「デジタル政府」韓国行政サービス、1週間経っても復旧17%・・バッテリー火災用消火器を用意せず

9月28日にもお伝えしましたが、「デジタル政府」を掲げて、なんでもデジタリますと宣言した韓国政府。しかし、データセンターでおきたバッテリー火災で、各種行政オンラインサービスが利用できなくなりました。まさに全国レベルで、飛行機搭乗から各種書類発給、さらには銀行取引にまで影響を及ぼしています。YTN(2日)の記事によると、1週間が経ちますが、まだ復旧率は17%だとのことです。ちなみに2年前にも、(多分、バックアップをちゃんとしなかったことで)アップデート失敗の問題で国中の行政オンラインサービスが全て止まったことがあります。今回は、当時より長くかかっています。9月28日に紹介したKBSの記事の中に「政府はAI 3大強国という国政課題を選定しましたが、国家電算網という基礎体力はどれだけ頑丈なのかを振り返ってみなければならないでしょう」という指摘が、まさに正論ではないでしょうか。

そんな中、データセンターに、バッテリー火災のときに使える消火器が用意されておらず、職員たちが(リチウムイオン電池による火事には効果がない)ハロン消火器を使って消火しようとして、初期消火に失敗したという報道がありました。なんか基準は作っておいたけど、実際に基準をクリアーした製品が無く、消火器を備えておくことができなかった、とのことです。ちなみに、消防隊も持ってなかった、とも。外国にもないのか、それとも国産でなければならない条件でもあるのかは明記されていません。国際基準に沿ったものなら、外国製品には普通にありそうなものですが。ソース記事は東亜日報(1日)です。ハロン消火器は、映画などでよく出てくる「粉末」ではなくハロゲンガスを出すため、データセンターのようなところでは効果的ではあります。しかし、温度が急激に上がるリチウムイオン電池の火事などには、効果がありません。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・国情情報資源管理院(※デジタル政府の中核となるデータセンターで、全国に何箇所かあります) 電算室火災で行政サービスが止まってから、もう一週間になろうとしていますが、復旧作業はなかなかスピードが出せないでいます。政府は、復旧速度を高めるために人員と予算を総動員して期間を短縮するという案を出しました・・・・今日の午前6時基準で回復されたオンライン管理システムはすべて110個です。昨日の午後4時までに101個が復旧されたので、夜の間に9つが追加されたわけです。火災で稼動を止めたシステムはすべて647個で、回復率に換算してみると17%です。まだ復旧を待っている行政サービスは537個に達します。

中央災害安全対策本部は、復旧が完了するまで1ヶ月ほどはかかると予想しています。政府は国家情報資源管理院に現場状況室を設置し、昼夜もなく復旧作業にぶら下がっています。ところが、公務員が業務用資料の保存用途に使う「Gドライブ」は復旧できないことが確認されました。これまで外部バックアップが行われていなかったためですが、結局、人事革新処など、このシステムを使用する中央省庁の公務員12万5千人余りの業務用個人資料がすべて消えることになりました(YTN)・・>>

 




<<・・国家電算システムの機能停止を招いた国家情報資源管理院の火災で、職員たちがリチウムイオン電池には効果がない「ハロン消火器」を使って、自力で消火を試みていたことが(※9月)30日、確認された。初期消火に失敗したことで、問題はあっという間に拡大した。政府がバッテリー火災用の消火器の基準を作ってから9カ月が経つが、その基準を満たした製品はまだ一つもなく、開発支援を急ぐべきだとの指摘が出ている・・・・消防などによると、例の火災は9月26日午後8時15分ごろ、国情資院の大田本院5階の電算室サーバーの横に設置された無停電電源装置(UPS)リチウムイオン電池から発生したとみられる。

発生直後、電算室に備え付けられたハロン消火器で火を消し止めようとしたが、失敗した。その後、現場に到着した消防隊員も同じ消火器で対応したが、その7分後に電池から再び炎が上がった。ハロン消火器は、粉末の代わりにハロゲン・ガスを放出するため、残滓がない利点がある。電算室や美術館などデータ損傷や文化財被害を最小化すべき場所でよく使われる。しかし、リチウム電池の火災には効果がない。電池内部で化学反応により「熱暴走(thermal runaway)」が起きると温度が1000度以上に達するため、ハロゲンガスをかけても止まらないからだ。

熱暴走を抑えるには、特化した薬剤が必要だ。しかし、その効果が消防庁から認証された消火器がまだ存在しない。9月30日、消防庁によると、消火器は消防施設法に基づき、韓国消防産業技術院の型式承認と製品検査を経なければ流通できなくなっている。しかし、現時点でその手続きをクリアーした製品は存在しないという(東亜日報)・・>>

 




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・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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