第2では担保があってもよほどのことがないと新規ローンを出さなくなった、とも。1~2年前、第3金融圏(貸金業者)でほぼ同じことが起き、いまも進行中です。このままいけば、第1もそうなるでしょう。『当然(当為?)』と信じていたものが当然ではなくなったとき、どんな反応になるのか・・それとも、もうすでにそんなときが来ているのか。気になるところです。

 

 

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売中です(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。