結構前から本ブログで取り上げて来ましたが、実は1970年代から韓国メディアも社会問題として取り上げてきた、韓国社会の私教育(サギョユク、塾や家庭教師などによる教育)。しかし収まる気配はなく、最近は過ぎた早期教育が問題になっています。前に取り上げたのは4月28日で、「7歳考試」「4歳考試」についてのものでした。すでに30兆円規模まで膨れ上がったと言われている、韓国の私教育市場。その中には、良い幼稚園、特に幼い頃から英語を教えるための「英語幼稚園」が流行っており、名門幼稚園・・書いていてちょっと笑ってしまいましたが、有名な幼稚園には相応のテストがあります。日本でもっと一般的に使われる言葉で意訳するなら、「4歳(7歳)入試」とでも言いましょうか。
幼稚園によっては、7歳あたり、超・早期教育を掲げた英語幼稚園などは4歳に入試(?)があるため、それに備えてまるで大学入試のような戦いが繰り広げられているわけです。そんな中、全国的にADHD(注意欠如・多動症)薬の処方が急増しており、特に、0歳~4歳の子供に対し、メチルフェニデートなどAHDH薬が3年間で3万8356錠も処方されている、とのことでして。すべてがそうだとは思いたくありませんが、中央日報(1日)、ソウル新聞(2日)などは、「いわゆる4歳入試のため、集中力を強化するための処方でしかない」と報じています。さらに、もっとも多く処方されているのは、「6歳までは処方しない」、または「5歳未満には有効性や安全性が確立されていない」薬だそうです。ここまでの教育を受けて育った子が、青年になって、「(韓国式に言うと)大企業にも入れない」ことになったら、何を思うのか・・そんなところも気になります。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・満5歳未満の幼児に、ADHD治療剤が毎年1万錠以上も処方されていることが確認された・・・・1日、国会保健福祉委員会所属のソ・ミョンオク国民の力議員が食品医薬品安全処と健康保険審査評価院から受け取った資料によると、2022年から昨年まで3年間、0~4歳の乳幼児に処方されたADHD治療剤(成分名メチルフェニデート)は計3万8456錠だった・・・・毎年約1万2000錠が着実に処方されつつあり、0~4歳の乳幼児対象処方の70~80%は、健康保険が適用されない「非給与処方」だった(※韓国では健康保険が適用されない処方をこう言います)。 ADHDとして正式な診断を受けていない児童にも処方された可能性を示唆するデータだ。
乳幼児に処方されるメチルフェニデート成分、ADHD治療剤のほとんどは、「5歳以下の乳児に対する安全性と有効性が立証されていない」と明示しているにもかかわらず、処方が急速に証している。特に5~9歳児に対する処方は2022年25万4871件から2024年35万4342件に39%増えた。処方された量も約843万錠から1,310万錠に55%も急増した。全体的にも、国内ADHD治療剤の使用は急増している。2020年に3700万個水準だった処方量は、昨年9000万個を突破し、患者数も同じ期間の2倍以上増加した。特に10代未満と10代の昨年の処方量は合計4561万個で、4年前(1882万個)より2倍以上増えた・・
・・早期私教育熱風が、この現象を煽る主な要因として指摘されている。私教育を始める子供たちの年齢層はますます低くなっている。入試教育の聖地と呼ばれるソウル江南区デファ洞の一部英語学院では、7歳クラスの教材として米国小学校3~4年生が使う教科書を使用することもある。教育部によると、2019年の全国の英語幼稚園は615カ所だったが、2023年に842カ所に増加し、同期間に一般幼稚園は8837カ所から8441カ所に減少した。子供の家(※保育施設の総称)を卒業する3~4歳から、乳幼児対象の英語学院に子を送るため、英語私教育年齢はがさらに下がっている。若い母親たちが集まるマムカフェなどでは、米国小学校の学年別問題集である「スペクトラムテストプラクティス」を、英語学院レベルテストに備えて推薦することもある(ソウル経済)・・>>
<<・・医療関係者たちは、特に満5歳未満に対する非給与処方に懸念を示している。薬学情報院によると、昨年最も多く処方されたADHD治療剤である「コンサータOROS」は、5歳以下の小児に対する有効性と安全性が確立されず、なるべく使用してはならない。続いて多く使われた「メディキネットリタードカプセル」と「フェニード錠」は6歳以上から使用できる。ある医療関係者は「専門医ではなく一般医院で保護者の要請に応じて処方が行われるからだとと思われる」と話した。「4歳入試」、「7歳入試」という新造語が作られるほど過熱した早期教育熱風が、ADHD治療剤の使用を煽る主な要因として指摘される。
5歳の娘をソウルデファ洞の学園に通わせているある30代主婦は「周辺で『パッとよく集中力が上がる』として処方を考えている母親が多い」と伝えた・・・・薬剤師A氏は、「治療目的なら非給与処方ができないので、乳幼児にADHD治療剤が誤用されている(※ちゃんと診断された患者に対し治療のために処方しているわけではない)という意味になる」と話した(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。