「浴衣を着る」「けん玉で遊ぶ」「人気キャラのコスプレ」など日本文化体験イベントが、「情緒」を理由にキャンセルされる社会

まったく話題にはならないでいるニュースです。とある地域の、時期的な問題かもしれません。でも、私はこういうのを『そういう問題ではない』と思っています。そういうこともあって、ちょっと取り上げてみます。韓国でも外国人、または外国人と結婚した人の家庭が増え、一般的に『多文化家庭』と言います。各自治体や市民団体が多文化家庭のために住民向けイベントや話し合いなどを開催することも、もう珍しくありません。そんな中、仁川広域市の、とある区でのことです。区はソウル特別市や各広域市など大きな都市の行政区域の一つです。

その区で、各国の文化体験イベントを1ヶ月ずつ行うことにしました。多文化家庭の人たちがメインになっていますが、区庁主催のイベントです。7月は韓国、8月は日本、9月は北米圏、10月は中国やベトナムなどアジア圏の文化を体験できる、児童向けイベントです。詳しくなにをするのかまでは分かりませんが、本件を紹介するノーカットニュースの記事によると、「浴衣を着てみる」「日本の伝統おもちゃで遊ぶ(けん玉)」「人気漫画(アニメ)のキャラの衣装を着てみる」などです。最後のはコスプレというより、おもちゃ売り場などでよく見かける子供用の・・なんというのでしょうか、キッズコスチュームというのかな、そんなものではないかな、と思われます。日本アニメや特撮などのおもちゃは、どこの国でも人気ですから。

 

ですが、『なんで私たちの子供たちが日本の服を着ないといけないのか(記事原文ママ)』『そのまま(子供たちを日本に)帰化させたらどうか』という電話が相次ぎ、結局、区庁はこのイベントを『日本だけ』キャンセルしました。主な理由は、『情緒を理解すべきだ』『(8月15日がある)8月だから』です。コメント欄はもちろんのこと、専門家も『開催しようとした方に問題がある』という趣旨で話しています。たまに、コメント欄に『これとそれとどういう関係があるのか』というコメントもあるにはありますが、コメント欄などを見ると、多勢に無勢といったところです(いつもはURLから記事の日付が分かるのでDAUMの記事をよく引用しますが、コメントの数で今日はNAVERを選びました)。最近、この手のニュースが目立たなくなりましたが、それは言葉通りの意味で『目立たなくしただけ(負担を気にしている)』だけ・・個人的に、そう思っています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・住民たちの反発が続くと、行事は結局取り消された。区の関係者は「電話をたくさん受け取り、キャンセルした」と伝えた。取材を総合すれば、当該行事は多国籍5人で構成された住民コミュニティーによる行事だ。5月区の同体支援事業に選定され、7月から5ヶ月間、合計約400万ウォンを支援される。先月韓国文化紹介からスタートし、8月は日本、9月北米圏、10月は中国・ベトナムなど東アジア文化を紹介した後、11月は韓国生活定着を助ける活動で終わる予定だった。区庁側は「地域に多文化家庭や結婚移民者家族などが多いため、グローバル事業に対して政策的に多くの支援をしている」と説明した。該当行事も「日本文化行事というより、社会統合のためのものだったのだ」と強調した。

多文化社会統合のために特定文化に対する感情を克服しなければならないという声が出ている。ジョン・ユン多文化政策研究所所長は「多文化に対する体系的な教育が必要だ」と話した。ジャンギョンハ慶熙大学児童家族学科教授も「すでに多文化社会で、お互いを構成員として受け入れ、統合のためのアプローチが必要だ」と提言した。ただし、専門家たちはこの過程で、片方の一方的な理解ではなく、相互間の理解と教育が必要だと強調した。ジョン教授は「大韓民国があり、各国文化が入ってくるのだ」とし「彼らにも8月15日のような私たちの文化を教えなければならず、施行する側も、そんな情緒を考慮しなければならない」と話した。ジャン教授も「行事を企画する時点(8月)について考慮できず、イベントが取り消されるしかなかったという点に残念だ」とし「慎重に考慮しなければならなかったのに」と話した(ノーカットニュース)・・>>

 

区庁側は、こういうイベントにはテーマについていろいろ教えてくれる方が必要だが、そういう先生たちの日程とかをすべて考えて8月にしただけだ、と話しています。というか、これが本当に8月の問題でしょうか。ある意味、とても率直な反応の記事だ・・そんな気もしますが。特に、専門家たちが、取り消した側ではなく、主催した側に対して『もっと考えるべきだった』と指摘している部分が。「自国の文化あってのものだ」という見方だけは確かにそうですが、こういうのを文化と言われましても。それならまず日本旅行をなんとかすべきでは。家族旅行も多いことですし。

日本で暮らすようになって、日本人になって、毎日毎日、体中・頭中の『曇り』が抜けていくのを感じている私ですが・・ですがというか、だからこそかもしれませんが、いつもより段違いに悲しくなって、エントリーしてみました。全体のイベントがキャンセルされたらともかく、日本『だけ』キャンセルされたことで、該当地域の日本人、特に子どもたちはなにを思うのか・・胸がくるしくなるばかりです。今日の更新はこれだけです。ちょっと海の風にでもあたって、次の更新は明日の11時ころになります。

 

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