韓国大統領府、IAEAの『北朝鮮核施設再稼働』指摘に対し、『北朝鮮はすでに非核化宣言している』と公開的にミスリード発言

本ブログの読者の皆さんにはもはや説明不要でしょうけど、北朝鮮の言う「朝鮮半島の非核化」は、異民族の軍勢、すなわち米軍の撤収(核戦争を引き起こすいかなる原因をも排除する)を意味します。

これは結構前からあった概念ですが、金正日総書記(いまは大元帥だそうです)が強調しながら一気に有名になりました。まるで「米国側が朝鮮半島に配置していた戦術核兵器(比較的射距離や破壊力が弱い核兵器)のことではないのか」と思わせるようなニュアンスですが、実は戦術核は撤収済みです。キム総書記の頃に北朝鮮が核の完成を主張しながら朝鮮半島の非核化を言い出したのは、「核戦争を『引き起こす』側になる」ためです。すなわち核の力で米軍を追い出すことが、朝鮮半島の非核化である、と。これは、金正日総書記の『先軍政治』の完成であり、究極の形でもあります。ですが、韓国大統領府が、北朝鮮のこの主張を『北朝鮮の非核化宣言である』とミスリードしました。以下、ソウル経済の記事から引用します。<<>>が引用部分となります。

 

<<文在寅大統領が任期最後の国連総会の基調演説で「終戦宣言」の必要性を改めて強調した中でパク・スヒョン青瓦台国民疎通首席が北京オリンピックで、これを推進する可能性を排除していないことを示唆した。パク首席は23日、MBCラジオに出演して文大統領の終戦宣言の提案理由を「現在の状態で、私たちが行くことができる最高の架け橋であるため、継続して強調しなければならない」とし・・・・司会者が「終戦宣言は、北朝鮮の非核化の結果ではなく、北朝鮮の非核化を誘うだめのものなのか」と尋ねると、パク首席は「そうだ。終戦宣言は、北朝鮮と米国の当事者間の非核化に至ることができる信頼構築の最初のステップ」だと「非核化に至る様々な段階を推進して出す勢いになるだろう」と説明した・・(米国も、終戦宣言に反対しているわけではありません。ただ、『非核化が終了したらその後に話してみよう』としています。韓国政府は『非核化の前に終戦宣言からしよう』というスタンスです)

 

・・「ラファエル・グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務総長が『北朝鮮が核開発に全力を注いでいる』と話したばかりではないか」とする司会者の質問には、「韓米間で堅固な同盟の強化の観点から、いつも共に相談して、複数の手段を介して注視している」とし「金正恩北朝鮮国務委員長が、すでに非核化を宣言したではないか。米国や北朝鮮も、複数のカードを用意しているはずではないか」と反問した・・>>

 

非核化宣言というものは存在しません。ただ、『朝鮮半島の非核化』は何度も言いました。パク首席が詳しくどの発言を指したのかは分かりませんが、非核化宣言で検索してもっとも分かりやすくヒットするのが、2013年6月16日ハンギョレ新聞の記事『北朝鮮、非核化宣言しながら米朝対話を養成した理由は?』です。『朝鮮半島の非核化』の一例として、引用してみます。

<<・・北朝鮮が16日、国防委員会スポークスマンを通じた重大談話で、北朝鮮の核保有国の地位は朝鮮半島の非核化までの一時的なものであり、朝鮮半島の非核化は金日成、金正日の遺訓であり、政策的課題であることを明らかにしながら、北米当局間の高官級会談を電撃提案した・・・・国防委スポークスマンはこの日、朝鮮半島の非核化を対話の前提条件として掲げてはならないと強調しながらも、「朝鮮半島の緊張を緩和し、米国本土を含む地域の平和と安全を担保するため、本当に興味があるなら朝・米当局の間でハイレベル協議を持つことを提案する」と明らかにしたと、朝鮮中央通信が伝えた・・

・・談話は、朝鮮半島の非核化が「軍隊と人民の意志であり、決心」であり、また、「私たちの首領と将軍様の遺訓」であり、党と国家と千万軍民が必ず実現しなければならない政策的課題」と三つの側面から強力な非核化の意志を明らかにすることで、米中の核保有国不認定の要求を受け入れたわけである。談話は「核保有について言えば、それは朝鮮半島の非核化を実現するための自衛的であり、戦略的な選択である」と強調している。そして米中首脳が北朝鮮の核の保有を認めることができないと合意したことを狙って「他人が認めようが認めまいが、核保有国の地位は『朝鮮半島全域の非核化』実現され、外部の核の脅威が完全に終息するまでいささかの揺れもなく維持されるだろう」と強調した・・・・「南朝鮮を含む朝鮮半島全域の非核化と私たちのアメリカの核の脅威を完全に終息さ​​せる目標」が達成されれば、(※核保有国は)撤回することもできる、戦略的な選択だとしたのだ・・>>

 

これのどこが『非核化宣言』なのか、よくもこの内容をここまで肯定的に読めたんだな、行間が広すぎで文字は無くて行間だけじゃないか、そんな感じです。題は非核化宣言となっています。だいたい、そこまで重要な宣言なら党大会か何かで首領がやるでしょう。

北朝鮮のスタンスは、いつもこうです。『朝鮮(北朝鮮)の非核化』ではありません。『朝鮮半島の非核化』であり、それは米軍撤収を意味する言葉です。中国が言う『冷戦時代の終息』が、日米同盟、韓米同盟の解除を意味するのと同じです。もし、在韓米軍が朝鮮半島から撤収したとしても、北朝鮮は『在日米軍が残っているから、まだ朝鮮半島の非核化は成し遂げていない』と言うでしょう。

 

 

 

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