韓国政府が「電話会談を要請した」とマスコミ側に話してから、約2ヶ月。ついに米韓首脳の電話会談がありました。首脳と言っても、韓国の場合は韓悳洙(ハンドクス)大統領代行で、もともとは国務総理です。いくつかの記事を読んでみたところ、大まかに予想できた範囲内での話でしたが、多くのメディアがもっとも注目しているのは防衛費関連です。防衛費分担金、すなわち在韓米軍関連費用のことです。本エントリーのソース記事は東亜日報です。日米首脳会談でもこの話はありましたが、この前の電話会談のときには主に貿易関連の話で、この件はあまり目立ちませんでした(話さなかったのか、強調されなかっただけなのかはわかりませんが)。
防衛費と聞いてもっとも気になるのは、6月3日の次期大統領選挙、そして政権交代の可能性です。まだ憲法裁判所の結果が発表される前(1~3日)の調査ですが、野党「共に民主党」の李在明代表が「次期大統領として支持する人物」において34%で1位でした。複数の記事によると、このこの数字は前の調査からあまり変わっていません。保守側とされる候補たちの中ではもっとも高い支持を得たのはキム・ムンス雇用労働部長官でしたが、それでも9%だけでした(全体で2位)。さて、次の政権が、この問題においてどこまで応じることができるのでしょうか。個人的にはこの部分がもっとも気になりますが、なぜかこの部分を指摘する記事は今のところ見当たりません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ドナルド・トランプ米大統領は8日、ハン・ドクス大統領権限代行兼国務総理との通話で、「相互関税と韓国に提供する大規模軍事保護費用の支払(防衛費分担金)について話した」と明らかにした。トランプ大統領が在韓米軍防衛費分担金について取り上げたのは1月20日に就任して以来、初めてのことだ。トランプ大統領はこの日、権限代行と通話した後、ソーシャルメディアに載せた文で「韓国の膨大な(対米貿易)黒字、関税、造船業、米国産LNG(液化天然ガス)の大規模購入、アラスカパイプライン合弁投資、そして韓国に提供する私たちの大規模軍事保護について話した」とした。
続いて「韓米両国ともに素晴らしい取引(deal)ができる条件と可能性がある」とした。トランプ大統領は韓国との交渉を大文字で「ワンストップショッピング(ONE STOP SHOPPING)」と表現し、「美しく効率的な手続き」とした。相互関税を下げるためには、韓国が防衛費分担金を高めなければならないという意味を示したのだ。
特にトランプ大統領は「韓国は私の最初の任期のうち、初めて防衛費分担金を支払い始め(※トランプ大統領は前に大統領だった頃から自分の功績で韓国が防衛費を支払うようになったと主張していますが、その前にも一定部分を負担していたという反論もあります)、これは数十億ドルに達する」と防衛費再交渉を要求することを示唆した。トランプ大統領は初の在任時である2019年に1兆389億ウォンだった在韓米軍防衛費分担金を当時の為替基準で5倍水準の50億ドルに増額することを要求したことがある。ケビン・ハシットホワイトハウス国家経済委員会(NEC)委員長は、フォックスニュースのインタビューで「今のところは、韓国、日本など同盟と(交渉を)優先するよう指示を受けた」と話した。権限代行は「両側は、相互にウィン・ウィンする方案を見つけることができるように貿易均衡を含む経済協力分野で長官級で建設的な協議を続けていこう」と話した(東亜日報)・・>>
記事で、ホワイトハウスの人が「同盟との協議を優先するように言われた」と話したのは幸いですが・・もともと今回の関税関連の騒ぎが「現実のものになった時点」で、すでに米国という国に対する見方はかなりの影響を受けたことでしょう。他よりも、その同盟国たちがもっとも大きな懸念を受けたはずです。これを「トランプ政権」だけの問題にするのか、それとも「米国」という国への見方にするのか。後者なら、それは結構長く続くことでしょう。ちなみに、この前の日本関連のように「担当閣僚を決めた」「優先協議対象」とか、そんな話はいまのところ出ていません(これは韓国との会談が弱かったという意味ではなく、どちらかというと日本との会談の後の反応がユニークで、他の国との協議においては、閣僚を担当者にしたりする反応はありませんでした)。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。