その1から続きます。寄稿文のソースページは「ペンアンドマイク」です。
<<・・日本の官憲の「強制連行」が無かったなら、朝鮮の女性が日本軍慰安婦になるには、どのようなきっかけ、経路があったのだろうか?まず、朝鮮人あっせん業者が、良い仕事を紹介すると言いながら(就職詐欺)、慰安婦として働くことになるという事実を知らせず、女性やその親を騙して、連れていったり、売り渡すこともなくはなかった。この場合には、慰安婦の雇用契約は不要で、前借金は支給されないか、慰安婦に契約した場合よりも少額であった。
しかし、朝鮮で就職詐欺を含む誘拐は、すでに太平洋戦争勃発以前から警察の取り締まり対象だった。当時、朝鮮で何千人もの朝鮮人専門あっせん業者が、問題を起こしていた。また、女性を連れて行っても、朝鮮から出発し慰安所に到着するまでは、いくつも公的書類が必要だった。まず、中国や東南アジアなどに行こうにも、すべての旅行者には、旅行の目的などを記入して警察署長が発行する「身元証明書」が必要だった。
特に慰安婦の場合は、手順はさらに厳しかった。女性と慰安所業者が一緒に作成する就職申請書の一種である「臨時酌婦營業許可願」、写真2枚、戶主と女性本人が捺印した就職承諾書、以上の関係者の印鑑証明書、女性の戸籍謄本(就業承諾書、印鑑証明書、戸籍謄本は、本人でなければ作成したり、発行することができなかった)、そして日本領事館職員が直接、女性が慰安所に就職しようとする意志を持っているのかどうか確認するなど、女性と業者を調査した後に作成する調査書が必要だった。拉致はおろか、就職詐欺で女性を連れて来たときでも、このような書類を具備することは不可能であろう。
誘拐された女性が慰安所に到着できたとしても、問題が発生することがあった。慰安所を利用し管理を担当する部隊は、慰安婦本人が、これからどのような仕事をするのか、出発前に認知していたのかを確認した。上記の書類を軍部隊で確認する手順もあって、だまされて慰安所に来た女性を家に戻した事例もある。
以上、誘拐による慰安婦の調達よりも、娘が何をすることになるのか既に知っている親が、自分の娘を売りさばく人身売買を通す場合が、はるかに多かったと推測することができる。当時の新聞を見ると、親が娘を売ることが珍しくもなく、社会問題の一つになるほどだった。1920年代半ばには、日本でも同じような状況が繰り広げられた。日本で有名な1926年の2・26事件(反共性向の日本皇道派の青年将校たちがクーデターを起こした事件)当時も、娘を売らなければならない兵士たちの窮状が、事件を触発する重要な契機の一つであった。
このような契約は、人身売買という違法と、戶主制のもとでの戸主の正当な権利行使と合法的な職業斡旋の間の、境界に位置していた。その結果、一方では、「人肉市場」と呼ばれる人身売買が横行し、これは社会的問題として浮上したが、また一方では、そのような疑いで警察の調査や裁判を受けた人々の多くが無罪処分される状況が繰り広げられた。
以上のような状況を考慮すると、募集業者と取り引きする親は、娘がどこに行って何をするようになるのか、すでに知っていたと見るべきであろう。たとえ文書による明示的な契約ではないとしても、親がそのような事実を知っていた、これは私たちが一般的に言う契約に他ならない。韓国と米国の批判者たちは、このような当時の実情を全く知らずにいる。
慰安婦と業者の間で契約が行われる最も代表的なケースは、朝鮮や外地で太平洋戦争勃発以前から既に売春婦として働いていた女性を、慰安婦として募集する場合であっただろう。これは韓国と日本の研究者が最もおろそかに扱ってきた問題だが、最も蓋然性が高い経路である。まず、1940年頃、朝鮮半島には総督府が把握しただけで売春婦が約1万人もいた。
日中戦争と太平洋戦争当時の戦場とほぼ重なる地域である中国・満州など朝鮮人が進出したところには、朝鮮人売春婦の数が8千人に達した。これらの数字は、あくまで日本の政府機関が把握できた売春婦の数に限定され、統計に表れていない売春婦がどれだけいたのかは、想像もできない。彼女たち、既存の売春婦を、慰安婦として専業させるために必要なのは、売春婦として働くこととは違って、軍慰安婦として働くことが、高リスク・高収入だという点を、彼女たちに知らせ、説得することだけだった。
募集業者の立場から見ると、既存の売春婦の場合は、就業詐欺や誘拐、人身売買に伴う危険性が無い。売春婦の立場からすると、軍の慰安婦になることによって、社会的評価がさらに傷つくこともないし、むしろ兵士をい慰めることに自負心を持つ場合も多かった。また、日本軍上部や兵士は、慰安婦の出身を選択できる立場でもなかったし、実際、そんなこと気にしなかった。したがって、あっせん業者が接触する最初のターゲットは、朝鮮内外の売春婦だったのだ・・>>(その3に続きます)
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