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以下、私見として、韓国でも日本でもあまり取り上げていない部分を、書いてみたいと思います。そもそも「連絡事務所」って何だ?という部分です。連絡事務所だから連絡するところでしょう、でも、その真の意味は、統一前のドイツにあった常駐代表部を目指していた、いわば『将来の大使館』です。
なんか、「南北平和のために韓国が作った事務所を、北朝鮮が爆破した」という内容だけが記事になっており、「南北の間で外交公館(在外公館)として機能していた唯一の施設を、北朝鮮が爆破した」というさらに重要な側面が全然話題にならないようで・・あえて、ありえない極端な書き方をしますと、今回の爆破の件、日本で言えば、安倍総理がブチ切れて在日総連を爆破したようなものです。
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南北が連絡出来る事務所を作るお!としたのは、1990年、盧泰愚大統領でした。彼、当時としちゃかなり開放的な人でした。中国、ロシアと外交関係を結んだのも彼でした。1990年はドイツ統一の年でもあるし、盧泰愚氏としては、将来的に南北統一を念頭に置いて、常駐代表部のような存在が必要だと思ったのでしょう。
しかし、北朝鮮は、東ドイツから西ドイツに渡ろうとする人たちが、免責特権を持つ常駐代表部を利用する事例が多かったこと、そして、大使館のような施設を南北がお互いに設置すると、『民族』ではなく『国家』としての南北を固着させる危険性があるとし、盧泰愚政府の提案を拒否しました。また、韓国内でも、「北朝鮮は韓国の憲法上『国家』ではないので、常駐代表部を設置するのはマズイです閣下」という意見がありました。
そこで、「じゃ、連絡事務所でどうだ」ということになりました。韓国では在外公館の段階を、利益代表部、連絡事務所、常駐代表部、公使館、そして大使館と分けます。連絡事務所は、まだ外交関係を持っていない国同士で設置するものだから大使館とは違いますが、原則として外交免責特権も保証される、れっきとした在外公館です。これが板門店にやっと設置できたのが、1992年でした。
そして、文在寅政府になって、限りなく格上げされます。連絡事務所を大幅に拡大、開城工業団地近くのビルを連絡事務所とし、南北代表がともに常駐する公館とする、と南北で合意できたのです。南北代表が同じビルのなかに常駐する、限りなく常駐代表部に近い形になったわけでして。これが、この前爆破されたあのビルです。
実際、2018年7月23日、韓国の国会、外交統一委員会で、当時統一部長官だったチョ・ミョンギュン氏は、「今後の南北関係の進展によって、8月開所予定の(※実際は9月開所でした)連絡事務所を、ソウル・平壌の常駐代表部に格上げしたい」と話したりしました。
https://n.news.naver.com/mnews/article/421/0003499408?sid=100
そして、それが木っ端微塵に爆破されましたから・・北朝鮮の連絡事務所爆破は、戦争行為だと見てもいいじゃないでしょうか。異論はあるでしょうけど、私は、十分にそんな見方も出来ると思っていますし、そんな意見も出てきていいじゃないか、と思っていますが・・なぜかこの点を指摘する韓国側の記事は、私が知っている限りは、ありませんでした。ちなみに、今回の爆破の前、韓国側の代表たちは新型コロナ防疫を理由に、韓国側に戻っていました。運が良かったですね(多分
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