「自営業大国」韓国、2ヶ月で自営業者の数が20万人減少・・「減少」が意味するものは

韓国は、経済活動人口において自営業者の比率がとても高い国です。比率だけで見ると自営業大国(?)です。経済活動人口が約2800~2900万人で、その中の570万~580万人(時期にもよりますが)が自営業者です。よって、自営業者関連ニュースは経済関連でよく話題になります。そんな中、去年12月と今年1月の2ヶ月間で、約20万人の自営業者が「減少」したことが話題になっています。聯合ニュース、韓国経済など多くのメディアが記事を出しています。記事の内容によると、新型コロナが収まったあと、それでも景気が良くなるだろうと耐えていた業者たちが、去年末から廃業するようになったからだ、とのことです。全体の数が減少したというのは、新規開業した人たちまで含めて20万人が減少したという意味だから、廃業の数は20万より多いことになります。

去年7月、2023年に「小商工人」100万人が廃業したというニュースが話題になりました。当時、ほぼ同じタイミングで「上半期、中国で『店』100万店が消えた」と、韓国で2023年1年間で小商工人100万人が廃業したというニュースが流れました。小商工人というのは、自営業者より範囲が広い概念です。法人事業者以外のすべてを言うので、たとえばフードデリバリーの配達員たちも小商工人になります(自営業者にはカウントしません)。今回の「2ヶ月で20万人」関連ニュースでは、いくつか関連記事を読んでみましたが、「自営業者」だけになっています。すなわち、去年話題になっていた「2023年、小商工人100万人が廃業」より事態が深刻だと言えるでしょう。また、先も書きましたが廃業(廃業届けを出した人)ではなく全体数の減少なので、なおさらです。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・内需低迷が長期化し、自営業者が最近2カ月間20万人以上も減少した。国内自営業者数はコロナ事態当時の水準である550万人で、国際通貨基金(IMF)の為替危機当時の1997年より少ない。10日、統計庁によると、1月の自営業者数は550万人と集計された。これはエンデミックを控えていた(新型コロナが収まりかけた)2023年1月以降、最も少ない数になる。エンデミック以後、回復傾向を見せた自営業者数は、昨年11月の570万人以上から、20万人以上も減少した。自営業者数を年度別に見ると、国際通貨基金(IMF)の為替危機当時の1997年(590万人)、1998年(561万人)、グローバル金融危機時の2008年(600万人)、2009年(574万人)より少ない水準だ。

2009年から500万人台に減少した自営業者の数は、それからはずっと560万~570万人水準を維持し、2020年にコロナ事態で550万人台に減った。その後、エンデミック直前の2023年1月に549万人まで減った後、回復傾向を続けて昨年末に再び急減した。専門家たちは、自営業者の減少は内需不振など景気低迷が長期化しているためだと指摘した。イ・ジョンヒ中央大経済学科教授は「新型コロナ事態以後のソーシャル・ディスタンス政策などの措置が解除されてからもう久しいのに、外食など外部消費を減らす消費行動はそのまま固定されている」とし「ここに物価高と高金利の状況が続いて、商売することが非常に難しくなった」と説明した。




イ教授は「昨年末、自営業者が急減したのは、コロナさえ過ぎていけばなんとか大丈夫だろう」と希望を持っていた自営業者が、これ以上耐えられず、廃業を選んだ影響」とし「それでもまだ耐えている人々が多いので、自営業者の数は今年も減り続けるだろう」と予想した。ソク・ビョンフン梨花女子大学経済学科教授は、「コロナのときの(※政府の支援政策としての)ローンの満期延長や利息返済猶予措置など、各種支援政策が終わり、内需の低迷が続くにつれ、もはや持続できない自営業者が続出するものと見られる」と説明した。

自営業者も、売上がコロナ以前水準に回復していない状況で物価上昇などで営業負担が大きくなったと話す・・・・自営業者のAさんは「コロナ時からなんとか耐えてきた店主たちも、もう商売をやめるしかなくなっている」とし「配達アプリの手数料など配達費負担が大きくなったうえ、物価が上がって、原材料費負担が増えたことが経営難の原因」と話した・・・・Bさんも「バターから小麦粉、牛乳など価格が上がらない材料がないのに、客は減り続けていて心配」と話した(聯合ニュース)・・>> 




 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。