韓国、民間が借りた資金を政府や公共機関が返済する不思議な状況に

以下、複数のメディアからそれぞれ別のデータを引用しているので、その点ご理解願います。たとえばある案件では「金額」の話ですが、別の案件では「延滞率」や「回収できなかった金額」の話だったりします。ただ、共通しているのは、韓国で政府や公共機関、またはそれに準ずる財団(政府や自治体などからの資金で運用されている各地域の「信用保証基金」など)が、「民間が借りた資金を代わりに返済(代位弁済)していて、その分の回収もちゃんとできないでいる」ことです。いくつかの案件が出てきますが、すべて「兆ウォン」単位です。5月に、同じ話として「13兆ウォンを超えている」という話もありました。

国会議員が分析したデータとして、政府機関が貸した「政策庶民金融商品」(政府が保証したりして、普通の金融機関ではちゃんと借りられない人たちをサポートする金融商品)関連で、政府が代位弁済した金額が2023年13兆ウォンを超えた、と。ノーカットニュースチャンネルAファイナンシャルニュースとソース記事も複数ですが、今回は、それぞれの記事が別の案件を取り上げていて、あるものは勤労者向けの政策商品、あるものは自営業者のための低金利ローン、あるものはジョンセ(伝貰、家を借りる制度)のための資金の政府保証関連ですが、どれにせよ、延滞、代位弁済が大幅に増えており、特にジョンセ資金の場合は、政府機関が代位弁済した金額の8%しか回収できなかった(基本的に、代位弁済した分は後で借り主から回収します)とのことでして。2017年には、100%だったそうです。以下、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・今年、小商工人(※業種によるが、常時勤労者5人未満、製造業・建設業などは10人未満)が返済できず、地域信用保証財団が代わりに弁済した銀行借金が急増した。23日、国会行政安全委員会所属ともに民主党ヤンブナム議員が信用保証財団中央会から受け取った資料によると、今年1~7月に信用保証財団の代位弁済額は1兆4450億ウォンで、昨年同期比59.9%も増えた・・・・弁済額は2021年4303億ウォンから2022年5076億ウォンに小幅増えたが、昨年は1兆7126億ウォンまで跳ね上がり、今年も急な増加曲線を描いている。件数も今年1~7月9万8千件で、昨年同期より69.3%増加した。この件数も2021年2万2千件から2022年3万1千に増えたが、昨年11万2千件に急増し、今年も大幅に増えている(23日ノーカットニュース)・・>>

 

<<・・住宅保証都市公社(HUG)は、「ジョンセ保証保険」に加入した人々を対象に、大家からジョンセ保証金(※ジョンセで家を借りるために大家に預ける預け金のことです。契約期間が終わると家を借りた人に返却することになっていますが、大家は基本的にその金をどこかに使ってしまうため、返せなくなる問題が多発しています)を返してもらえなかった場合、預け金を代わりに払い、そのお金を大家から回収する代位弁済制度を施行しています。具体的に回収率は2017年には100%を記録していたものの、2018年95%、2019年91%、2020年74%、2021年52%、2022年29%、2023年15%、今年は8月までで8%を記録しました。弁済額の規模は2017年に34億ウォンだったものが2023年に約3兆5000億ウォンに約1000倍上がりました。結局、賃貸人に代わって賃借人に支払うお金の規模はますます大きくなっていますが、いざ賃貸人からお金を受け取ることができずにいるのです(16日チャンネルA)・・>>

あくまで韓国での一般論ですが、住宅を多数所有していて、その家を貸す賃貸人(大家)の場合、「人からもらった預け金に、新しく受けたローンなどを合わせて別の家を買う」パターンが多いため、賃借人に預け金を返せなくなる可能性が高いとされています。その「他住宅所有者」関連でも、HUGが保証した金額は26兆ウォンに及ぶとのことです。

 

<<・・信用度の低い会社員に低金利(※といっても9%台ですが)で融資する政策金融商品「労働者日差しローン」の延滞率が13%近くまで上がったことが分かった・・・・23日、国会政務委員会のミンビョンドク委員(ともに民主党)が「庶民金融振興院」から受けた資料によると、労働者日差しローン借主が貸出金を返済できない場合、庶民金融振興院がこれに代わって返済する代位弁済率が、今年4~6月基準で12.7%を記録した。代位弁済率は2020年10.5%から2021年10.6%に上昇し、2022年10.4%に小幅下落した後、2023年12.1%に反騰した。議員は「高物価と景気低迷が長期化し、家計の返済余力が減り、高金利基調が続いたため」と説明した。労働者日差しローンは年所得3500万ウォン以下の会社員で、個人信用スコア700点以下の人が利用できる(23日ファイナンシャルニュース)・・>> 

この記事には金額は出ていませんが、庶民金融振興院は、代位弁済が増え過ぎで(資金が足りなくて?)、元金の償還を1年猶予することにした、とも。先「政府・公共機関の代位弁済が13兆ウォン超えている」という話を紹介しましたが、それが基本的にはこの「なんたら日差しローン」のことです。政策金融商品として、多くの種類がでていて、青年用、勤労者用、自営業者用などなどがあります。個人的に、いつも不思議に思っているのが、家計債務など関連ニュースで、『発表される延滞率が不思議に低い』ことです。韓国内でも『満期延長を繰り返して、問題がないように見せているだけではないのか』などの指摘は出ていますが・・今回の件も、その不思議の一因かもしれません。

 

 

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