韓国バッテリー各社、営業利益が10分の1に・・中国側は好調

今日は、バッテリー産業関連です。「中国メーカーとの協業」「中国メーカーの韓国進出が増えている、中国メーカーはそれで米国の措置を『迂回』しようとしている」などの内容は取り上げたことがありますが、そこまで積極的に取り上げたことはありませんが・・SBSマネートゥデイなど複数のメディアによると、韓国の大手バッテリーメーカー3社の営業利益(上半期)が、去年比で10分の1になった、とのことでして。去年もパッとしない実績だったと聞いていますが、その10分の1になったわけです。

特に、半導体では好調のSKグループの「SKオン」の場合、大幅な赤字が出ており、一部のメディアは「SKグループ全体の流動性問題に発展する可能性がある」とまで指摘しています。この部分は毎日経済(毎経エコノミー)の7月25日の記事からですが、20兆ウォン以上を注いだのに、まだ赤字だとのことでして。記事は「SKオンは、SK流動性危機の震源地とされる」としています。複数のメディアは、これを「電気自動車の一時的な需要減少によるもの」としていますが・・確かにそういう側面もあるでしょうけど、その中でも中国メーカーはシェアを伸ばしており、韓国内でも中国メーカーのバッテリーがシェアを急激に伸ばしています。これが、一時的な現象でしょうか。

 

2年ぐらい前から、決して多数とは言えないものの一部の専門家たちが、「構造的な変化」というフレーズを使うようになりました。ざっくりまとめてみると、たとえば去年半導体が大幅なマイナスになったときにこんな話が多かったですが、「好況・不況サイクルの影響を強く受けるので回復することもあるしまた下がることもあるだろうけど、明らかに『構造的な変化』が起きており、その流れに乗ることができないでいる」という趣旨です。中国との貿易そのものが、いままでのように、あたりまえのように黒字が出せる状態にはならない、中国メーカーの技術力をあまくみる傾向がある、などなどです。

個人的に、昨日取り上げた電気料金もそうですが、家計債務などもまた、構造的な変化が明らかに起きており、それは長いスパンで見ると肯定的な変化とは言えないものばかりです。特に、それらの構造的な変化の中でも注目されるのが、半導体やバッテリーなどでの中国メーカーの技術力向上です。いまも韓国の半導体輸出は3割以上が中国へのもので、バッテリーも中国との協業が最近になって大幅に増えています。日本、中国、台湾など「世界的なサプライチェーン改編」において韓国の立場があいまいだという指摘もまた、韓国内で無数に提起されています。チップ4という言葉が消えたのも、そのためでしょう。

 

いまでも韓国メディアの「経済安保」関連記事を読んでみると、経済安保を「経済と安保を並べただけ」と認識しているものが多く目につきます。中には、「超技術力をもっている私たちは、わざわざ米国か中国のどちらかを選択する必要はない」というものも、まだまだ目につきます。そんな中、半導体とともにかならず「超技術力」のたとえになっていたバッテリーが、半導体より早く「構造的な変化」に来たのではないか・・LCDみたいに。そんなところではないでしょうか。もちろん、まだ「そこまで」言うレベルには来ていません。短期間でみると、こちらも好況不況のサイクルはあるでしょう。でも、長期スパンの流れはもう決まっているではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。最後に重要な告知があるのでぜひお読みください。

 

<<・・K-バッテリーが今年上半期稼いだお金が前年比10%水準に下がった。キャズム(Chasm、一時的需要鈍化)の影響を受けたのだ。企業は中・低価格製品ラインナップ強化から投資スピード調整まで方法を総動員するという。30日、関連業界によると、国内バッテリー3社の今年上半期の営業利益総合は1500億ウォン水準と推算される。 LGエネルギーソリューションは3527億ウォン、サムスンSDIは5476億ウォンの営業利益を上半期に記録した。1~3月期3315億ウォンの赤字だったSKオンは、4~6月期にも約4200億ウォンの営業損失だったと思われる。バッテリー3社の営業利益は昨年比10分の1水準に減った。昨年上半期バッテリー3社の営業利益総合は1兆4431億ウォンに達したが、1年ぶりに状況が反転した。 LGエネルギーソリューションは、今年の売上目標を「一桁数成長」から「20%以上減少」に下げた(マネートゥデイ)・・>>

 

<<・・資本力だけでなく技術力まで備えた中国企業が、海外市場で影響力を高めています。大統領選挙を控えた米国が中国に向けて連日のように圧迫を高めているにもかかわらず、中国企業は着実にシェアを伸ばしています・・・・国内でもCATLのLFPバッテリーを搭載したテスラのモデルYが大人気でした。CATLは今年、中国を除くグローバル市場でもLGエネルギーソリューションを抜いてシェア1位になりました。内需市場に続き海外市場まで手に入れています。国内のバッテリーメーカーは遅れて中国が主導するLFPバッテリーに飛び込んだものの、最も速いと評価されるLGエネルギーソリューションも来年末に供給を開始します。アメリカの牽制にも、中国のバッテリーの好調は当分持続するという観測が出てきます(SBS)・・>>

 

で、「重要な告知」です。少し早いですが、夏休みをいただくことになりました。普通ならお盆休み期間中に休むもんだろう・・といったところですが、前に話した「レナパパ10周年」の件もあるし、わざわざ人が多いシーズンに動く理由もないので、今日の午後から8月3日まで、更新を休むことになりました。次の更新は、8月4日の11時頃になります。それでは、行ってきます。相変わらず暑いけど、皆様も良き夏を。

 

 

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