韓国からも、8日~9日にジョンインギョ通商交渉本部長が米国を訪問する予定です。しかし、イスラエル、イギリス、カナダ、メキシコなどの首脳が米国と首脳会談(電話会談含め)してもこれといった成果がなく、米国側がなにかの対応を始めたという話もありません。こんな中、通商交渉本部長(産業通商資源部の次官、すなわち副大臣レベルです)が訪米したところで、なにか進展が期待できるのかというと、そうではありません。そんなところですが・・朝鮮日報(朝鮮BIZ)に、そもそも国会がなにかやらないと、関税対策も始まらないのではないか、という記事がありました。国会で、追加予算案がなんの進展もない、とのことでして。
記事は、日本の政治を「うらやましいと感じるほどだ」としていますが・・そこまで驚くほどなにか良いことがあったのでしょうか。頑張ってくれている人たちも確かにいますし、韓国政治に比べるとたしかにいいとは思いますが(笑)。記事は、主に追加予算案のことを書いてはいますが、結局は関税対策です。大統領がいないじゃないか、と言ってしまえばそれだけです。実は前のトランプ政権でも、韓国は大統領がいませんでした。でも、当時は権限代行とトランプ大統領がすぐ電話会談を行いました。すなわち、首脳がいないというのは、確かに理由では在るものの、国会がなんとか頑張れば(具体的にはどう頑張ればいいのかは書かれていません)、関税対策とか、できるはずではないのか、そんな趣旨です。
いつものこと、日本で「すこし」進展があったから(一つ前のエントリーの内容)、こんな記事も出たでしょうけど。また、「日本担当」となったべセット財務長官がいろいろ話したので、そちらもデイリアンの記事からちょっと引用してみます。米国と関税関連で協議を始めた(詳しくは『始めることにした』)国は他にも多く、数十カ国に及ぶとのことですが、閣僚がこういう担当になるのは日本が初めてだそうです。財務長官が急に仕事を任せられることもちょっと考えられないので、実は日本から連絡が来るのを『待っていた』可能性もあります。しかし、それは、『待っていた』のか、それとも『待ち構えていた』のか。そこが重要でしょう。韓国の場合、やはり半導体関連の関税がもっとも大きいのでは・・な気もしますが。、以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米国政府が、ドナルド・トランプ大統領が全世界を相手に関税賦課に乗り出した後、約70カ国が米国と交渉のために接触してきたと明らかにした。米フォックス・ビジネスによると、スコット・べセット財務長官は7日(現地時間)のインタビューで、関税問題と関連して「私たちに話してきた国が今50~60カ国、おそらくほぼ70カ国に達する」とし「(各国と交渉する)忙しい4~5月になるだろう。それと共に「日本が非常に早く出たため、日本が(交渉)優先順位になるだろう」と付け加えた。石破日本首相がこの日、トランプ大統領と電話通話をしたのに続き、両国は長官級後続協議を進めることにした。ベセント長官は引き続き「しかし、トランプ大統領は最大限有利になると判断した時点で交渉を始めるだろう」と話した(デイリアン)・・>>
<<・・新型コロナ事態が始まったばかりの2020年3月、米国議会は経済への影響を緩和するために当時としては最大規模の2兆ドルの景気浮揚法案を約10日ぶりに異例の速度で合意し、通過させた。大統領選挙の約7ヶ月前で、下院は民主党が、上院は共和党が掌握し、対立が続いていた時期のことだ。それにもかかわらず、米国政治は協力の道を選んだ。それから5年以上が経ち、今月8日現在、韓国経済は新型コロナ事態と同じくらいだとされる危機局面にある。全世界を対象としたドナルド・トランプ米大統領の相互関税がグローバル貿易に影響を及ぼし、韓国は25%の関税を課された。
その衝撃で韓国の金融市場が大きく揺れている。ウォン・ドル為替レートは7日5年ぶりに最大幅(33.7ウォン)通貨安に動き1467.8ウォンを記録し、証券市場ではコスピが5%以上に急落、昨年8月5日「ブラックマンデー」以後8ヶ月ぶりにサイドカーが発動した。ユン前大統領の弾劾で6月3日早期大統領選挙まで約2ヶ月間、リーダーシップ空白が発生している点が、もっとも重要だ。相互関税率引き下げのための対米交渉は重要な「ゴールデンタイム」なのに、リーダーシップ不在で外交力が弱まった状況だ。
トランプ発関税戦争対応にすべての力量を集中しなければならない時であるにもかかわらず、国会は追加経済予算編成も進展がない。与党と野党はそれぞれ異なる案を出して「あいて側の問題」としているだけだ・・・・チェ・サンモク経済副首相兼企画財政部長官は、前提条件として「両党の合意」を掲げたが、両党と政府の国政協議体は、開かれる気配がない。そんな中、イ・ジェミョン共に民主党代表は「政府は何をしているのか」とし、「国会に通商対応委員会でも作って議員外交でもしよう」と、協議とは程遠い提案をしてきた(※そもそも国会が空転している理由の中でもっとも大きいのが、共に民主党がクーポンなどバラマキ政策のために追加予算を要求していることです)・・・・韓国とほぼ同水準の24%の相互関税を課された日本の対応が羨ましいほどだ。朝日新聞など現地のマスコミによれば、石破茂日本首相は4日就任後初めて与党・野党代表会議を主宰した。超党的協力で追加予算案を6月に終わる定期国会会期内に通過させることを目指している(朝鮮BIZ)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。