韓国大手メディアの、「日本で使う先端AIだけは日本国内で生産するというのが、日本企業・政府の確固たる方針」

本ブログで紹介しただけでもかなりの数になりますが、韓国メディアは日本の半導体関連で実に多くの記事を出しています。日本メディアの記事をそのまま伝えるだけのものもあり、テクノロジー的に分析する記事もありますが、はっきり書いてはいないものの、かなりの緊張感が漂っています。今回は中央日報が、日本半導体関連で記事を載せましたので、紹介します。記事は日本半導体関連の話をいろいろと書いていますが、中心内容は「日本内で生産する」という点です。実は、日本のいわゆるユニコーン企業として注目を浴びている「Preferred Networks(PFN、プリファードネットワークス)」社ですが、記事によると、実はサムスン電子の2nmチップの初めての顧客であり、TSMCではなくサムスン電子を選んだことで、「日韓半導体協力の象徴」とまで言われていた、とのことです。

しかし、中央日報が実際にPFNを訪れて取材したところ、それは量産用ではなく実験開発用のチップのことで、実際の(AIのための)推論用チップは日本国内で生産したものを使う可能性がある、とのことでして。匿名ではありますがPFN関係者が取材においてそう話しました。また、同じく日本の半導体関係者の言葉として、「日本で使う先端AIだけは、できる限り日本国内で生産するというのが、今の企業と政府の確固たる方針」とも。記事は、いままでと異なる点として、米国、台湾との協力が行われていることなどをあげています。いますぐ大きな成功を収めることはできなくても、この勢いだど、大きなマイナスになることもなさそうだ、とも。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・屈指の大企業・銀行・メディアが密集し、「日本経済の心臓」とまで呼ばれている東京千代田区大手町。日本最大人工知能(AI)ユニコーン(企業価値1兆ウォン以上スタートアップ)になったプリファード・ネットワークス(PFN)本社に入ると、赤い光の基板のAI半導体が訪問客を迎えた。PFNが設計し、台湾TSMCが作った「MN-コア」シリーズだ・・・・特にPFNは、サムスンファウンドリ(半導体委託生産)の2ナノメートル工程を利用する初の顧客会社として知られている。サムスン電子において2ナノ工程はAI半導体戦争でTSMCとの競争のためにも必ずとらなければならない勝負どころとして挙げられる。これに先立ち、TSMCにチップ生産を任せたPFNが新型AI半導体量産パートナーとしてサムスンを選択したというニュースに、韓国の半導体業界では鼓舞されていた。「日韓半導体協力の象徴になるだろう」という希望的な話まで出るほどだった。

 

しかし、現場では、雰囲気が異なっていた。TSMCではなく、全く予想できなかった、サムスンのファウンドリの競争者があったのだ。9月日本東京本社で出会ったPFN関係者は、「今年、サムスンに生産を任せたチップは量産用製品ではなく、研究開発用チップ」とし「今後、推論用AIチップは日本で生産する可能性があると聞いている」と言った。実際、8月、日本金融グループSBIホールディングスはPFNに1000億ウォンを投資した。日本経済新聞は、「両側が日本内の半導体サプライチェーンを構築するためのチップ製造工程に協力することにした」と伝えた。SBIホールディングスは台湾3位のファウンドリPSMCと手を取り、8000億円(約8兆ウォン)を投資し、日本宮城県に半導体工場を設立、2027年から量産に突入する。日本政府は宮城県半導体工場設立に1400億円を支援する。日本半導体業界関係者は、「日本で使用する先端AI半導体だけは、可能なかぎり日本の半導体工場で作らなければならないというのが政府と業界の確固たる立場」と話した・・

 

・・日本半導体業界は徹底的に水の下で捲土重来(※失敗から立ち直る、巻き返すこと)を目指している・・(※1986年の日米半導体協定のことを意識して、という内容のあとに)・・最近、日本に建設中のほとんどの半導体工場は、米国あるいは台湾企業との合弁会社である。ラピダス関係者は中央日報に「TSMC・サムスンと正面勝負するつもりはない」とし「日本内で必要なAI半導体を中心にカスタマイズ生産するだろう」と話した。トランプ2期行政府の発足で控え目の日本だが、自国に半導体工場を再建しようとする国家レベルの支援は当分続くだろうという観測が出ている。キムヤンパン産業研究院専門研究院は、「素材・部品・装備が強い日本企業が2ナノメートル以下の超微細工程に対する実際の経験を積むことができるという点で、日本の先端半導体製造への挑戦が、いますぐに大きな成功を収められないとしても、単にマイナスになるビジネスとしておわることはないだろう」と話した(中央日報)・・>>

 

こういう記事は、結局は「韓国政府も補助金を」という話になることが多いですが、珍しく、そんな話はありませんでした。韓国の場合、国内生産よりも気にスべきは「中国内生産」かもしれません。10月14日ヘラルド経済記事ですが、<<・・半導体産業が中国に頼りすぎているという分析が出ている。汎用メモリ市場で中国が追い上げてきているし、米中対立などに伴う中国内での韓国企業の立場などを考慮して、急いで代案を設けなければならないという指摘だ。22日、政府によると、今年上半期(1~6月)、韓国全体の半導体輸出のうち、中国の割合が約56%(366億2000万ドル)に達した。それからも、7~9月にも韓国半導体輸出の中国の割合は着実に50%前後水準を記録した。今年の韓国の輸出は半導体がリードしているが、そのうち半分を中国に頼っているという意味だ(ヘラルド経済)・・>>、ということでして。7月からも、50%余裕で超えている、という話もあります。

 

 

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売中です(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。