「2021年雇用保険付きで就職できた人(賃金労働者)」のうち、1年以上その雇用を維持できた人は40%だけだというデータが発表されました。10月13日、15歳~29歳の平均勤続期間が約11ヶ月だというデータをお伝えしたばかりですが、全体で見てもさほど変わらない、といったところでしょうか。韓国日報など多くのメディアが記事を載せています。「雇用の1年以上維持率」は、多少の変化はあるもののもう10年近くも40%位だそうでして。これでも全体の平均勤続期間は若干長くなっているということなので、雇用期間にも両極化が現れていると思われる、とも。
このデータ、雇用保険付きの場合だけ(雇用保険の期間で集計)なので、たとえば日雇職(1日単位で仕事をする場合)などは集計対象ではありません。参考までに、といったところですが、グーグルAIさんに聞いてみたところ、日本の場合「従業員の定着率(1年雇用とは基準が異なる)」というものがあって(定着率と離職率を合わせると100%になる)、一定期間を経て勤務が続いている社員の割合は、2022年基準で85.0%です。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・新入社員10人のうち6人は1年以内に会社を辞めることが分かった。この割合は、最近10年間で大きな変動がないのに対し、全労働者の平均勤続期間は増えており(※2012年64ヶ月、2021年70ヶ月)、これは雇用安定性が両極化する現象だる、との解釈が出ている。3日、韓国雇用情報院が発表した「雇用動向ブリーフィング」と「賃金労働者の1年以上の雇用維持率変化分析」報告書によると、2021年に就職して雇用保険に加入した賃金労働者の、1年以上の雇用維持率は40.1%だった。この割合は、雇用保険を維持するかどうかを基準に、労働者が就職翌年にも同じ職場に勤務しているかを把握して計算する。日雇いや自営業者は集計対象にならない・・
・・1年以上の雇用維持率は2012年の42.4%から2017年に41.2%に下がった。2018年には42.1%と小幅反騰し、2019年には42.0%を記録したが、新型コロナの影響を受けた2020年には39.6%に下がり、2021年には40.1%を記録した。雇用情報院は、1年以上雇用維持率が40%水準なのは「高くない」と評価した。年度別の騰落はあるものの、新規就業者の雇用維持率がこのように10年間も40%前後を維持しているのに、賃金労働者の平均勤続期間は2012年64ヶ月から2021年70ヶ月に増加した(統計庁経済活動人口調査)。勤続期間が比較的短い新規就業者数が減り、全体の労働者の勤続期間平均は増えた。
雇用情報院はこのような現象を、韓国の労働市場の二重構造によるものだと解釈した。ジャンサラン責任研究員は「安定的な雇用は安定性が強化され、相対的に不安定な雇用はさらに不安になったという意味」と指摘した。年齢別に「1年以上雇用維持率(2021年基準)」を見ると、30代(46.0%)、40代(43.8%)、50代(39.8%)、29歳以下(37.4%)、60歳以上(34.0%)順だった。学歴別では、大卒以上(44.6%)が中卒以下(32.0%)より12.6%ポイント高かった。高齢層と青年層、低学歴層の雇用が相対的に不安定だったわけだ(韓国日報)・・>>
大学卒業した人でも44.6%。40~50代の新規就業で1年維持できない人が多い。こんなところからも最近の雇用不安が読み取れます。引用はしませんが同じ内容を記事にした京郷新聞の記事によると、この分析をした研究員は「1年雇用維持率増加傾向が現れないことは、新たに就職した労働者の雇用安定性が、全体労働者平均に比べて相対的に改善されなかったことを示唆する」と話している、とのことでして。いわゆる『良質の働き口』が減少してきた、ということでしょうか。最近、政府・自治体が高齢者に簡単な仕事をあたえて雇用率を上げていることが話題になっていますが、そういうのは今回のデータにはカウントされません。そういうものまですべて雇用で見ると、全体の雇用期間ってものすごく短くなるのでは・・な気もしますが。さて、ここで一つ振り返りたいのが、13日に紹介したニューシースの記事(10日)の内容です。1年以上雇用すると退職金が発生するので、あえて最初から勤務期間を1年未満に契約する、ということです。以下の記事は青年層(15歳~29歳)に限っての内容ですが、他の年齢代でも同じことが起きているのでしょう。
<<・・短期雇用が蔓延する状況で、政府の失業給与需給制限政策が、労働脆弱階層に大きな影響を及ぼすかもしれないという指摘が出た。10日、国会環境労働委員会所属パクジョン共に民主党議員室と韓国労働研究院の青年層雇用労働統計によると、青年(15~29歳)の40.8%は非正規職であり、これらの平均勤続期間は10.9ヶ月だ・・・・パク議員は「事業主が、退職金を与えないために1年未満で採用し、正規職転換をしなくてもすむように3ヶ月、6ヶ月、11ヶ月単位で『分けて』契約をするなどの雇用慣行が蔓延している」とし「5年の間に3回以上失業給与を受給すれば、受給額を減額するという政策は、労働脆弱階層をさらに追いこむことになるだろう」と憂えた。彼は7月、政府が発議した雇用保険法改正案を問題だと見た。失業給与を減額して、待機期間を拡大するなど、『繰り返し申請する』需給を制限する内容を盛り込んだ(ニューシース)・・>>
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