たまーにやってくる、古い記事エントリーです。基本条約(1965年)の1年前、1964年。韓国では「朴正熙が勝手に条約を締結した」という主張も根強いですが、実は1964年からちゃんと国会で議論されていたし、賛否両論でした。ただ、反対する人たちも、『内容をもっと有利にしよう』な意見を出していて、別に日本との外交関係修復に全面反対していたわけではありません。前にも紹介しましたが、締結後には政府の対応を責める声もあるにはあったものの、今の韓国のように条約は無効だ!とかそんな話もなく、金大中氏を始めとする野党側もすんなり受け入れました。
今日は、1964年、韓国ではどんな議論が起きていたのか、3月20日の朝鮮日報の記事を紹介します。ちなみに、それから6月あたりに交渉中止を要求する暴力デモが発生したことを考えると、どうやら全面反対派が負けたようです。
<<いま、韓日交渉の妥結という、まれに見る歴史の転換期において、与党も野党も、全国民が注視する中、熾烈な賛否論争・闘争を繰り広げている。政府と共和党(※当時の与党)は、夏までは妥結するために拍車をかけており、国会内で反対闘争をしていた在野勢力は、「対日屈辱外交反対凡国民闘争委員会」を構成し、闘争を国会の外にまで拡大、地方での遊説で大衆運動化を図っている。
韓日交渉の反対には、明らかに違う二つの動きがある。一つは南北が分断された状態では韓日交渉をしてはならず、国交正常化は南北統一の後にしないとけないとしながら韓日交渉そのものに全面反対する立場であり、例えばビョン・ヨンテ氏(※朝鮮戦争直後に二年間国務総理でした)などがそうだ。もう一つは、韓日交渉は必要であり、ただ今の内容では韓国に不利だから、今のままではできないという立場であり、闘争委員会の立場がこれにあたる。しかし熱くなり過ぎで、二つの立場が混合されてしまったり、闘争の過程の中で『全面反対』だけがクローズアップされたりもした。だから、同じ在野側であるにもかかわらず、民主党の一部では『民政党の全面反対闘争など納得できない(ユ・ソングォン議員)』『いま交渉をやらないと、両国にとって不幸なだけだ(ハン・トンスク議員)』と言うし、闘争のやり方に懐疑論が広がり、民政党内部でも似たような動きがある。また、そのような闘争が政権掌握(※政権交代)を目標とした政党手動であることもまた、どうしようもない側面であろう。
韓日問題の核心を、米国と日本を、地主とマルム(※小作管理人)に喩え、『韓国が、地主である米国に依存し続けるのか、それとも小作管理人の日本に依存するのか』と見る野党側の人士もかなり多い。
だから彼らは、『どうせ依存するなら大金持ちの米国に依存すべきものであり、意地悪な小作管理人である日本に依存するわけにはいかない』と言う。だから、『米国は韓国を諦めたりしない(カン・ムンボン議員)だろうから』、いつまでも米国にぶら下がることができるとも言う。
日本との交渉を支持する側の意見としては、まず『反対する人たちが、揃いも揃って共産主義者であることに注目する必要がある。単に韓国と日本の間の交渉が妥結されることが、彼らにとって不利益をもたらすからだ(ユン・ジュヨン共和党事務次長)』というものがある。また、『フランスの中共(※中国)承認が、世界の勢力均衡にどのような変化をもたらすか分からない。また、一九六三年だけで一億五千万ドルの対日交易実績をあげた北傀(※北朝鮮政権)の進出を、韓日の交渉で直接・間接的に牽制する必要がある(キム・ドンファン議員)』とも言う・・>>
なんか、「変わってないな」な印象です。ちなみに朴正熙氏が『日本からもらったお金で、民間(個人・法人)に補償金払いますよ』と公約したことが大いに『受け』がよく、いざ基本条約締結後には『政府は日本に低姿勢すぎ!』という文句を言う記事は結構目立ちますが、今のように「無効だ」「やり直し」を主張する声は、ほとんど見当たりません。当時民衆党のスポークスマンだった金大中氏も、基本条約締結後には、条約を受け入れ、韓国政府が民間補償する内容にも反対していません。
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