関税関連の発言が相次いでいる中(投資家たちは「もうあきた」な反応だという見解もありますが)、いままで予想されていた「関税を言い出して、協商を導き出す」のでななく、「まず関税をかけてから、協商する」パターンになるだろうという見方が出ています。また、その過程で、FTAなど二国間の協定も大幅な修正または廃止が行われるだろう、とも。世界どこの国も緊張しているのは同じでしょうけど、韓国でもまた、GM社の撤収が噂されるなど(韓国GMの自動車は8割り以上が米国への輸出用です)、大きな影響を懸念する声が上がっています。もともと輸出に頼る部分が大きい経済、というのもありますが。
前のトランプ政権でも、米韓FTAは修正されたことがあります。しかし、あのときはそこまで大きな影響はありませんでした。今回はどうなるのか、そもそもFTAそのものを存続できるのか、中央日報・東亜日報(共に18日)など多くのメディアが記事を載せています。マルコ・ルビオ米国務長官が、いったん相互関税をかけた後に、協議して「新しい両国間貿易協定を作る」と話した、とのことでして。いままで、韓国メディアには専門家の意見も含めて、「FTAがあるからなんとかなるだろう」とする趣旨の主張が結構ありましたが、それもここまでのようです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米国が来月2日から全世界を対象に「相互関税」をかけた後、両者交渉を通じて「新しい貿易協定」を結ぶだろうと、マルコ・ルビオ米国務長官が16日(現地時間)CBS放送インタビューで明らかにした。これにより、米国が現在発効中の韓米自由貿易協定(FTA)の改正あるいは廃棄の後に、新たな貿易協定締結を要求するのではないかという観測が出ている。ルビオ長官はこの日のインタビューで「全世界を対象に貿易の新しい基準を設定した後、両者間の交渉を通じて新たな貿易協定を結ぶだろう」と話した。このような変化推進の背景として、既存の貿易秩序の不公正さを挙げた。彼は「トランプ大統領はグローバル貿易のバランスが機能していないと思っている」とし「冷戦時期には同盟国の繁栄が米国の国益に合致したためそのような貿易を許したが、今は状況が変わった」と話した。続いて「大統領が強調するのは二つだ。第一はアルミニウム、鉄鋼、半導体、自動車などの主要産業が米国の中になければならないということであり、第二は特定国家ではなくすべての国家との貿易を公正にするということだ」と付け加えた。ルビオ長官は「他の国々は(利益を得ることができるので)現状を好むだろうが、我々はこれを好まないで新しい状態を設定する」とし、新しい貿易協定の必要性を改めて強調した・・
・・一方、ドナルド・トランプ米大統領は17日、専用機で記者たちに、来月2日から相互関税とともに産業別関税も課すだろうとし、鉄鋼・アルミニウム関税にも例外を置かないことを強調したと、ロイター通信などが伝えた。韓国の場合、新たな貿易協定が韓米自由貿易協定(FTA)の再交渉あるいは廃棄の可能性を意味するとも解釈できるだけに、相当な影響が予想される。特に韓国が昨年対米貿易で最大規模の貿易黒字を収めたという点を勘案するとき、米国がこれを不公正な貿易協定による結果として認識し、より強い圧迫に出ることもできる。しかし、今年初め、米エネルギー省が「センシティブカントリー」に韓国を追加指定した事実を、政府が二ヶ月が過ぎた後になってやっと把握できるなど、弾劾政局で当局の対応に対する懸念も高まっている(東亜日報)・・>>
<<・・この日、ルビオ長官は韓国に直接言及しなかったが、トランプ大統領が「例外を置かない」と公言しただけに、米国の8大貿易赤字国の一つである韓国も相互関税象になる可能性が大きくなった。パクソンフン高麗大国際大学院教授は「前例に照らしてみると、韓国の対米貿易黒字幅が大きい自動車・半導体・鉄鋼など一部品目に相互関税をかける可能性が高いと見える」と説明した。米国は相互関税をかける際、既存の関税と非関税障壁の両方を考慮することにした。米国貿易赤字の原因と判断される政策と規制などをすべて問題にするという意味だ。特に韓米FTAで事実上関税がない韓国に対しては、非関税障壁が相互関税賦課の口実として作用する見通しだ。
米国が問題視している非関税障壁には、「付加価値税と補助金」、「グーグルの精密地図搬出など米国の大手IT企業を標的とした各種規制」、「生後30か月以上の米国産牛肉の輸入制限や農産物の検疫制度」、「スクリーンクォーター制」などがある。また、韓国が中国の「迂回輸出路」になっているという米国の疑いも、口実になる可能性がある。アンドックン産業通商資源部長官とジョンインギョ通商交渉本部長が最近米国に訪問したとき、これに対する米国側の問題提起があったことが分かった。これを理由にして、関連品目に関税をかけたり、これを通じて貿易不均衡が大きい品目に対する関税を正当化する可能性もある(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。