韓国ローカルメディア「中国経済は、地方政府の問題を見なければならない。国有企業の9割が、該当の省にしか投資しない」

昨日、朝鮮日報と中央日報の中国経済関連記事を紹介しました。もちろんメディアによるし、なにより書いた人によりますが、主に好意的な・・というか、好意的でありたいという記事が目立っています。中国政府の浮揚策についても、株価が上がっているという理由だけですごい、すごいとする記事が多いですが、そんな中、失礼ながら弱小メディアとしか言えないネットメディア「農民新聞」(4日)、ローカルメディア「慶北日報」(10月23日、慶尚北道ローカルメディア)が、中国経済についてはまず地方政府の問題を見なければならないとし、いまの景気浮揚策について疑問を提起しました。

中には、実は中国経済というのは「省」単位で動いていて、国有企業の場合、9割が「自分の省」にしか投資をしない、という内容もあります。最近、中国が自由貿易を強調しているという内容を何度か取り上げましたが、その内部は、逆の状況にあるとも言えるでしょう。引用部分は最初から最後まで中国経済関連だけで、韓国関連というメインテーマからは離れることになりますが・・その中国経済の影響をもっとも強く(人にもよりますが台湾よりも強く受けると見る人もいます)受けるとされるのが韓国です。また、見方にもよるものの、先の大手メディアよりうまいアプローチをしている、と思うのは私だけでしょうか。以下、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・(※中国経済が韓国経済に及ぼす影響が大きいこともあって、最近の中国の景気浮揚策に大きな期待をしている人たちが多い、という内容の後に)このような期待とは異なり、今回の措置は金利引き下げと株式市場活性化のための通貨政策の拡大に限定されたもので、低迷した経済全般の需要を引き上げ、実物経済に活力を吹き込むには、その限界が明らかだ。これにより、最近の中国株式市場の好況も短期的なバブルにとどまるという見解が少なくない。これは結局、中国経済の構造的問題、すなわち不動産バブルと地方政府財政難という根本的な問題解決が伴わない限り、持続可能なものではない、という分析だ・・

 

・・中国経済について理解するには、何よりも、不動産バブル問題と地方政府財政の赤字急増という中国経済の最も深刻な構造的問題に注目する必要がある。これまでの中国の急速な経済成長は、各地方政府が競争的に大規模開発投資を拡大した結果であり、特に不動産開発投資がその中心にあった。地方政府は民間不動産開発業者に国有地の使用権を販売して、主要政策財源を確保してきたが、最近になって不動産バブルが全国的に崩れ始め、地方政府は財源調達に大きな困難を経験している・・

・・このような財政難により、地方政府はこれまで不動産開発のための土地使用権の売却を通じて主要財源を設けたが、今になっては各種インフラまで売却する状況になっている。財政状況がわるくなり、地方政府が提供してきた社会保障制度と福祉関連支出も大幅に減った。現在、中国の全体租税収入で中央政府の割合は約55%、地方政府は約45%となっているが、公共教育、医療サービス、一般的な社会福祉政策のための財政支出の大部分は、地方政府が負担している。したがって、地方政府の財政難は、中国社会全般の福祉支出の減少につながり、それがまた別の社会的不安要素を招いているわけだ・・・・このような背景からして、中国政府の証券市場の浮揚策が、実質的な景気浮揚効果を発揮できるかどうかについての疑問を提起する人が依然として多い。特に新型コロナ期間より一層深化した、中国消費者の低い政策信頼度が、中国経済回復の壁として作用している(農民新聞)・・>>

 

<<・・中国で分権化された経済成長は、東アジアの中央集中的な発展国家モデル(※記事曰く、日本、台湾、韓国など、発展初期に必要な分野に集中する形を取った国)とは異なる。その努力はしばしば地方レベルでよく計画され実行されたが、これらの努力が組み合わされ、全体的に地方間の「無政府競争」を引き起こし、調整されていない過剰な生産能力とインフラ建設という結果を生み出した。2006年に中国産業の75パーセント以上が過剰生産能力で問題を経験していると推定され、産業部門で固定資産投資はすでに2005年に中国GDP成長の40~50パーセントに達する過剰投資を経験したと推算される。生産能力の増加は、国内企業の地理的流動性とセクター間の流動性が欠けているため、その分、激しくなり、この流動性の不足はすでに飽和状態の地方部門で国内企業の投資を拡大させた・・

 

・・一方、多くの「省」政府と「市」政府は、他の省や市が投資しないように保護主義の壁を作った。このシステムは、「一つの国に32個の経済主体が存在する」沈滞を作り出した。ある調査によると、85.8%の国有企業がその「市」にのみ投資し、91.1%の国有企業は該当「省」にのみ投資する。このような限られた投資は、部分的には金融市場の低発展によるものであり、これにより企業が自分たちの留保金を切り替えて他の部門や地域に投資することは難しい。また、国有企業に融資を延長する動機は、何よりも銀行管理者と国有企業管理者との対人関係、結託などと関連がある。

この融資は党の実力者たちによるもので、彼らは国有銀行の地方支店に圧倒的な影響力を行使しており、地方に対する金持ちブームをあおり、地方の成長数値と政府の短期歳入を引き上げようとする傾向がある。2006年、中国銀行はグローバル企業公開説明会で、地方支店での無分別な融資を避けるのは難しいと認めたことがある。以上の内容からして、まだ中国経済が本格的に蘇ったと言うには、難しい部分が多い。株式市場の流れと実物景気は完全に異なる可能性があるのだ(慶北日報)・・>>

 

 

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