相変わらず3500億ドル関連で多くのニュースが出ていますが、そんな中、「凍結」と「中断」についての記事がいくつか出ています。李在明大統領は、北朝鮮の核問題解決について「非核化」を目指すけど、その前に「中断」でも交流や関係正常化、支援などを再開すべきだと主張しています。中断から縮小へ、そして縮小から非核化に繋げるというのです(国連総会演説で)。文在寅政権が日米と対立していた「先に支援(制裁解除または例外措置)、後で非核化」とほぼ同じものだと見てもいいでしょう。この部分、最初は多くのメディアが「凍結を主張した」と報じていましたが、ちょっと時間を置いて、「凍結ではなく中断と言ってない?」という指摘が出てきました。今回、魏聖洛 国家安保室長のインタビューで米国との関税交渉や李大統領の非核化関連発言など多くの内容が報じられていますが、その中にもこの「中断と凍結」の話があります。
安保室長は、「凍結にはいったん止めてそのままにするという意味があるので、日本と米国はこの単語を好まない」とし、「だから、中断という単語のほうがより強い表現になる(廃棄、非核化まで繋げられる)」と主張しています(イーデイリー、30日)が・・実はこの件、京郷新聞(28日)はこのように指摘しています。「凍結には『検証』が含まれているが、中断には?」。前例として、「凍結」には検証が必要です。凍結しているのかどうか、例えば1994年の合意書には、凍結にはIAEAなどによる検証が必要だという内容が含まれていました。しかし、中断は公式用語ではないので、IAEAなどの検証がなくても成立するという指摘です。安保室長は「中断にも検証は入ってる」としていますが、現場でなんと言ったのか、記事は「どうもすっきりしない」とも。記事はこの部分について「(先の合意書のような説明の前例がないので)ちゃんとした説明が必要だ」としています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・魏聖洛 国家安保室長は30日、韓国が要請した通貨スワップを米国が受け入れる可能性について「楽観的には見ることができない」と明らかにした。ただし、米韓両国が関税交渉で妥結点を見つけることができるだろうと見通した・・・・関税交渉に関しては楽観的な見通しを出した。彼は「今まで難しい交渉を引き出してきた経験から類推すれば、あまり悲観的ではない」とし「最初は難しかったし、その後はよく引っ張ってきて、再び難関にぶつかった局面だが、また私たちの軌道を見つけることができるだろう」と話した。それとともに「いつになるのかまでは分からないが、来月末、アジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議が一つのきっかけになる可能性がある」と話した・・
・・非核化に関しては「最近『凍結』の代わりに『中断』という用語を使うのは、意志が弱いという批判も出ているが、むしろその反対が」とし「凍結より中断のほうがが強い概念」と反論した。彼は「凍結という言葉は、凍結させた後、ただそのまま置いておこうという先入観を与えるため、米国と日本はそれを好まない」とし「一方、中断は、非核化の出発点である」と話した。李大統領が最近米国ニューヨーク証券取引所を訪問し、「北朝鮮が体制維持に必要な核兵器を十分に確保した」と述べたことについては、「北朝鮮核に対する危機意識を明らかにしたものだとみられる」とし「北朝鮮核を認めるという趣旨ではなく、警戒心を持たなければならないという点を強調した発言だ」と説明した(イーデイリー)・・>>
<<・・1994年10月、米朝基本合意書、すなわちジュネーブ合意は、北朝鮮核交渉の最初の結果であった。合意書は、「北朝鮮は黒鉛減速原子炉および関連施設の凍結を履行し、凍結状態をIAEAが監視することを許可する」と規定した。「凍結」(freeze)には、核物質の生産が止まったかどうかを確認・検証する過程が含まれているとしたのだ。ジュネーブ合意はジョージWブッシュ政権の登場で破棄された。2006年、北朝鮮の核実験の後、北朝鮮との核交渉は、凍結よりもさらに強い「閉鎖」「不能化」のような用語が使われるようになったが、合意、交錯、危機、交渉を繰り返した結果、失敗した。 2019年の米朝首脳会談が決裂した以後、北朝鮮は2022年9月に核保有国を一方的に宣言し、非核化の対話に応じないでいる。
李在明大統領は23日、国連総会の基調演説で「北朝鮮の核・ミサイルを中断→縮小→廃棄する」という3段階の非核化構想を明らかにした。先月初めに提示した3段階構想から、「凍結」が「中断」(stop)に変わったのだ。魏聖洛 国家安全保障室長は「凍結より中断がより適切な表現だ」とした・・(※しかし)・・国際社会が理解する「凍結」の意味には検証が含まれている。よって、「北朝鮮が検証なしに核・ミサイル中断を宣言すれば、それだけで対話を始めるという意味なのか」という質問が出てくるしかないわけだ。安保室長はこれに対し、「中断にも検証が含まれる」としたが、どうも明快ではなかった。3段階構想がまだ体系的に完成した論理ではないかもしれないが、大統領室は、凍結と中断の違いが何なのかを説明する必要があるだろう(京郷新聞)・・>>
さて、今日、釜山で日韓首脳会談が開かれます。「別れの挨拶」だけで終わってほしいところですが、またなにか余計な発言をするのではないかと心配です。今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日(10月1日)の11時頃になります。石破総理の訪韓関連でも、コメント欄は自由に利用してください。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。