木原稔官房長官「『米大統領が中国挑発しないよう助言』との事実はないと、明確にしておきます」

ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた「日米首脳電話会談で、米大統領が『中国挑発しないよう助言した』」という内容(WSJ元記事はこちらですが、会員記事です)。壮大な「そんなこと言ってない」展開になったので、取り上げてみます。昨日も、本題ではないもののこの報道のことで「議会など含めての米国の最近の動きとは合わない気がする」などと書きましたが、昨日の午後、木原稔官房長官が「外交に関する内容なので首脳同士の電話会談の内容を詳しく話すことはできないが、その「『米大統領が中国挑発しないよう助言』との事実はないと明確にしておきます」と話しました。WSJ側に申し入れを行った、とも。何かの形で抗議を行ったのでしょう。

直後、WSJの記事をもとにして同様の内容を報じていたロイターはすぐ「木原稔官房長官によると~」と別の記事を載せましたが、28日朝の時点では、WSJに新しい動きはありません(私が個人的にチェックした限りでは、ですが)。さて、この件、聯合ニュースなどは何度も同じ記事を載せて、普通に「こんなことになっています」と報じていますが、何も報じないで「この話は終わり」なやり方のメディアも多く、昨日までは高市首相と米国の関係を書いた記事(主に「米国に後頭部をたたかれた」としていたもの)が無数に出ていましたが、今朝には急に静かになりました。中には「詳細は話さないとしていた」「似たような発言があったという話もある」などと報じているメディアもあります。




個人的に、高市早苗首相の発言は、それが意図したものであれ野党側の質問に答える過程で出てきたものであれ、「誰かが言っておくべきことだった」と思っています。だから撤回してほしくないし、いまのところ撤回しそうな動きもありません。立憲民主党の野田佳彦代表が党首討論の後に、高市首相が「事実上の撤回をしたと受け止めた」と話して、これもまた「そんなことは言ってないのでは」と話題でしたが・・FNNプライムオンラインによると、中国外務省は「正式な発言撤回なければ受け入れず」と強調した、とのことでして。

今回の件、なぜWSJがあのような記事を載せたかはわかりません。なにかの力が動いた可能性もあるし、取材内容に間違いがあったか、それとも取材内容への「ねじまげ」があったかもしれません。どうであれ、今回トランプ大統領がはっきりした態度を示さない(示せない?)という見方をすれば、電話会談でもそんな話をしたのではないか、と思うこともできなくはありません。しかし、中国側が要求しているのが「発言の撤回」なら、話が違うでしょう。トランプ大統領も高市首相も、そこまで動くとは思えません。これ、韓国の外交でもたまに同じコトがありますが、「自分で条件を出す」のは、諸刃の剣です。個人的に、このまま長引けば、中国が折れる(撤回という目的を達成できず、事実上の負けになる)しかないのでは、と見ています。以下、聯合ニュースから該当部分だけ<<~>>で引用してみます。




 

<<・・ドナルド・トランプ米大統領が、25日、高市早苗 日本首相との通話で、「台湾問題で中国を刺激しないようにと助言した」という米国日刊ウォールストリートジャーナル(WSJ)の報道に対して、日本政府が「事実ではない」と話した。日本政府の広報担当者である木原稔官房長官は、27日午後、記者会見でWSJの報道が事実かどうかに関する質問に「トランプ大統領が台湾の主権に関する問題で(高市首相に)中国政府を挑発しないように助言したという記述があるが、そうした事実はないということを明確にしておく」と述べた。

※すでに動画なども出ていますが、官房長官の発言は「会談の詳細は外交上のやり取りなので差し控えますが、記事の中の『トランプ大統領から台湾の主権に関する問題で中国政府を挑発しないよう助言』との記述がありますが、そのような事実は無いという点は、明確にしておきます」というものでした。

木原官房長官は該当報道の取り消しを要請するかどうかという質問に関して、「そのような事実がないため、この点はWSJ側にも意思表示をした」と、事実上、抗議の意を伝えたと明らかにした。彼はこの日午前、記者会見で「会談(通話)の詳細は外交相対話なので回答を控える」と話し、午後に立場を変えて報道内容を否定した理由については、「政府に多くの照会(問い合わせ)があって(記事内容が)事実ではないことを明確にする必要があると判断したためだ」と話した。WSJの報道と関連して、日本政府関係者はNHKに「トランプ大統領と高市首相の間に、事態の鎮静化のために協力していこうというニュアンスの話はあった」とし「(米国が)自制を要求したわけではない」と話した(聯合ニュース)・・>>

 




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