ここまで長期連載(?)になるとは誰も思わなかったであろう、韓国の「日本半導体」関連記事(群)。ちょうど本ブログで15日に取り上げた「週52時間勤務から半導体関連は例外にする」案が、国会を通過できなかった・・というか案の合意もできなかったことで、また半導体関連記事が増えました。ソース記事は、特にこの件で多くの記事を出してきた朝鮮日報(17日)です。他に、補助金関連もなかったことになりました。韓国の場合、ずいぶん前から半導体投資関連補助金が必要だとする主張が出ていましたが(TSMCの熊本第一工場の動きが本格化してから、関連記事が大幅に増えました)、それもまた、今回もありませんでした。既存の税額控除だけです。
一時は共に民主党の李在明代表が賛成するような趣旨の発言をして、今回こそはと思われていましたが、なにも変わってなかった、とも。李代表は、2月3日には「まとめて仕事するというのが、なぜ問題なのか(週52時間に拘る必要はないという趣旨)」と話しました。しかし、なにがあったのか7日には「長期間労働で競争力を確保することはできない」と話し、共に民主党も明確に反対するようになりました。ちなみにこの件、野党だけでなく企画財政部も反対しており、いまの税額控除も尹大統領が押し通したものだと言われています。去年、いわゆるKチップス法と呼ばれていた半導体関連支援法の原案(税額控除)において、税収などが大幅に不足していることもあり、企画財政部がむしろ野党よりも低い控除率を提案し、与党はもちろん野党もびっくりした、という話が出ていました。
あとで尹大統領が再審議を要求し、税額控除が多少高くなったものの、それでも補助金は設定できませんでした。朝鮮日報によると、計算しやすいように1円10ウォンの適当為替レートにすると、半導体関連で2兆円を投資した場合、その企業が得られるインセンティブは、日本8000億円、米国5500億、韓国1200億円とのことでして。補助金だけで決まるものなのか・・そんな気もします。ソース記事だけでなく、関連記事のほぼすべてが(少なくとも私が読んだ記事は冗談抜きで全てが)『だから補助金でしょう!』が結論でした。本当にそれだけかな、と。たとえば今回国会を通過できなかった(そもそも案の合意もできなかった)半導体特別法の内容を見てみると、電力や用水インフラなどを国が支援するという内容もありますが、本当に問題なのはこちらではないのか、そんな気もします。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・国民の力と共に民主党が17日、国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会の小委員会で「半導体特別法」制定案を審査したが、合意に至らなかった。半導体産業研究職に対する「週52時間例外適用」を置いて李在明共に民主党代表が一時は肯定的な立場を明らかにして法案処理可能性が取り上げられた。しかし、李代表が立場を撤回し、この日、案を処理することができなかった・・・・両党は次の小委の時に法案を再審議することにしたが、52時間例外問題で衝突しており、合意点の導出が容易ではない見通しだ。これにより、半導体特別法に盛り込まれている施設の造成や補助金支援などの恩恵を企業側が受け取るのは、しばらくは難しくなった。
与・野党議員らは世界的な半導体競争で生き残るためには国家的支援が必要だと報告して、補助金支援などを盛り込んだ半導体特別法と税額控除拡大を盛り込んだKチップス法(租税特例制限法改正案)を発議した。この中でKチップス法は11日国会企画財政委員会小委員会を通過して本会の処理可能性が大きくなった。しかし、半導体企業に補助金など国家が直接財政を支援する半導体特別法は、週52時間の例外適用に関する問題で、国会常任委のしきい値を超えなかったのだ・・
・・現在、韓国には半導体産業支援策で設備投資と関連税額控除制度だけがある。米国・日本などは税額控除とともに国家補助金も全幅支援しており、半導体競争で遅れをとらないためには半導体特別法制定が必要だという声が財界はもちろん政治家たちからも出ていた・・・・韓国経済人協会が昨年10月に発表した資料によると、米国はアジア諸国に依存していた半導体生産を自国で解決するためにインテルに補助金85億ドルを投入する計画を発表した。その後、米国はインテルに補助金79億ドルの支援を確定した。日本はソニー・ソフトバンク・キオクシア・NTTなど8企業が連合したラピダス設立に補助金63億ドルを投入した。米国・日本は企業一箇所だけで10兆ウォン前後の補助金を支援したわけだ。中国は2023年から半導体企業SMICに2億7000万ドルの補助金を支給し始めた。
また、韓国半導体産業協会の昨年4月「国家別投資インセンティブ資料」を見ると、半導体生産施設構築に投入するお金が20兆ウォンの場合、韓国に投資した企業が受ける投資インセンティブは1兆2000億ウォンだった。一方、同じ条件のときに税額控除と補助金の恩恵が与えられる米国と日本は、それぞれ5兆5000億ウォン、8兆ウォンの投資インセンティブを受けることが分かった(朝鮮日報)・・>>
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