3つは完璧だというラテン語の格言があるそうです。サンバルカンの歌詞っぽい格言ですね。今回、日中韓外相会談がありましたが、その場で、韓国のジョテヨル長官がこの言葉を使ったそうです。ソウル新聞(23日)などが、ものすごく肯定的なニュアンスで報じています。記事は、自由貿易などを強調、日中韓協力を高く評価し、「トランプ政権とは違う」という流れにしていますが・・会談すること事態はともかく、こういう受け取り方はさすがに、ちょっと。こういう受け取り方を「された」時点で、日本にとっていいことはない気もします。ただ、ソース記事だけでなくいくつかの関連記事を読んでみましたが、興味深いのは、韓国と、日本・中国の反応(雰囲気?)が、かなり異なります。
先のジョテヨル外交部長官はいろいろ話したとなっていますが、日本と中国の外相発言に関しては、主に議題になった案件(中国の日本水産物輸入再開など)だけです。実際、「完璧」発言に対して「日本と中国の外相は『頷ける場面が見られた』」となっていますが、これといってなにか同意の言葉を話したという内容はありません。ちなみに、さっそく日本では「そんなこと言ってない」案件が発生中です。石破茂る総理は(21日)中国王毅外相の表敬訪問を受けましたが、中国側は「(その場で)石破総理が王毅外相の発言を受けて『中国が詳述した立場を尊重する』と述べた」と発表しましたが、石破総理はそんなことは言ってないとし、是正を要求した、と。中国側がどのような対応をしたか、関連した続報はいまのところありません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・日中韓外交首長たちが1年4カ月ぶりに会って「朝鮮半島の平和は3国の共同利益」であることに意を集めた。米国ドナルド・トランプ政権の発足後、各種不確実性があふれて、三国の協力が加速するだろうという見通しも出ている。ジョテヨル外交部長官は22日、日本の東京外務省公館で王毅中国共産党中央外司版公室主任(外交部長兼任)、岩屋毅日本外務大臣に会って、「第11次日中韓外交長官会議」を開き、協力方向、及び地域情勢などについて意見を述べた。今回の日中韓外交長官会議は、2023年11月釜山(プサン)で開かれて以来だ。ジョ長官は会議の後の共同記者会見で、「日中韓は朝鮮半島の平和と安定の維持が三国の共同利益であり、責任であることを確認した」とし「朝鮮半島平和安定に影響を受ける三国の疎通がこれからも続くことを期待する」と話した。
今回の会議で3国は、昨年5月に開かれた3国首脳会議の合意事項をもとに、各種交流事業を推進することにした。ジョ長官は「3国が相互の信頼をもとに協力する時、より平和で繁栄する未来をつくることができ、治癒もできるだろう」と述べた。長官が「三つになったすべては完璧だ」というラテン語格言を引用して協力の重要性を強調すると、両長官が首をうなずいく姿も捉えられた。今回の会議期間に、両国間交流の意志も固めた。21日、韓中外交首長は文化交流の復元を通じて両国協力を発展させることにした。
特に両側は来る10月、慶州アジア・太平洋経済協力体(APEC)首脳会議をきっかけに習近平中国国家主席の訪韓が実現し、両国関係の新たな転機が設けられるよう具体的な成果を作ることに、共に努力することにした。韓中が自由貿易協定(FTA)サービス・投資交渉を加速するために協力を推進するなど、各分野で交流を活性化することにした(※尹政権は中国とのFTA強化を進めていました)・・
・・このような密着背景には、トランプ2期政権の不確実性があるという分析が出ている。ホン・ヒョンイク元国立外交院長は23日、ソウル新聞との通話で「トランプ政府のやり方が、(※日中韓の)協力を促す背景として大きく作用した。米国の対外政策が自国利益を最優先するなら、日中韓協力が強化される余地が大きいということを見せたのではないかと思った」と分析した。それとともに「そこまで強くはないにせよ、地域の協力というレベルで、日中韓関係を良くしておくのが、米国の圧力に対する防波堤になることができる」と付け加えた・・
・・ジョ長官も、駐日韓国大使館で特派員たちと会って「最近、米国のトランプ政権政策による不確実性の中で、同様の状況に置かれている韓日が対応案を共有した」と説明した。韓日は2月、南山ソウルタワーと東京タワーを同時に点灯する行事を進行するなど、関係改善の意志を見せている・・・・ただ、経済協力や北朝鮮問題に対しては、中国と日本・韓国の発言が微妙な温度差を見せた。王主任が「域内経済統合の推進に合意した」と明らかにしたことについて、外交部高位関係者は「合意したというより、アジア太平洋地域の自由貿易拡大など大原則に韓日両国が反対するわけではない。(王主任が)中国側の立場を強調して明らかにしただけだ」と説明した(ソウル新聞)・・>>
引用部分の最後、これもいつもなら「そんなこと言ってません」という発表があってもおかしくない内容ですし、実際、中韓会談(首脳会談でも外相会談でも)のあとにはそんな展開がありましたが、今回はなんの発表もありませんでした。『中国側がそう説明した』と『合意した』はかなりニュアンスが異なると思いますが。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。