夜の雑記です。
いつだったか、法王が韓国を訪問した時、「霊的に生まれ変わるべきだ」と話したことがあります。霊的という言葉を「心の奥底から」「全身全霊で」などで考えると、韓国にとってとても必要な教えであります。これが前提となります。
ですが、一部では法王のこの言葉が「韓国を叱ったもの」として使われているようで、本当にそうなのかどうか、今日はその件を書いてみたいと思います。
法王という「立場」を考慮して「霊的に生まれ変わる」を考えてみると、そのお言葉は、「キリスト教徒になれ」の迂回的な表現です。
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もともと「生まれ変わる(born again)」というのは、イエスが使った表現です。
ニコデムス(ニコデモ)だったかな?あまりにも長く聖書を読んでないのでうろ覚えですが、「神の国に入るにはどうすればいいんですか?」とイエスに聞いた彼は、「生まれ変わらないといけない」と言われて、びっくりしました。ニコデモは、慌てて「ママの中にもう一度入れるわけでもないし無理っす!」と反問します。
イエスは、こう説明します。「真実を教えよう。神の王国に入りたければ、誰でも水と霊で生まれなければならない。肉は肉に生を与え、霊は霊に生を与える。だから生まれ変わるべきだと言われて驚くことは無い(≒ググれ)」。
余談ですが、キリスト教では信徒たちに「イエスを迎え入れた」とする儀式を行います。洗礼や、水に浸かる儀式(浸礼)などがそれで、「一度(水に溺れて)死んでから生まれ変わる」意味がある、と言われています。
イエスがどんな思いでニコニコ動画デモにそんな話をしたのかは、よくわかりません。ただ、後でキリスト教では、イエスのこの言葉「生まれ変わらないといけない」は、「イエス・キリストを信じなければ誰も天国に行けない」たる意味になりました。
キリスト教の教えの中心は、「イエス・キリストを救世主として迎え入れると、罪から解放される=救援を得る」というものです。キリスト教では、イエスだけが「神」に至る唯一の道です。人がどれだけ自力で善行を重ねようと、天国には行けません。人はだれでも、肉で与えられた肉の命でどれだけ頑張っても、霊的背負っている罪はどうにもならないからです。その罪を自分の力で打ち消すなど、できません。ただ、イエスだけがその権限を持っています。全人類の罪を背負って「自ら死んでくれた」イエスを信じ、自分の救世主として受け入れることこそが、罪を許してもらえる唯一の方法である。これはプロテスタントもカトリックも同じで、キリスト教の核心教義となります。
「神の国に入る=天国に行けるまたは救援を得る」には、「霊的に生まれ変わらないといけない=罪を許してもらう」必要があり、それは「イエスを信じること」と同じである。そういう流れになったわけです。イエス本人がそのつもりで言ったのかどうか、それはわかりませんが。
余談ですが、カトリックでは「同じ父(神)のもとで生まれ変わった」者同士だから、いまでも神父をファザーというし、若い男性同士ではブラザーというし、女性の場合はマザーとかシスターとか言います。
こうしてみると、法王の「霊的に生まれ変わるべきだ」とする言葉は、「イエス・キリストを信じなさい」と言いたかっただけかもしれません。それが、彼の知っている救援救済の唯一の方法であり、彼の「立場」から考えると、彼の約目そのものでもあります。
韓国人だろうと日本人だろうとイタリア人だろうと、イエスを信じない人は法王からすると「霊的に生まれ変わらなければならない」人であり、「イエスを信じるようにしなければならない対象」であります。
人も物も、韓国社会全てが「心の奥底から反省し、生まれ変わる気持ちでやり直さないといけない」とする意見には、私も大いに同意します。
しかし、法王の「霊的に生まれ変わる」という言葉をそのために使うのは・・・どうでしょう。別によくないとまでは言いませんが、さすがに抵抗感があります。
とはいえ、最初にも書きましたが、前提というか、本当に大事なのは、「言われた側」がその言葉をどう捉えるかでありましょう。宗教の教義的な解釈をしないなら、本当に韓国社会に必要なお言葉なんですが。キリスト教徒が多い韓国では、よくある宗教的表現の一つとして聞き流された感があって、非常に残念です。
法王が、普通に「懺悔せよ」と言ってくれたら、もっとよかったかな・・な気もします。懺悔ももともとは宗教で使う言葉ですが、韓国では「深く反省して悔い改める」という意味で一般的にも広く使われていますので。
肉は肉に生を与え、霊は霊に生を与える。宗教的ではなく、「第二の人生」という今の私に建設的に適用できないかと、いろいろ考えてみたい今日この頃です。
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