お稲荷様のご神札をいただき、神棚を用意し、毎日朝になると米、塩、水をお供えするようになって、約1ヶ月が経ちました。いつも参拝している稲荷神社はこの地域の鎮守社とのことで、このまま良き縁が続いたら、と願っています。
言い換えれば、日本の神道は「神様を家の中にお迎えすること」とも言えるのではないでしょうか。
私が知っている限りだと、韓国の民間信仰では「神をお迎えする」ことはありません。
韓国でも、仏教信徒の場合は、家に仏壇がある場合もあります。でも、日本に比べると「ほとんどない」と言ってもいいでしょう。また、日本では家庭にある仏壇が家族の霊を供養する意味もありますが、韓国では、家庭の仏壇で家族の霊を供養したりはしません。キリスト教でも十字架を壁にかけて、そこに祈ったりします。そういうのは「神をお迎えする」という考え方と似て非なるものかもしれません。
でも、韓国の宗教・・例えば民間信仰とか、そんな信仰で「神を家にお迎えする」要素はありません。
私が知らないだけなのか、本当に無いのか、ちょこっと調べてみました。
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韓国の巫俗(民間信仰など)では、神の力で「悪いもの」を追い出すことが基本になります。そういう呪術的な道具、殆どは「札」の形をしているそれらを、符籍(ブジョック)と言います。
中国発の人気キャラ(?)、キョンシーの映画・・もう古いよと言われそうですが・・を見ると、キョンシーの額に何かの札を付けるとキョンシーが動かなくなったりしますね。そういうのを韓国では全て符籍と言います。
新羅の説話に登場する、海の竜王の息子とされる「チョヨン(處容)」という男がいます。ある日、悪鬼が寝ているチョヨンの妻とあんなことやこんなことをしました。
すると、チョヨンが踊りだしました(なんで?)。
チョヨンの踊りを見た悪鬼は許しを請いました(だから、なんで?)。
その物語から、チョヨンの似顔絵などを、「悪鬼が近寄らない」ことを願って家に貼ることになった・・のが、符籍文化の始まりだと言われています。
でも、それは「神をお迎えする」とは違うのではないか・・と思ってもっと調べてみた結果、韓国にも昔は「家宅神」というものがあったことがわかりました。
たとえば「台所」「庭」といったふうに、それぞれの場所にそれぞれの家宅神があったとのことです。
もっとも有名なのは、ソンジュ(城主)という神で、小さなハンアリ(ツボ)の形となります。マル(板の間)の神です。
※画像は昌原(チャンウォン)市のホームページよりキャプチャーしました※
ですが、家宅神に関する信仰は、今では『資料すら殆どない』ほどに消滅している、とのことです。なにせ、韓国でずっと暮らしてきた私が初めて耳にしましたから。
個人的に、これらが儒教思想と衝突したのはないだろうか、と推測しています。家宅神は基本的に「ご先祖様」の神となります。儒教思想では、先祖の霊が家に「特定の日に帰ってくる」ことはあっても、家に「留まる」ことはありません。先祖の霊は、子が祠堂を作ると、そこに留まることになります。それが無いと、消えるまでこの世をさまよいます。
2つの考え方が衝突し、負けたほうが『積弊』として清算されてしまった・・のではないでしょうか。邪推ですが。
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