韓米首脳会談が終わり、共同声明が発表されました。いろいろ述べていますが、具体的なものは「韓国軍55万人にワクチンを支援」だけです。つい先週まで、韓国側は「1000万回分」を話していましたが、韓国軍55万人、韓米同盟という面だけを強調する結果になりました。
他は、いままで本ブログで取り上げた内容についてまとめてみます。台湾問題と、北朝鮮人権問題です。なんと、両方ともに共同声明に入っていました。本ブログでもお伝えしましたが、韓国のシンクタンクからは「北朝鮮に最低限の名分を与えるためには、人権、制裁、抑制という単語が共同声明に入ってはならない」とする指摘があったし、つい昨日、中国の国営メディアは「共同声明で台湾に言及すると、韓国は毒薬を飲んだことになるだろう」と警告していました。まず、台湾の件、ヘラルド経済かた部分引用してみます。
<<ムン・ジェイン大統領とバイデン米大統領は21日(現地時間)の共同声明を通じて、「台湾海峡での平和と安定の維持の重要性」を強調した。中国の反発が予想される。両首脳は、ホワイトハウスで首脳会談を行い、このような内容が含まれている韓米共同声明を発表した。台湾海峡は、インド太平洋地域で米中の衝突が懸念される地域である。18日にも、米海軍第7艦隊の駆逐艦が台湾海峡を通過し、中国の反発があった。環球時報は共同声明 前日の20日、米国のメディアの声(VOA)が韓米首脳会談の共同声明で、台湾問題が議論される可能性を提起したことについて、「(台湾言及は)韓国の国益に合致しておらず、韓国が米国の脅迫により毒を飲んだことになるだろう」と主張した・・
・・両首脳はまた、「韓国と米国は規範に基づい国際秩序を阻害、不安定または脅かすすべての行為に反対し、包容的自由で開放的なインド太平洋地域を維持することを約束した」と述べた。インド太平洋地域は、米国が中国の浮上を防ぐために使用する概念である・・>>
日米共同声明では、台湾、香港、ウイグル問題など中国が気にすることををほぼ網羅していましたが、韓米共同声明の場合は台湾の件だけで、文章も、日米のように「促す」ではなく「強調する」とするなど、そのトーンはゆるくなっています。また、共同声明に「中国」という字はありません。とはいえ、中国がわざわざ警告していた台湾問題が声明に入ったのは、率直に言って、ちょっと意外です。米国も米国なりに韓国の立場に気をつかったのかもしれませんが、台湾が言及された時点で、文大統領が大いに「折れた」ことになります。
また、北朝鮮の人権問題(の改善)についても、共同声明で言及されました。共同声明から直接引用してみると、「・・北朝鮮の人権状況を改善するために協力することに同意し、最も助けを必要とする北朝鮮の住民に対する人道的支援の提供を継続して促進することを約束した。私たちはまた、南北離散家族の再会促進をサポートするという双方の意志を共有した。また、私たちの対北アプローチが完全に一致するように調整していくことに合意した。私たちは、北朝鮮問題を取り上げて行き、我々の共同安全保障と繁栄を守護し、共同の価値を支持し、規範に基づいた秩序を強化するための韓米日3カ国の協力の根本的な重要性を強調した・・」。
これもまた、北朝鮮としては黙認できないことです。近いうちにまた何かの談話が発表されて文大統領を猛烈に非難することになるでしょう。ちなみに、共同声明はテーマによって段落が分けられていますが、「日米韓協力」が出てくるのはここ(北朝鮮問題)だけです。常識的に考えると、インド太平洋関連の内容にも出てきそうなものですが、ありませんでした。あと、クアッドの重要性を認識するという内容はあるけど、韓国が加入するという話は無く、韓国側で噂されていてた「部分的に加入し、ワクチン支援などをもらう」案は、議題にならなかったか、または米国に拒否されたものと思われます。それはそうでしょうね。共同声明の全文は朝鮮日報にあります。
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