27日までは、衆議院選挙結果を伝え、日本メディアの記事を引用する形の記事が多かったですが・・昨日あたりから、韓国の各メディアが「石破政権がピンチ。これ、『コップの(水の)半分』はどうなるのか」という記事を出しています。読者の方々はもうご存知かと思いますが、コップの半分(水コップの半分、コップの水の半分など)とは、韓国ユン政権がコップの半分を注いだから、残りの半分は日本側が満たすべきだという主張です。表現を変えただけで、『ボールは日本にある(こちらはもうやること全部やった)』と同じ意味です。ソウル経済、ニュース1、中央日報です(すべて28日)。記事の中には、旧安倍派が帰り咲いたら、それこそ激浪の時代になるだろうというものもあります。まるで、すでに「半分」もらえると約束でもされているかのような、そんな書き方のものばかりですが・・
引用に入る前に結果からちゃちゃっと書いてしまうと、9月の総裁選から今回の衆議院選挙まで、両国関係が重要案件としてもりあがったことはありません。石破総理の就任記者会見でも、「韓国」という字が出てくる部分は、(岸田政権は首脳外交を通じてアメリカや韓国などとの二国間関係を強化したが、石破総理は首脳外交の在り方というのをどう考えているのか、という質問に対して)「二国間関係というのは、それは合衆国とは極めて二国間関係は大事であります。それは韓国ともそうでしょう。オーストラリアともそうでしょう。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国ともそうでしょう。だけれども、お話を聞いていると、やはり合衆国とは大事だねということだと思っております」。
この後、首脳会談はなんのためにやるのかが明確でなければならない、それぞれ国が異なれば国益も異なるという話があって、韓国メディアが大きく取り上げたりしました。それから衆議院選挙でも、この話が話題になった・・というか、たとえばそれぞれの候補の意見が対立していて議論の対象になったとか、そんなことはありませんでした。岸田政権から日韓関係関連路線が大きく変わることはないでしょうけど、だからといって『コップの半分』もまたそこまで大きく変わるとは思えません。少なくとも現状では(これが重要ですね、安心できるとも言えませんので)。こんな中、コップコップ半分半分とここまで多くの記事が出ること自体、ただならぬ違和感です。というか、いつから自民政権を気にかけるようになったのか・・というのもそうですが。以下、<<~>>で各紙から引用してみます。
<<・・28日、専門家たちは石破首相のリーダーシップが大きく低下しただけに、両国関係にも思わしくない影響を及ぼすだろうと口をそろえた。政府は日本が「水コップの半分」を満たすことを望んでいるが、辞任の圧迫まで受けている石破首相が自民党内部保守派の反発を和らげるため、韓国に譲歩するのは難しいだろうということだ。「半分の水コップ」論は、対日外交でユン政権が先に水コップの半分を満たせば、日本政府が残りの半分を補うと期待する立場を意味する・・・・むしろ日本の政治家たちは、支持率が下がったときには、伝家の宝刀のように右傾化し、強硬発言をする状況が繰り広げられる。特に石破首相が旧安倍派を中心とした保守側を気にする可能性が大きい。パクヨンジュン国防大教授は・・・・「自民党内の保守派たちの顔色を気にしなければならなくなっただけに、両国関係に新しいモメンタム(※勢い)を作るのは容易ではないだろう」と見た(ソウル経済)・・>>
<<・・(※衆議院選挙結果について書いたあとに)このような日本内部の政治状況は、両国関係にはマイナス影響を与えると見られる。内部事情が大変で、新任首相が外交に気を使うことができなくなったからだ。特に、主な事案は両国政権の支持率に直接影響を与えるため、各懸案においてから得られるよりも「譲歩」する事案が多い石破首相にとって、負担を大きくする要因となる。政府は、日本が「半分の水コップ」を満たすことを期待している。ユン政権が先に解決策を提示し、関係改善が急流に乗っただけに、今や日本がこの事案を終結する措置を取らなければならないという趣旨だ。しかし、すぐに辞任の可能性まである石破首相が、党内支持、国民的支持を回復するまでにはかなりの時間がかかると思われる。もし首相が辞任すれば、むしろ逆効果ではないのかという懸念も出ている。来年の日韓外交60周年を控えて様々な構想をしていたユン政権の計画も、思ったように進められそうにないだろう(ニュース1)・・>>
<<・・転向的な態度だった石破首相の政治的立場は、両国関係にも影響を及ぼすと予想される。キムギョンジュ教授は「国交正常化60周年と関連して、すぎた期待はしないほうがいい」と話した。キム教授は「総選挙結果で党内基盤が弱まった石破の立場では、本人の意志通りに政権を引っ張ったり、両国関係で新しい動きを作るのは容易ではない」と伝えた・・・・日本は来年に終戦80周年を迎えることになる。キム教授は「日本保守層は、日韓国交正常化60周年を強調することをあまり喜ばず、自国の終戦80周年により大きな意味を与えようとするだろう。石破もそこに合わせるしかないだろう」とした・・
・・シンガクス元大使も衆議院選挙結果は日韓関係の変数として作用すると指摘した。彼は「石破首相が(それでも)関係を前進させられる(人的)資産だったが、影響力が弱くなり、保守勢力に振り回される可能性がある」とし「水カップの半分を満たすことが容易ではなくなった」と評した。シン元大使が言及した水コップ論は、対日外交でユン政権が先に水カップの半分を満たせば、日本政府が残りの半分を満たすだろうと期待する立場を意味する(中央日報)・・>>
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