米国と韓国の関税交渉、合意(合意の合意)に進展があったと報じられています。米国側が「新しい条件」を出したとのことで、対米投資3500億ドル全額現金ではない、または通貨スワップ、そういうものではないのか、とも。どういうものかは分かりませんが、そもそも韓国側の記事は、対米投資3500億ドルを「一回払」のようにパッと一気に現金で支払う(預ける?)ものだとする論調ですが、実際はそういうわけでもないので、ひょっとすると「新しい条件」ではなく、「説明」があったのかもしれません。詳しくはいずれ分かるでしょう。今回の、月末に慶州で開かれるAPEC首脳会議、詳しくは「その前に訪韓するトランプ大統領」のタイミングでなにか進展がないと、そろそろ前の合意そのものが実質的に無効化される可能性もあるでしょう。
そんなこともあるし、さらに、前から「慶州APECこそ、実用外交(中身は仲介・仲裁外交)の正念場になる」としてきたこともあって、多くのメディアがAPEC関連記事を載せています。しかし、日程はまだまだ確定していないものの「トランプ大統領はAPECには参加せず、その前(29日?)に訪韓する」「一泊二日で調整しているという話もあるが、日帰りの可能性が高い(ソース記事も題で「日帰り有力」としています)」「米中首脳会談、米韓首脳会談はあるのか」「慶州宣言の重みがなくなってしまう」など、その内容はそうポジティブなものではなくなりました。そもそも慶州宣言ってなんぞや・・と思ったら、各国が共同で出す共同宣言文書のことだそうです。
いつからそんなに多国間協議の共同宣言を気にしたのかは分かりませんが、とりあえずなにか共同宣言みたいなものが出ると、それがそのまま李在明大統領の「実用外交」の証明になる、と思っている・・そんなところ、でしょうか。「議長国」というものを勘違いしているのではないか、そんな気もします。そもそも、李在明政権は、仲介・仲裁に値することを何もしていません。結果としては失敗でしたが、それでも文在明政権のときは、米国と北朝鮮の間で「特別使節」による情報の交換(内容はズレていました)を行っていたし、米朝首脳会談に国際社会が注目していることもあって、相当な話題になりました。今回はそういう動き「すら」ありません。何をもって実用、仲介などというのでしょうか。デイリアン(12日)が関連記事を載せましたので、<<~>>で引用してみます。また、米中首脳会談については、記事が掲載された後に、トランプ大統領が多少丸くなったニュアンスで「多分、中国との会談はやる」と話しました。
<<・・ドナルド・トランプ大統領が今月末に開催される慶州アジア・太平洋経済協力体(APEC)首脳会議の本行事に参加しない可能性が有力だとされている。トランプ大統領は、日本を訪問した後、本行事前に日帰り、または1泊2日の短い訪韓日程を検討しており、本会議の重みがなくなってしまう可能性があるという懸念が出ている。特にAPECを外交成果のための舞台にしようとした李在明政権の「実用外交」構想にも、ブレーキがかかったという評価も出ている。
11日、外交情報筋によると、トランプ大統領は26日からアジア訪問を始め、29日に韓国を訪問して「日帰り」または「1泊2日」の日程を消化するという観測が有力だ。政府高位当局者は「おそらく29日からトランプ大統領は慶州に2日間滞在する可能性が高いが、日帰りの可能性もないとは言えない」とし「米韓首脳会談、米中首脳会談を行い、短い日程だけ消化した後に帰国するものと見られる」と明らかにした。先にトランプ大統領は10日(現地時間)ホワイトハウスで、韓国で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力体)首脳会議(10月31日~11月1日)をきっかけに習近平中国国家主席と会談を予定したことと関連して「私たちがそれ(米中首脳会談)をやるかはわからないが、そこ(慶州)には行くだろう」と言ったことがある。
ただし、米国側が具体的な日程を確定していないだけに、流動的である。予測ができないドナルド・トランプ米大統領であるだけに、長くない訪韓期間の中、米韓・米中首脳会談も行わないと言っても、全く驚くことではない。もしトランプ大統領が29日の1泊日程で慶州に滞在することになれば、31日開幕するAPEC本行事には参加しないという観測が多い。その結果、APECに出席するのではなく、「かするだけ(※ちょっと寄っていくだけの)」訪問になる可能性も提起されている。
一部では、韓国の3500億ドル規模の対米投資計画が具体化されなかった場合、米韓首脳会談が形式的水準の略式会合にとどまったり、会談そのものが行われない可能性もあるとされている。政府の内外ではAPECまでは交渉の進展が容易ではないという気流が感知される。米韓首脳会談を控え、政府自らハードルを下げるのも、異例のことだ。
また、APEC加盟国は、ほとんどがトランプ大統領が引き起こした関税問題の影響を受けているだけに、合意文書、「慶州宣言」が導出されるかどうかも注目されている。最小限の共感帯も用意できなかった場合、議長声明だけが出てくるかもしれない。さらには、トランプ大統領が本行事に参加しない場合、「慶州宣言」の象徴性も薄くなるしかないという指摘が、外交関連者たちの間で提起されている(デイリアン)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。