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1つ前のエントリーでもチラッと名前が出ているキム・チャンホ聖公会大学招聘教授教授。そういえば、教授の代表的な著書「侮蔑感:屈辱と尊厳の感情社会」という本を持っていたので、ちょこっと読み返してみました。
この本もまた、韓国人の「尊待されるために他人を下待する」など、1つ前のエントリーで書いた内容と類似した主張を展開し、人間として見ない「卑下」、劣等な存在として決めつける「差別」、あざ笑う「嘲弄」、排除する「無視」、余計なことまで介入する「侵害」、相手をかわいそうな対象と決めつけるための「同情」などがそうだとします。そして、「その情緒は、言語にそのまま根を下ろしている」とも。
1つ前のエントリーで、「韓国学研究者チェ・ボンヨンは、このような差別・位階文化の土台から、世界的に見てもユニークな尊・卑語システムが韓国社会で発展したと言う」となっていました。勉強不足でチェボンヨン氏はよく分かりませんが、「言語が社会を反映する」という面においては一致しているとも言えましょう。
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そして、ソン・ジェリョン教授(前エントリーの寄稿文著者)の「文化による問題を制度で直すのは容易ではない」という主張も組み合わせて考えてみると、『文化』で育った社会が、いくら経済的に発展し、民主化されたとしても、言語に反映されているその文化的側面はまだまだ健在である、と言えるでしょう。日本側のネットでもよく言われることですが、「韓国語って、尊称語もあるけど、なんでこんなに相手を侮辱する言葉が多いのか」、というのも、同じ趣旨の指摘であるに違いありません。
キム・チャンホ教授がその「言語」のデータとして示しているのが、インターネットの悪性コメント、韓国で言うアクプル(悪性リプライ)です。教授が独自に集めたデータと分析基準による、あくまで非公式なものではありますが、教授がいくつかの国もアクプルを調べた結果、日本では約20%がアクプルだったそうです。韓国では、なんと80%。
「オランダの場合は10%」など、他の国のデータもあるにはありますが、一般的にニュースなどに対するコメントの場合、日本と韓国は別のサイト(例えばポータルサイトなど)を経由してコメントを書く人が多く、欧米の国々では、それぞれの新聞・放送局のサイトに直接書き込む人が多いと言われています。日本ではコメント欄を閉鎖するのはあまり望ましくない措置だとするイメージが強いですが、欧米の各ニュースサイトでは、コメント欄そのものが議論の邪魔になるという判断で、コメント欄を閉鎖するサイトも増えつつある、とも。よって、韓国のコメント環境と比較できるのは日本のデータであり、韓国80%、日本20%というデータは、韓国にとってはなかなか「不都合な」結果だったようです。
日本と韓国のアクプル関連データを直接比較することはできませんが、1つ、日本経済新聞の2018年1月12日「ネット中傷後絶たず 人権侵害1900件」によると、日本の場合、「法務省によると、誹謗(ひぼう)中傷やプライバシー侵害などのネット上の人権侵害は2016年に1909件だった」となっています。
じゃ、韓国はどうなのかというと、「サイバー空間での名誉毀損及び侮辱発生」というデータがあります。これが、2018年に発生件数15,926件、検挙件数が10,889件でした(検挙された人数15,479人)。これは「5年前に比べて約2倍に増えた数値」だそうでして・・キム教授の「侮蔑感」は、2014年の本です。いまは果たして、アクプルは何%になるのでしょうか。
以下、参考にしたノーカットニュースの記事(コメント関連内容)のURLです。
https://news.v.daum.net/v/20191031070300052
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