トランプ大統領の中国関連関税措置、実現すれば韓国の中国への中間財輸出が6%減少

現実問題として、中国経済は世界に大きな影響を及ぼしています。米中対立だけでなく、中国内部経済が世界各国に及ぼす影響も大きいし、その影響をまったく受けない国は地球にはないかもしれません。ただ、似たようなテーマの話が出るたび、「もっとも大きな影響を受けるのは韓国経済だ」という指摘は概ね共通します。家計債務による不動産投資と、中国経済との連動(安米経中の『経中』)。少なくとも2000年代になってから、この2つが韓国の経済システムをリードしてきましたから。そんな中、本ブログでも何度も取り上げましたが、中国と韓国の間の貿易の『構造』そのものが変化したという話も聞こえてくるようになりました。構造と言ってももっともわかりやすいのが、中間財の存在です。

韓国が中国に中間財を売り、中国が完成品を作る(本当はもっと複雑でしょうけど、大まかな流れとして)。これが、韓国が中国を競争相手と見なかった大きな理由でもあります。どちらかというと、韓国は中国を『市場』、出せばものが売れるところと認識してきました。個人的に、2023年12月14日東亜日報に書いてある、「対中輸出と関連して『1人当たり1個だけ売っても14億個売れる』としていた期待は、もう古い幻想に過ぎないのだ」という文章は、本当に傑作だったと思います。記事は、「今年、韓国の対中貿易収支が31年ぶりに初めてマイナスになる見通しだ」としながら、「これまで半導体などに隠されていただけで、中国の産業競争力が急速に追いついてきて、中国で売れる商品が減ったのがもっと根本的な原因だ」と分析しています。中国産中間財が、韓国産を急速に置き換えているというのです。

 

そんな中、中央銀行「韓国銀行」が、いま米国のバイデン政権、そして次の政権、たとえばトランプ氏が発表している対中輸出関連の関税措置が全て実現すれば、韓国の中国への中間財輸出が6%減少するだろうという分析を出しました。イーデイリーなど、結構多くのメディアが取り上げています。詳しくは、『対中輸出連携生産』です。個人的に、見通しがちょっとあまいのではないか、そんな気もしますが、『そうだとして、じゃ、どういう選択をするのか』が気になるところです。ついこの前、政府が発表した通商政策ロードマップは、グローバルサプライチェーン再編より明らかに自由貿易、FTA拡大をメインにしていました。

本ブログでも取り上げましたが、それは5月の日中韓首脳会談で、中国側が積極的に主張していた内容とほぼ同じです。表面的には自由貿易をかかげているけど、結局は米国やEUなどが行おうとしている対中貿易関連措置に反対する流れを作っていたわけです。今回の中央銀行の分析は、はたして、「だから、自由民主主義陣営のグローバルサプライチェーンにもっと積極的に加入しよう」な趣旨なのか、それとも、通商政策ロードマップを間接的に支持するためのものなのか。明記されているわけではありませんが、なぜか私は一瞬で「あ、後者だろうな」と思ってしまいました。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・米国の対中国関税引き上げ措置は、韓国の対中輸出と輸出連携生産を3~5%減少させると推定された。特にドナルド・トランプ共和党候補側で公言した通り関税引き上げがなされた場合、韓国の対中輸出と輸出連携生産が6%以上減少することも分かった。韓国銀行は26日、「サプライチェーンの連携性を考慮した対中国輸出評価と示唆点」という経済展望報告書を通じてこのように明らかにした。対中輸出は商品およびサービスの直接輸出を意味するが、輸出連携生産とは、最終需要に対そ、中国生産に投入される韓国の中間財生産と定義することができる。つまり対中輸出連携生産は中国の最終生産に連携する韓国の直接・迂回中間財輸出を意味するものだ。

グローバルサプライチェーンを通じた生産連携性を考慮した輸出連携生産の面で、中国が占める比重は輸出統計比10%ポイント高くなる。2020年基準の対中輸出比重は25%であるのに対し、輸出連携生産で中国の比重は35%に達した。対中輸出が2010年代以降、半導体以外では停滞したのとは異なり、輸出連携生産は2000年以降年平均国内総生産(GDP)比1.3%、2010年以降0.9%増えるなど堅調な姿を見せた。ただし、韓銀はこのような韓国と中国との生産連携性の増加傾向が維持する可能性は高くないと分析した。今後、世界経済と中国の成長が改善した場合に短期的に肯定的な流れを見せるだろうが、中間財において中国の自立度向上と生産基地の東南アジア移転など、生産構造の変化で、いままでのような好調を期待することは難しいという判断だ・・

 

・・韓銀の分析によると、米国の対中関税引き上げで、韓国の対中輸出と輸出連携生産がそれぞれ2.6%、2.5%減少するものと推定された。関税引き上げに欧州連合(EU)が参加する場合は、それぞれ4.8%、4.3%減少することが分かった。特にトランプ候補が11月、米国大統領選挙で当選、これまで公言した、すべての国家からの輸入に対する10%関税、中国に対する60%関税が現実化する時、韓国の対中輸出が7.0%、輸出連携生産が6.7%減少すると調査された。報告書を作成したチェジュンハンは調査局マクロ分析チーム課長は、「昨年下半期から対中輸出が回復している中、今後中国の成長フローチャート改善されれば短期的には需要要因によって輸出連携生産が肯定的な影響を受けることはある」とし「生産構造の変化による下落要因が持続しており、いままでのような好調を期待することは難しいという点に留意する必要がある」と話した(イーデイリー)・・>>

 

 

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