今日は、面白い分析を一つ紹介します。
Robert E Kelly氏の、「なぜ韓国はこんなにも日本を気にするのか」です。
2015年のものですが、まだという方々は是非。
英語ですが、URLは:
https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/why-south-korea-so-obsessed-japan?collcc=351061185
(↓ここから「続きを読む」の後になります)
釜山大学の教授でもあるロバート・ケリー氏の分析で個人的に面白いと思ったのは、正統性(legitimacy)やアイデンティティーという言葉が多用されていることです。
本ブログで正統性(legitimacy)という言葉を使うようになったのが二〇一四年からで、「韓国人が暴く黒韓史」が二〇一五年に出ましたから、本ブログとほぼ同じ時期に正統性というキーワードを韓国の分析に使っていた、ということになります。こういう抽象的なことで同じ意見を持つ人がいるとわかると、心強いですね。
教授は、こう主張しています(以下、かなり意訳が入っています)。
・政府も民間も、韓国はナショナリズムを重要に教えている
・韓国のナショナリズムで日本を否定することは何より重要だ
・しかし、韓国のナショナリズムが北朝鮮を否定することは無い
・なぜなのか?その理由は、そのナショナリズムの側面からすると、韓国が北朝鮮に勝てないからだ
・韓国人が信じているナショナリズムだと、北朝鮮人こそが韓国人より純粋な「minjok(民族の韓国語読み)」になる
・(その劣等感から)韓国人は朝鮮民族として、日本を民族の敵と決めつけ、反日をやめるわけにはいかないのだ
・韓国の反日は(政治的、歴史的なものというより)韓国人のアイデンティティー宣言であると言うべきだ
教授は「北朝鮮のほうが正統性がある」の理由として、(韓国の民族主義的な見方では)韓国は「米国の植民地」でしかなく、欧米化された価値観に飲み込まれているなど、古い民族的な何かを韓国が北朝鮮ほどちゃんと守っていないことを指摘しています。
しかし、私はそれとは違って、正統性には臨時政府に基づく見方が必要であると考えています。米国の植民地云々は韓国の左派がよく言い出すことですが、保守右派にも民族主義や反日思想は強く存在しています。
韓国が正統性で北朝鮮に負けていると確実にするためには、韓国の左にも右にも共通する、もっと「韓国という存在の総意としての何か」を持ち出す必要があり、それが臨時政府、すなわち捏造された「抗日」の歴史です。いわば、反日が韓国の歪んだ民族主義のせいで存在するのではなく、韓国の歪んだ民族主義そのものが反日から起源したものなんです。
北朝鮮は、ゲリラ戦とはいえ少なくとも日本と戦ったことはあるし、戦後、臨時政府の法律(土地の国有化など)も守りました。
それに、正統性も民族主義も、韓国の反日思想の「ある一定の部分」を説明することは出来ても、反日の全てを説明することはできません。それこそ、「宗教」「信仰」に匹敵する様々なアプローチが必要になるでしょう。
しかし、見解の相違があるとはいえ、「反日は韓国の民族主義と密接な関係があり、韓国人の精神世界を安定させるため、韓国人は反日を捨てることが出来ない」とする内容、そして「ある種の劣等感が作用している」という分析にも、ほぼパーフェクトに同意します。
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