韓国、政府同意なしに「全国民(約)3万円支援」が国会通過・・やるなら財源は赤字国債か

更新再開します(緊張)。ええと、前から野党側が主張していた、「全国民約3万円支援金」(詳しくは25万ウォン~35万ウォン)が、国会を通過しました。去年あたりから本ブログでも取り上げていますが、韓国政府の財務状態はそうおもわしくありません。去年には、半導体投資の税額控除において、与党はもっと高い控除率を、野党は低い控除率を主張して対立していた頃の話です。当時、あくまで一部メディアの取材によるもので公式発表ではありませんが、政府(企画財政部)が野党側よりも低い案を出して、与党はもちろん野党もびっくりした、という話もあります。野党が「そ、それなら別にいいけど」と同意し、あとでユン大統領が案を戻したりしました。

そんな中、この「全国民約3万円」案に与党・政府が賛成するはずもないですが・・野党側は2日、この案を国会で通過させました。朝鮮日報によると、もしやるなら、財源は赤字国債になるしかないとのことです。また、そもそも財政権が政府にあるので、政府が同意していないのに国会が金額まで決めてこの案(詳しくは引用部分にて)を通過させることは、そもそも三権分立からみてどうなのか、とも、三権分立。文政権のときに、本ブログだけでなくいろんなところでこの単語が流行語みたいになったこともありますが・・確か、コメント欄には三権「文」立という言葉もありました。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・巨大野党であるともに民主党が、全国民に25万~35万ウォンを支給する「民生回復支援金支給特別法(以下25万ウォン支援法)」を2日通過させたころで、経済学界からは憂慮の声が大きくなっている。経済学者たちは支援金を実際に支給するには赤字国債を発行しなければならず、物価を刺激する恐れがあるという点で考え直すべき政策だとしている。支援金で物価が上がると、支援金の消耗後庶民家計の負担がより大きくなるという指摘も出た(※物価についてはそこまで影響ないという主張も出ています)。支援金が小商工人・自営業者の店で使われるのではなく、相対的に輸入構造がしっかりしている大型店舗や塾、病院などで集中的に支出され、支援金の目標である小商工人支援効果は期待できないという批判もあった・・

 

・・キム・ジョンシク延世大経済学部名誉教授は「全国民支援金の最大の問題は財政赤字が増えるということ」と指摘した。企画財政部によると、昨年の国家債務は1126兆7000億ウォンで、1年ぶりに59兆3000億ウォンが増加した。国債の規模が急速に増加する中、ユン政権が返済すべき国庫債の規模も増えている。ユン政権が今年から2027年の任期まで返済すべき国庫債規模は319兆5000億ウォンに達する。文在寅政権が発足した2017年だけでも、2027年の満期到来国庫債規模は約115兆ウォンに過ぎなかった。文政権の財政支出拡大の影響で返済すべき国庫債の規模が3倍近く増加したわけだ。ハ・ジュンギョン漢陽大学経済学部教授は「税源を確保して調達すれば大きな問題はないだろうが、赤字国債で充当するとなると結局財政に負担を与えることになるだろう」とした・・

 

・・予算執行に関する特別法を国会が立法で推進することをめぐって、財政権は政府にあるという指摘も出ている。憲法の三権分立に合わないということだ。憲法第57条は「国会は政府の同意なしに政府が提出した支出予算各項の金額を増やしたり、新しい費目を設置できない」と明示している。この条項によると、国会が自ら25万ウォン支援法を処理し、政府に予算執行を要求することは違憲の可能性がある。これに関連して、ジャンヨンス高麗大学法学専門大学院教授は先月16日、国会で開かれた「民生克服特別措置法(全国民25万ウォン支援法)」公聴会で、「政府が予算編成権を持つことは国家財政の最も核心的な権限が政府に付与されているということであり、財政の編成及び運用で政府が主導的な役割を果たすという意味だ」とし、「現行憲法上財政権は原則的に政府にあり、国会はこれに対する統制権を行使できると理解される」と話した。 それと共に「民生支援金25万ウォン支給立法は政府の権限に属する財政編成及び執行を事実上国会が立法で決定することであり、三権分立の原則に合わない」と付け加えた(朝鮮日報)・・>>

 

政府の財政となると日本も米国もと言われそうですが、「ある程度の経済規模で、ハードカレンシーを持っていない国」だけをまとめたデータがあります。ハードカレンシーを持っている国とそうでない国を比べたところで意味がないから、似たような状況の国々同士で見たほうがいい、という趣旨です。IMFが先進国と分類している35カ国のうち、ドル、円、豪ドルなどを使わないノルウェー、ニュージーランド、デンマーク、韓国、香港など11カ国で関連データが作られていますが、2023年10月15日中央日報などが伝えた情報によると、韓国が4位で、しかもその増加スピードがもっとも早く、5年後には2位になるとIMFから指摘されました。

各国のD2(政府債務、地方政府債務、非営利公共機関債務)を比べた結果、2023年で韓国が4位で、しかもその増加スピードがもっとも早く、5年後には2位になると指摘されました。これらの国は、普通は(新型コロナ期間など特殊な状況以外では)D2債務でGDPの40%台を維持するのが普通ですが、韓国はまさに急増し、2023年発表で53.8%でした。ちなみに、シンガポールが不動の1位です(160%オーバー)。

さて、与党とユン大統領はどんな反応をするのでしょうか。北斗三権で押し通すのか、それともまた案を戻すのか・・いや、戻せるのか。支持率はどう動くのか。野党としては、むしろ与党側が反対するのを喜んでいないか、いろいろ。気になるところです。共に民主党は他にも、文政権の最低賃金引き上げのパワーアップ版のような政策を言っています。次にエントリーするかもしれません。

 

 

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