前から載せようとしていた内容ですが、2週間近く遅くなりました。
2月1日、与党「共に民主党」が、改憲の試案をまとめました。
まだ10回目の改憲が具体的に見えてきたわけではありませんが、大統領を重任可能にする(いまは、韓国の大統領は一回しか就任できない単任制です)かわりに、大統領の権限の一部を国会に移すことが噂されています。
共に民主党が発表した改憲試案は、憲法にある130の条項のうち、90条項に手を加えた大規模なものでした。「韓国経済」は、社説にてこの試案を「表面的には諮問委員会が作ったとしているが、事実上の『改憲の草案』ではないのか」と指摘しています。しかもそこからもっとも目立つのは、大統領の権限移譲ではなく、「自由民主主義」から「自由」の字を削除したことでした。
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試案には、現憲法に明記されている「自由民主主義(憲法四条・自由民主的基本秩序)」という部分から「自由」が消え、「民主」だけになっていました。
法律関連で韓国の価値観を定義する時は、「自由民主主義国家である大韓民国」としなければなりません。なぜなら、北朝鮮も自分たちのことを民主主義国家(朝鮮民主主義人民共和国)だと主張していますが、さすがに「自由民主主義国家」だとは言えないでいます。自由の字を入れると、北朝鮮のような独裁統治は成立できなくなり、思想体系と合わなくなるからだ、と言われています。韓国の憲法裁判所も、韓国の憲法にある「自由民主主義を根幹とする」という部分は「唯一政党や独裁体制を認めないという意味を持つ」としています。だから、韓国は「民主主義国家である」としただけでは、北朝鮮との「区別」、すなわち「決して価値観を共有できない」という意味ををハッキリ出来ません。だから、「自由民主主義国家である」と書かないといけないわけです。
そのせいもあって、今回の「自由」削除の件で、「いくらなんでもマズイだろう」と共に民主党内外で批判が集中し、共に民主党は試案の公開わずか4時間後に、「ミスだった」と発表しました。スポークスマンが間違えたというのです。
しかし、それはただの言い訳。チャンネルAの報道によると、共に民主党は議員たちを相手に、「自由」の字を入れるべきかどうかのアンケートを実施しました。結果、60%が自由の字を入れるべきだとした、とのことです。言い換えれば、韓国の与党の国会議員の40%は「憲法に自由の字を入れる必要はない」と思っていることになります。先、韓国現憲法の「自由民主主義」は、北朝鮮のような体制を否定するためにあるものだ、とする憲法裁判所の見解を紹介しました。すると、共に民主党の40%の議員たちは、北朝鮮のような統治体制でも「韓国の憲法上、問題ない」ものだと思っているのでしょうか。
他にも共に民主党の改憲試案には、憲法前文に「釜馬抗爭、518民主化運動、6月抗争、ロウソク革命の継承」を明示するとしています。
釜馬抗爭は1979年、518(光州民主化運動)は1980年、6月抗争は1987年に起きたことで、基本的には「保守右派の軍事政権が、リベラル左派の民主化運動を暴力で鎮圧した」事件となっています。もちろん、左派と右派とでは、見方が大いに異なります。
さらなる問題として、韓国経済はこう書いています。
<・・(共に民主党が憲法前文に追加しようとしている)これらは、民主党の綱領の前文とほぼ同じであり、国民的合意を込めなければならない憲法を、与党の哲学を入れるための器とするのは理解できない。直接民主主義の過信が代議制民主主義毀損につながる危険性も内包している。さらに、「ろうそく革命」についても、まだ相反する見解が多く、歴史の評価を前提にすべきである。
憲法経済条項と関連しでも、民主党の改憲案は、社会的経済、経済民主化、土地公概念などを強化する条項を多数盛り込んでいる。これは、市場経済が基本であることを明示した憲法一一九条一項、「個人と企業の経済上の自由と創意を尊重することを基本とする」を無力化するものでしかない。国家権力が経済的自由を制約し、私有財産権を侵害するなら、それが計画経済と何が違うというのだ・・>
http://v.media.daum.net/v/20180203001357840
http://v.media.daum.net/v/20180204201239776
この前の「教科書執筆基準で『南侵』削除」などもそうですが、少しずつ「土台作り」をしているようですね、文政権は。
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