毎日のように関税関税と話題(?)ですが、そんな中、TSMCから興味深い提案がありました。エヌビディア、AMD、ブロードコムなどに、インテルのファウンドリー部門を「合弁会社」の形で引き受けないか、という話です。韓国でもソウル経済など結構多くのメディアが記事を出しています。TSMC、言い換えれば台湾としては、半導体部門でトランプさんがどんな動きを見せるかわからない今、韓国メディアがよく使う表現を借りると「同盟」を増やすことができます。ほかでもない米国の各企業との関係を強化する、インテルのファウンドリー部門に、「インテルは米国企業」のまま、影響力を発揮できるようになるでしょう。ちなみに、まだ提案を受けた各企業がどんな動きを見せるかはよく分かっていません。
ブロードコムはラピダスから2nm半導体のサンプル供給を受ける予定だという話も出ていますし、CEOは「AIとVMで忙しすぎで、インテル設計部門については考えていない」と話したりしました。TSMCの今回の提案がどういう結果になるかは、まだなんとも言えません。ただ、なぜか複数の韓国メディアが、「なぜサムスン電子(一部メディアはSKハイニックスまで含めて)には同じ提案をしていないのか」な趣旨の記事を載せています。前にも「◯月危機説」などについて「本当にそんな問題が起きるのかどうかより、ここまで頻繁にこんな記事が出てくること自体が問題ではないだろうか」と書いたことがありますが・・今回もまた、記事に書いてある内容(TSMCのインテル関連ニュース)は問題ないものの、そこでなんでサムスン電子やSKハイニックスの話が出てくるのか、そこがよく分かりません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・台湾TSMCがNVIDIA、AMD、Broadcom、Qualcommにインテルファウンドリに対する共通投資を提案したという報道が出た。ホワイトハウスがTSMCにインテルファウンドリ持分買収を要求したというニュースが知られている中、TSMCが負担を分かち合う米国「同盟」募集に出たわけだ。TSMCが米国内の投資と同盟を増やしていく中、ファウンドリで苦戦しているサムスン電子が孤立する可能性があるという懸念が相次いで提起されている。11日(現地時間)ロイター通信は情報筋の話を引用して、「TSMCがNVIDIA、AMD、ブロードコム、クアルコムに、ジョイントベンチャー(JV)を設立してインテルファウンドリ持分を買収しようと提案した」と報道した。 TSMCがJVを通じて買収しようとする持分率は50%以下だという。ロイターは「ドナルド・トランプ政権はインテルファウンドリーが完全に外国所有になることを望まない」と伝えた。
最近、ブルームバーグ通信は、ドナルド・トランプ米政権がTSMCにインテルファウンドリ支配持分の買収を要求したと報じた。莫大な投資で赤字になったインテルのファウンドリに資金を貸す一方、運営ノウハウを伝授してもらうという意味になる。インテルが潜在的なファウンドリ競合他社であることをいったん考えないことにしても、TSMCはすでに投資負担が大きい。3日、TSMCは今後4年間で1000億ドルをかけて米国内に5つのファウンドリを追加建設すると発表したことがある。既存の650億ドル投資を加えれば、米国総投資金が1650億ドルに達する。これにTSMCが投資を分担するための仲間たちを探し出そうとしている構図だ。
TSMCが募集中のパートナー企業が、すべて米国半導体企業という点でも、その意図が分かる。言及されている会社と共同投資に乗り出せば、米国半導体産業のプライドであるインテルが台湾企業のものになるという批判を避けることができる。これらはすべて、半導体設計専門会社であり、インテルファウンドリの予備顧客社でもあり、発注問題も解決できる。また、JVを通じてTSMC「だけ」の影響力を下げるとともに、持分率を50%以下にすれば、各国の買収合併(M&A)許可をより容易に受け取ることができ、米国政府の半導体支援法(チップス法)補助金支給も維持することも可能である。
TSMCがインテル・ファウンドリ株式の買収に成功すれば、ファウンドリ市場シェアの拡大が進まないでいるサムスン電子としては、さらにその勢いが弱くなるしかない。主要設計会社が共同投資に乗り出せば、サムスン電子の未来の発注物量の減少も避けられない。市場調査会社トレンド・フォースによると、TSMCは昨年10~12月期のグローバルファウンドリ市場シェア67.1%を記録した。サムスン電子のシェアは8.1%にとどまった(ソウル経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。