韓国の油田・ガス田プロジェクト、政府機関が不利な内容の資料を隠蔽か

「大王クジラ」というプロジェクトネームで呼ばれている、韓国浦項あたりのガス・油田。日本の企業も説明会に参加したとかそんな話もありますし、政府機関(韓国石油公社)は日本の企業にも強くアピールしているとかそんな記事もありましたが・・ひさしぶりに続報があったので、まとめて紹介します。まず、開発会社(投資主管社)を決めるための入札がうまくいかなかったようだ、という話です。すなわち各企業がちゃんと集まってくれなかったということでしょうか。朝鮮日報、9月12日です。次は、JTBC(10月3日)の記事で、世界1位とされる試錐企業とされるシュルンベルジェ(Schlumberger)社が、「相当なリスクがある」との報告書を出していたのに、担当機関である石油公社はこの内容を国会に提出せず、非公開のままにしていたとのことです。

石油公社が分析を依頼しての報告書だったのに、後で「可能性がある」とした、無名のアクトジオ社のものだけソースにし、世界1位試錐企業の報告書は公開しなかったわけです。やっと国会に提出したけど、重要な部分は削除されていた、とも(多分、機密かなにかの理由だと思われます)。また、国際地質科学連合(記事で言う世界地質科学)総会で、「11兆ウォンの収益」と発表し、そのまま報道が出たのに、報道が出たあとに「以前の算定値で、最近の算定値は無い」と話を変えた、とのことでして。これ、ひょっとして、まず報道に載せてもらうために「とりあえず発表」しておいたのではないでしょうか。朝鮮日報の記者も、本当にこれでいいのか、とちょっとあきれた論調です。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・政府は油田開発事業を発表し、米国企業のアクトジオの分析結果を根拠にしました。ところが、アクトジオに先立ち、世界1位の石油試錐企業も石油公社の依頼を受けて分析を進め、「リスクが相当だ」という結論を下した事実が明らかになりました。それにもかかわらず、政府はこの結論自体を非公開処理したと把握されました。政府は6月に油田事業を発表し、成功の可能性について具体的に言及しました。【チェ・ナムホ/産業通商資源部2次官(昨年6月10日)「20%の成功率であれば、事実は個々のファクト要因を見たときは、成功率が高い。既存に蓄積された資料を総合的に分析したため、十分に試錐できるレベル・・・」】、根拠は昨年末に完了したアクトジオの分析結果でした。ところがアクトジオに先立ち、2022年末に世界1位の石油試錐企業であるSchlumbergerが石油公社の依頼を受けて分析を行ったことが把握されました。ウッドサイドと石油公社の探査有望性関連資料を再評価するサービスでした(※もともとこの海域の油田・ガス田を調べていたのはオーストラリアの最大手とされるウッドサイド社ですが、可能性が低いと見て撤収しました)。

 

ところが、石油公社はSchlumbergerの分析結果報告書を受けても、これまで非公開し、国政監査を控えて国会に提出しました。それも、成功の可能性の数値など、主要な部分は削除して出しました。それでも、おもわしくない見通しが目立ちます。結果部分に「最も肯定的な地域にも相当なリスクが存在する」とか「該当地域に対する理解度が低すぎる」など。これに先立ち、16年間該当地域を探査したウッドサイドも「事業性が低い」と撤退したことがあります・・・・これに対して石油公社は「Schlumbergerとアクトジオ用役は目的と内容が完全に異なる」と主張しました。しかし取材陣が入手した両方の用役計画書には、分析地域が同じで、目的も同じ「探査戦略樹立」という趣旨で書かれています。これに対して石油公社は「先の解明以外に付け加える言葉がない」と述べました(JTBC)・・>>

 

<<・・その1。「深海ガス田開発事業の投資主管社になる意向がある、と意思を明らかにしたところが10カ所以上だ。主管社募集準備手続きは事実上、仕上げ段階に入っている。9月2日入札公告を掲示する予定だ」(キムドンソプ韓国石油公社社長)。「深海ガス田投資主管社の希望企業を打診中であり、まだ確定していない。入札公告日は5日に延ばされた(その翌日、石油公社説明)。その2。「第1ガス田以降、4倍規模の新しい油田発見を通じて11兆ウォン規模の収益も期待できる」(韓国石油公社国内事業開発処長)。「11兆ウォンは前にガス田の埋蔵量を土台に算定した予想売上額だ」(発表当日、石油公社解明)。最大140億バレルの石油・ガスがあると推算される深海ガス田試錐を控え、石油公社の立場が迷走している・・

 

・・先月末、釜山ベクスコで開かれた「2024世界地質科学総会(IGC)」の関連セッションは、事実上、深海ガス田の可能性と希望を見せる席だった。だが、この場で会った石油公社社長とハイレベル関係者たちの発言は、当日または翌日にすべて訂正され、事業推進力量に疑問を抱かせた。石油公社社長はこの日、記者たちと会って投資主管社入札公告を今月(※9月)2日に出すと言った。翌日、石油公社は「内部事情」を理由に、入札公告日が5日に変更されたと伝えた。その後になって、実は入札公告を出したのではなく、「指名入札(※一般的に入札企業を募集するわけではなく、発注機関が特定の企業を指名してそれら企業の間で入札を行うこと)」の形なので、5ヶ所以上10ヶ所未満の投資主管希望社に個別にメールを配信した、と話を変えた。

深海ガス田予想収益も、発表内容と後の説明が異なった。全世界の教授陣と研究陣、資源関連学科の学生が集まった席で、石油公社関係者は新しい油田発見を通じて11兆ウォンの収益を期待すると発表した。そうして、報道まで出た後、石油公社は「以前の数値」と解明を出した。じゃ、最近算定した予想収益はいくらなのかと聞いてみると、「そんなものはない」というとんでもない返事が来た(朝鮮日報)・・>>

 

ちなみに、ソース記事にはシュルンベルジェ(Schlumberger)社が韓国語で「シュラムバーガー」となっていて、検索してみたけど食べ物ばかりヒットしました。バーガーだから、でしょうか(笑)。日本語でGoogle検索してやっとわかりました。引用部分の訳は、該当企業のホームページ表記のまま「Schlumberger」にしました。それはともかく、明日は1日休みをいただきます。次の更新は、6日(日曜日)のいつもの時間、11時頃になります。この前群馬県に行ってきたばかりなので、いつもの日帰り温泉と、あとは家でレナのハロウィンステージでも完成させようかと思っています。それでは、また。

 

 

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