2018年、平昌冬季オリンピック・パラリンピック(以下、引用以外では「オリパラ」にします)をきっかけに、いわゆる「朝鮮半島平和プロセス」を一気に進めた・・と信じている、韓国。しかし、そもそもこの考えに問題があります。
拙著『文在寅政権最後の暴走』でも同じ内容を論じましたが、当時の北朝鮮はまだ韓国政府の仲介(運転者論)がここまでデタラメなものだと思ってなかったし、韓国との平和のためではなく、米国との直接対話のために韓国とオリパラを利用しただけです。当時、ちょうどオリパラがあったから、その場を借りただけ。逆に言うと、今はもうオリパラだろうとなんだろうと、平昌の再現は難しいでしょう。他はともかく、北朝鮮も米国も、その気じゃありませんので。
それでも、韓国は平昌の再現を諦めませんでした。そのために2020東京オリパラを利用しようとしましたが、いろいろありすぎで失敗しました。すると、今度は北京冬季オリパラを利用しようとし、なんと一気に南北終戦宣言まで進めるという話が出てきました。この話が韓国側のメディアに出てくるたび、個人的には、「いくらなんでも、未練がましすぎるのでは」と思います。でも、実際に大統領府から出てくる話は、まだまだまだまだ諦めていないようでして。本ブログでも何度かエントリーしたことがありますが、最近の韓国は、「米国が応じないなら、中国と話すまでだ」というスタンスを示し、中国は「じゃ、こちらのサプライチェーンに協力しなさい」としています(過去エントリー)。
そんな中、米国が、北京冬季オリパラの「外交的不参加」を公式発表しました。選手団は送るけど、いわゆる「オリンピック外交」はしない、というのです。なにかの事情があるならともかく、こんなふうに公開的に宣言するのは、かなり大きな措置になります。ソース記事によると、ワシントン・ポストは「中国に対する政治的な侮辱」と報じた、とも。以下、イーデイリーから引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<米国が、中国の北京冬季オリンピックに政府使節団を送らないという、超・強硬策を決め、外交的不参加を公式化したのだ。米中首脳が1カ月前に初めて首脳会談をして、協力を模索したように見えたが、米国の強硬策でまた二国関係は悪化すると思われる。注目すべきは、韓国の動きだ。韓国はいわゆる「安保は米国、経済は中国」基調を外交政策の基盤にしてきたが、今回だけは選択を強いられることになる・・・・北京冬季オリンピックは、文在寅大統領が力を入れてきた終戦宣言イベントの場とされてきただけに、さらに関心が集まる。文大統領は9月、国連総会で終戦宣言を提案し、その後に北京冬季オリンピックを終戦宣言をはじめとする「平和イベント」の有力な舞台として取り上げてきた・・>>
で、ここからオチ・タイムです。韓国大統領府はこの件で、「終戦宣言に大きな影響はない」と話しました。ここからはニューシースからの引用です。 <<・・大統領府の高位関係者は、「終戦宣言は(冬季オリンピックでなくても)北朝鮮が対話の場に出てくることができるよう、条件さえ備えれば、実現できる問題だ」とし「米国の不参加が終戦宣言推進に決定的な影響を及ぼすことはないと思う」と述べた。4者(※南北と米中)終戦宣言は推進するが、北京冬季オリンピック開会式に南北米中首脳が集まって宣言する形にはならない可能性があるという意味だ。 習近平中国国家主席が、対面首脳外交を控える状況で、他の案を模索しているのではないかという解釈が出ている。この高位関係者は、「終戦宣言が南北関係改善と朝鮮半島平和のきっかけになることを望むという既存の立場には変わらない」と話した>>
いや、決定的なことになるでしょう、これ。「もともと可能性がほとんどなかったので、もう何があってもさほど変わらない」というなら分かりますが。というか、北京冬季オリパラで南北米中の首脳が「4人揃って!」としながら終戦宣言する絵を考えていたこと自体が、驚きです。一部では、文大統領が金委員長に新書を送ったという話もありますが・・何を考えているのか。もし、万が一、こんな中で終戦宣言できたとして、それに何か意味があるのでしょうか。
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