韓国メディア「漢字がわからないなら、もっと平易で簡単な単語を使えばいい」

10月2日にも紹介したことがありますが、いま韓国では『単語(ほとんどは漢字でできている韓国語)』がわからなくて、学校教育をはじめとした世代間のコミュニケーションが成り立たなくなっています。韓国でも幻想特急という名で放送され人気を博したトワイライト・ゾーンでも似たようなエピソードがあったと記憶しています。『ローマ字』を使うのは同じなのに、その組み合わせというか、単語の意味や使い方がまるっきり別物になって、家族に温かい一言もできなくなる、そんなエピソードでした・・って、そこまではならないでしょうけど。多くの記事や専門家が「漢字教育」を解決策の一つとして出していますが、もともと入試が大変な状況なので、いまになって義務教育に漢字を復活させるのは容易ではないでしょう。ちゃんと教えられる先生もどれくらい残っているのかわかりませんし。

大人だって、若い世代の新造語がわからないじゃないかという反論もあります。でも、ここでいう漢字語というのは国語(韓国語)の一部です。だからこの件は、『国語が通じなくなっている』というところに問題の本質があると言えるでしょう。そんな中、相反する2つの意見を紹介します。どちらも京郷新聞(6月25日10月6日)ですが、漢文教育関連教授が書いた前者は漢字教育の必要性を強調している反面、現役作家が書いた後者は「漢字を使うからそうなる。もっと平易でわかりやすい言葉を使えばいい」という意見です。韓国メディアの記事を読んでいると、たとえば外交などでなにかうまくいかないと『大丈夫だ、なにもする必要はない』という意見が出てきたりします。本ブログでもいくつか取り上げたことがあります。特に文政権のときに(笑)。そんな意見に似ている気もします。以下、<<~>>で引用してみます。いつもそうですが、引用部分に出てくる表現は(韓国語記事なので)日本ではあまり馴染みのない表現または単語も出てきますが、どれも韓国では一般的に使われているものです。

 

<<・・若い世代の文章読解力に対する話が、最近になって社会問題にまで広がっている。後で知らせるという意味の「追後公告」を、「追後という名の工業高等学校(※公告と工高は発音が同じ)」と理解したとか、「非常に深く」という意味の「甚深」を「退屈な(※発音が同じ)」と受け入れたという内容などがそうだ。原因の一つとして「漢字教育の不十分」を指摘する声が高い。私たちが普段使う言葉のうち6割以上が漢字語なので(※韓国の国語の約7割が漢字語です)、そんな主張はかなり説得力ある。漢字の勉強が足りないと言う人の意を正確に理解しにくいのも事実だ。しかし、文解力の問題の解決策とを、「読む人」だけの問題だとするのは、間違っている・・・・問題は、読む人より書く人によって生じたりもする・・

 

・・最近、時代に合わせて簡単でもっと簡単な言葉を使わず、難しい漢字の言葉を使うのがより大きな問題だという意味だ。 「今後公告」を「あとになっておしらせします」または「あとでしらせます」に、「甚深」を「ふかく」と表現したなら、そもそも文解力論議が生じることもなかっただろう。誰かに読んでほしいなら、その誰かに配慮した言葉で書かなければならないが、その「誰か」は年齢・学歴などが異なるものだ。彼らを全員理解させるのに最も役に立つのが「簡単で平易な言葉」だ。また、漢字の言葉を書かなければならない状況なら、大多数に最も慣れた単語を選ぶ努力が必要だ。難しい外来語や漢字語は使わない方が良い。結局、文解力不足の問題は、「漢字教育」より「簡単で快適な私たちの言葉を正しく使おうとする社会的努力」でその答えを見つけることができる(京郷新聞)・・>>

 

こういう意見もあります。ヨーロッパに留学(交換学生)したことのある学生が教授に送った手紙(?)の内容ですが、フランスと外国の学生たちが集まって自国の文化について話す際、これといって話せることがなく、特に漢字がわからなかったので、古いものについては何も話せなかった、ちゃんと教育課程を修了したつもりだったのに、なんでこうなのだろうかという内容です。続けて引用してみます。

<<・・誠実に授業を受けて、テストなどでも良い成績の学生なのに、期末テストの答案用紙にこんな「手紙」が書かれていた。交換学生としてヨーロッパに行ったとき、自分の国の文化を説明し、誇りを示し合う友人たちの間で、私たちの文化についてちゃんと話せない自分を発見した経験から始まり、このような言葉が続いた。「目の前に置かれた(※なにかの資料の?)単純な漢字でさえ、フランス語よりも難しい宇宙語に見えました。教育課程をそれなりに忠実に履修したつもりでしたが・・なぜ私たちの言葉と私たちの文化を理解するための重要な漢文には目が閉じてきたのか、私自身が驚くほどなさけなく感じられました、と。読んでいたら悲しくなって、その学生にEメールを送った。その問題は学生の責任ではなく、教育の問題であることを強調しながら、必要以上に自分をせめないように、とお願いした・・・・母国語の一つの軸とも言えるる漢字を全く学ばなくても、優秀な成績で公教育を履修できる現実は、果たして普通のものだと言えるのだろうか(京郷新聞)・・>>

 

 

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