今回の慰安婦裁判の件、イ・ヨンス側は国際司法裁判所のことばかり話していますが、正義連などは控訴すると言っています。徴用工問題でも、高等法院(高等裁判所)までは、韓国の裁判所も原告の訴えを認めませんでした。しかし、最高裁の判決で賠償判決になり、差し戻しになりました。この件で、「21日の裁判では却下されたけど、いまの司法の流れだと、最高裁でまた別の判決が出る可能性が高い」という点が指摘されており、正義連もそれを狙っているわけです。以下、朝鮮日報の記事から部分引用します。本ブログでも紹介したことがある「イタリアの件」にも触れています。
<<・・裁判所は、先例を大切にします。判事が似たような事件の判決文を頻繁に検索するのもそのためです。前の判決の結論に従うことは、最も簡単で安全な方法です。にもかかわらず「日本の論理に従った」「被害者の人権を無視した」などの非難を甘受してまで、民事15部(※21日に慰安婦賠償を却下した裁判部)が、3ヶ月前とは正反対の結論を下した理由は何でしょうか?
これを知るためには、まず、国際法の理解が必要です。 「国家免除(主権免除)」は、国際慣習法の内容です。国際慣習法は、国内法とは異なり、成文法ではなく、「原則」です。しかしながらその効力は、国内法と同じです(※韓国では、外国との条約も国内法と同じ効力となります)。
1月、裁判部は「反人道的事件」などの強行法規違反は、国家免除が適用されないと判断しました。国際慣習法が変わって国免除に例外が生じたと見たのです。今回の裁判部は、「実証」に出ました。海外の事例を広く分析しました。国際慣習法は成文法ではないので内容の変更を条文で確認することができず、実際の適用事例をいちいち見なければなりません。
裁判所は第2次大戦中、ドイツの強制徴用で被害を受けて、イタリアの裁判所にドイツを提訴していたルイキー・フェリーニ氏の事例を詳細に検討しました。イタリアの最高裁判所と憲法裁判所は、ドイツの賠償責任を認めましたが、2012年、国際司法裁判所(ICJ)は、国家免除の理論に基づいて、ドイツの責任を否定しました。戦争などの国家の主権的行為によるものなので、損害賠償訴訟ではなく、外交的交渉で解決するように、との趣旨です。
フェリーニ判決だけはありません。 70ページの判決文によると、裁判所はICJの規制、UN国家免除条約をはじめ、スロベニア最高裁判所、ポーランド最高裁判所、ベルギーとブラジルの最高裁判所の事例も見ました。すべてが、二次世界大戦中に自国の領土でドイツ軍の不法行為について、自国の裁判所に訴訟を起こした事例です。
その結果、裁判所は、「これらの事件は、全てドイツの国家免除を認めた」とし「国家免除を否定した事例は、イタリア最高裁と憲法裁判所、ソウル中央地裁2021.1.8宣告(※1月の慰安婦賠償判決)だけだ」という結論を出しました。
イタリアの事例は、国際司法裁判所がその正当性を否定したので、1月の韓国中央地裁の件も、同様の結論が予想される状況でした。だから裁判所としては、1月の結論に従うことができなかったことです。検証の結果、「国家免除」は、まだ生きている国際慣習法だったからです。
民事事件で原告と被告の主張が対立すると、裁判部は、その中で説得力のある方の意見を受け入れる場合があります。しかし、この場合では、被告日本は一切対応していません。裁判所は一人で勉強して、原告側の主張の妥当性を判断しました。
この事件の最終的な結論は、最高裁が出す可能性が高いでしょう。キム・ミョンス氏が最高裁判所長官になってから、最高裁は2018年強制徴用事件で消滅時効法理を無視して、日本の賠償責任を認めました。反日の前では特に弱い姿を見せる進歩(※リベラル、左派)最高裁が、今回も同じ結論を出すのかどうか見守りたいところですが、少なくとも、中央地裁民事15部が「楽な道」を選ばなかったのは間違いないと見えます>>
確かにそのとおりです。本ブログでも当日に「次の判決で何が出てくるか分からなくなったのがもっとも重要」という趣旨を書きましたが、要は最高裁です。この件が憲法裁判所まで行くことは無いでしょうけど、最高裁までは行くでしょう。21日の判決は、「くっくっくっ・・地裁は四天王(地裁、高等、最高、憲法裁判所)の中で最弱・・」にすぎません。
あと、余談ですが・・「国家免除」も「主権免除」も別に間違っているわけではありません。ただ、本件でいう免除という概念は『国家の公権力の行使(あえて極端に言うと、戦争とか)』に関する内容であり、この場合の「免除」は、国家や政府という概念そのものの否定にも繋がるので、記事本文でも指摘されている通り、世界的に徹底して守られています。よって、表記的には「国家免除」よりは「主権免除」がもっと合っているのではないか、と個人的に思っています。
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