私がまだショタキャラだった頃・・おおまかではありますが、80年代の話です。最近は韓国でも「65歳を『高齢者』とするから65歳=老人という認識になる。高齢者とする年齢をもっと上げるべきだ」という議論がありますが、当時は60歳超えると、一般的に老人でした。
これは、韓国の数え歳で61歳になることを「ファンガップ(還甲)」としていたのも一つの理由です。甲子、乙丑、丙寅・・いわゆる「六十甲字」が再び「甲」に戻ってくるのが61年目になるので、61歳を韓国では還甲または回甲(フェガップ)といい、特別な年としました。少しでも余裕のある家では、宴を開きました。最近はあまり見なくなりましたが、当時の韓国の大きな食堂や各種イベントホールは、還甲パーティー会場としての役割も果たしていました。そう、いわば、ファンガップは「老人になりました式」みたいなイメージが有りました。
ちなみに70歳にも古稀(ゴヒ)または七旬(チルスン)として宴を開いたりしますが、これは「長生きできておめでとう」なイメージが強かった、と記憶しています。
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良いか悪いか、公式か非公式かを考える前に、まず社会の認識が、61歳からは「老人」でした。例えば老人が、一般的に老人らしくないとされる行動(アニメを見ていたりとか)をしていると、「ファンガップ過ぎた人が何をやっているんだ」という慣用表現が普通にありました。
特に、老人になってからも「働くのか、働かないのか」は、韓国社会がその人の「格」を評価するにおいてとても重要な尺度でした。
老人になってからも働くことは、「子息農事に失敗した(子をちゃんと育てることができなかった)」ことでもありました。どれだけ偉い人でも、子息農事に失敗したとなると、バカにされました。
『ファンガップを過ぎた人が~』、なんで自分で働いているのか。子供はどこで何をしているのか。とんでもない親不孝者だ。親も親だ。ちゃんと子を育てないからこうなる。
こういう認識もありました。「日本人は親不孝だ」。敬老は、儒教思想の強い韓国でも最大最高の徳目とされていました。それを基準に、60歳をすぎても働く人が多い(というか、むしろ尊敬される)日本社会を見下していたわけです。
日本で海外旅行が流行った時にも、韓国には「幸せそうに見えるが、よく見ろ。夫妻だけの旅行だろう?あんな旅行が幸せなはずが無い。日本人は親不孝者だからああなるのだ」と熱弁を吐く人たちもいました。さすがにちゃんと覚えているわけではありませんが、どっかのTV番組でのことです。素直に「羨ましい」と言えばいいのに。
私が初めて日本に来たのが2000年代になってからですが、それでも「働いている御老体が多い」と思いました。それだけでも、韓国とはずいぶん雰囲気が違うと感じました。余談ですが、当時、車のナビゲーション、トイレのウォッシュレット、携帯でインターネット、この三つには「ここまで普及してるのか」とびっくりして、特に記憶に残りました。
・・・ですが、(意味ありげに改行)
韓国の経済成長期に不動産などの「大当たり」で急に大金持ちなった人なら話も違うでしょうけど・・韓国の最大の老後投資は、息子を良い大学に行かせることでした。子に投資して子をお金持ちにすれば、親の面倒も見てくれるからです。
この「親の面倒は子が見るものだ」とする社会認識のおかげで、軍事政権は「老後は子がなんとかするものでちゅよ?国に頼るものではないのでちゅよ?」と、福祉などは一切考えず、経済発展に集中することができましたし、それを疑問に思う国民もそうありませんでした。
しかし、この「愛(孝)と根性で勝つ」システム」が、できなくなりました。
この「老後対策」システムは、「子(2世)が、自分の子(3世)に投資しつつ、自分の親(1世)の面倒を見るほどの余裕を持つ」必要があります。でも、国も人も、成長期がいつまでも続くわけではありません。そういう時代は、終わりました。特にIMF(IMFに経済主権を譲渡していた頃のこと)になってからは、完全に崩れました。
先月の雇用統計で、60代の雇用が大きく増えたと、韓国内で大きく話題になっています。
40代の雇用が30ヶ月以上も連続でマイナスで、特に先月はマイナス15万8千となっているのに、60代の雇用は「6ヶ月連続で20万前後も増加している」とのことでして。言うまでもなく、そう「望ましい」条件での就職ではないそうです。青年失業などが大きく報道されていますが、実は40代がもっとも崩れている・・先に書いた「子(2世)」の部分がもっともダメージが大きいのではないか、な気もします。
時代は変わっていくものですが、韓国社会のこういう話を書くたびに、「変わる」より「崩れる」に近い感覚になるのは、なぜでしょうか。
今日の更新はこれで最後です。明日も日曜だしゆっくりまったりぐーたらしますので少し遅めに覗いてみてくださいね(・∀・)ノ
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