「政治権限を市民(団体)に渡せ」

 

ずっと書いてきてますが、韓国社会は何もかもが「極端な二元論」で出来ていて、ウリとナムとも言いますが、「味方か、敵か」しか存在しません。

韓国の政治も、例外ではありませんでした。韓国政治会を両分する二大勢力、勢力Aと勢力Bがあるとします。AとBは、もちろん両極端なウリとナムとして敵対しています。そこで、勢力Aが権力を握ったと仮定します。でも、Aは安心できません。次はBが権力者になるかもしれないからです。敵対している両極端である、AとBしか存在しないからです。それ以外の可能性は最初からありません。

だからAは、Bが権力者になっても自分の主張が潰されないように、法律に自分の主義主張を刻んでおくことで、ある種の予防線を張っておくわけです。法律、特に憲法をいじっておけば、次の権力者でもそう簡単にはAの主義主張をガン無視できません。

しかし、Bが権力者になっても、同じことをやります。「特別法」とか、または「改憲します」とかいって、Aが法律に刻んでおいた予防線をまるごと破壊します。でも、その次にAが権力者になって、また無限ループします。だから、保守政権だの左派政権だのと、いつも「報復政治」が繰り返されます。

 

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これらの問題に対し、韓国では市民団体などを中心に、「政治権力を大統領や国会ではなく、市民(市民と言っても、実は市民団体)に渡せ」という主張が強くなっています。

まだ本格的な動きがあるわけでもありませんが、「ロウソク精神」の憲法化も、いたるところで議論されています。7月にも、ソウルで改憲に関するフォーラムが開かれ、「現行憲法は全斗煥一味が作ったものだから全部壊して、ロウソク革命精神で国民主導の憲法を作ろう」という話が盛り上がりました。

そこでは、「大統領の権力が強いから、その権限の一部を国会に任せるという考え方は間違っている。国会ではなく、市民に与えないといけない」とし、市民団体の政治力強化が大きなテーマとなりました。

http://v.media.daum.net/v/20170723194003027

 

さて、どうでしょう。

「韓国人による末韓論」にも書きましたが、韓国社会では「ダダコネ法」という言葉が流行っています。毎日経済紙の毎経時事用語事典によると、「法の適用を無視し、無差別に駄々をこねる、またはテゴジ(強制的に物をもらっていく物乞いの群れ)のように群れをなしてあっちこっちで違法デモを行うこと。この新造語は、自分の属した集団だけを優先する(集団利己主義)、法秩序を無視する世の中を反映している」とのことです。このダダコネ法は、あの国民感情法(国民情緒法)よりも強いと言われています。

しかし、そこまで「ダダコネ」して、法律よりも上に君臨するために必死になった市民団体ですが・・彼らが権力を手にした後に、最終的に成し遂げようとするのは、自分たちの意見を「法律化」することです。

自分たちの主義主張に楯突く勢力に対し、こう言うためです。「法律を守れ」、と。

自分たちの意見を法律そのものとすること。できれば憲法にすること。これこそが、「ダダコネ法」の最上位の目標であります。理由は、先に書いたAやBとまったく同じです。次に権力を得た別の団体が、自分たちの主義主張を潰しにかかるのでは、と不安だからです。

まとめると、名のある政治家から市民団体代表まで、誰もが「自分が法律を守るのではなく、法律が自分を守るべきだ」と考えているわけです。

 

 

最初に書こうとした本題からは盛大にズレましたが、このロウソク革命精神(?)の憲法明記は、これからも注目したいと思います。

 

 

 

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