旧ブログの頃には結構集中的に取り上げた記憶がありますが、韓国の自営業には、「老後対策無しの早期退職」という裏があります。ある程度ならどこの国にも似たようなケースがあるでしょうけど、韓国の場合はちょっと違います。
まず、韓国は自営業が多い国です。一時より減ったとはいえ、今でも全体就業者対比自営業者比率は約25%になります(2020年基準で24.6%でOECD6位、日本は10%前後)。チキン・・・いえなんでもありません。
ちなみに、イギリスも自営業が多いことで有名な国ですが、それでも約15%です。いまは多少遅くなりましたが、韓国はもともと引退が早い国で、その老後は伝統的に『儒教思想にもとづき、子が親の面倒を見る』という通念に依存していました。そのおかげで、軍事政権は『老後』『福祉』などにお金を使わずに済みました。
それから韓国は、「国家が富を『蓄積』する時期(私は、これが先進国の基準の一つだと思っていますが)」を迎えることができず、経済が破綻、社会システムに大きな変化が生じ、子が親の老後に責任を取るという概念も崩壊します。金大中・盧武鉉大統領の頃に年金制度が本格的にスタートしたものの、それがまともに機能する前にベビーブーマー世代の引退が始まりました。彼らは、老後のため、退職金または借金で自営業をやるしかありませんでした。これが、2000年代になって韓国で一大ブームになった『創業ブーム』の正体です。
専門知識もノウハウも無い彼らがやる自営業とは、ほとんどが飲食店と宿泊業でした。宿泊業とは「モーテル」のことです。韓国に行かれたことがあるなら、皆さんもご存知でしょう。溢れる飲食店と、ラ◯ホテルもどきのモーテル群を。住宅街のすぐ近くにもあるんですよね、これが。最近は日本旅行ブームのおかげで(日本のビジネスホテルが好評すぎで)韓国でもビジネスホテルが増えてきましたが。世の中、経験も無しに自営業をやってうまくいくほど甘くはありません。しかし、それ以外に出来ることがあるわけでもなく。
そんな中、またもや李在明(イ・ジェミョン)候補が、飲食店の総量制、すなわち飲食店の総数を国が統制し、店を開く権利を売買できるようにするという案を話しました。『質』をどうにもできないから、『量』を絞ればいいではないか、という発想です。昨日も、「『質』をなんとかするのではなく『日数』を減らせば質が上がるのと同じではないか」な話をエントリーしましたが・・どうでしょう。私には、これらが社会主義特有の『下向平準化(基準を下げることで平等を主張する)』の一環に見えますが。ただ、昨日のエントリーとは違い、総量制は『公約』として話したわけではありません。以下、SBSから引用します。<<~>>が引用部分となります。
<<共に民主党のイ・ジェミョン大統領候補が昨日(27日)、コロナ19で飲食業廃業が続出する状況と関連し、「飲食店許可総量制」の導入について言及し、また論議が起こりそうです。李候補は昨日午前、全国小商工人・自営業者たちとの懇談会で、「食堂を開いて、すぐ閉業し、まるでアリ地獄のようだ。飲食店許可総量制でどうかと考えている」と話しました。彼は「自律性に問題をきたすという話もあるが、総量制が悪いわけではない。開業し過ぎで廃業するのは自由ではない。良い規制は必要だ」とし「哲学的な議論が必要だが、必要だと思う・・>>
記事の「良い規制(原文ママ)」は、記事によっては「善良な規制(原文ママ)」となっていて、ああ、韓国的な表現だなと思いました。そう、自由民主主義は『私には良からぬ部分もある』を認めます。でも、社会主義は『私は善良だ』以外を認めません。本当は善良なのではなく、善良で『なければならない』だけですが。
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