一つ前のエントリーとわざわざ合わせたわけではありませんが、米国が在韓米軍+韓国軍の作戦計画(OPLAN)に、中国を対象にした作戦計画を樹立しろと韓国を圧迫しています。見方にもよりますが、これは、中国を事実上の『敵』に設定する意味になります。韓国の「戦略的曖昧さ」を根本的に潰すための対策ではないのか、そう思われます。
去年12月25日VOAインタビューで、初めてこのことに言及したのは、前在韓米軍司令官ロバートエイブラムス氏です。そして、今日、デイヴィッド・スティルウェル(もと米国務省東アジア太平洋担当次官補)氏がまた、東亜日報とのインタビューでこの問題に触れました。東亜日報は、これが米韓関係において新しい外交懸案になるだろう、との指摘も紹介しています。以下、朝鮮日報と東亜日報から連続で引用します。各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<ロバート・エイブラムス前駐韓米軍司令官兼韓米連合司令官が、韓米連合軍の作戦計画(OPLAN)に中国対応案が盛り込まれるべきだと主張した。今年7月まで国連司令部・連合司令部・駐韓米軍を率いた米軍首脳出身の人が、韓米の戦争のための計画に対中作戦を含めるべきだと公論化したのだ。これは、中国を事実上、韓米の『敵』として規定するという意味だ。米中紛争が軍事的衝突になるのではないかとの観測が出てくる状況で、米国が、韓国に「同盟軍」としての役割を圧迫しているという解釈も出ている・・(朝鮮日報去年12月27日)>>
<<デイヴィッド・スティルウェル前国務省東アジア太平洋担当次官補は、2日(現地時間)東亜日報とのインタビューで、韓米が最新化すると合意した連合作戦計画(OPLAN)について、「中国によってもたらされる長期的な安保問題にも対処できるようにならないといけない」と明らかにした。韓米連合軍の作戦計画に、北朝鮮だけでなく、中国の脅威に対する対応が入るという意味だ。韓米外交情報筋たちの間では、この問題が韓米同盟の新たな争点に浮上するという展望が出ている。
特にスチールウェル前次官補は、米中衝突の核心として浮上した台湾問題と関連しても、(※台湾問題に韓国が寄与すべきだと思うのか、という質問に)「なぜ台湾防衛に韓国が寄与しなくていいと思っているのか」と反論した。スティルウェル前次官補は、米国合同参謀本部アジア担当副局長を経て、ドナルト・トランプ政権時代の2019~2020年、韓国など東アジア太平洋地域外交政策を総括する東亜太次官補を歴任した・・
・・(※以下、韓国の「戦略的曖昧さ」についての部分です)「『私たちに、米国と中国のどちらかを選択させないでください』という陳腐な話を、よく聞く。韓国は、民主主義と人間の尊厳性、法治主義を約束した時、すでに選択をしたのだ。中国を怒らせないことと、韓国と韓米同盟の利益を保護することの間で選択をするときは、安全保障分野だけではなく同盟協力全体の枠組みで理解しなければならない。
米国は日本に続き、韓国に二番目に大きな投資をする国家だ。米国と日本は韓国内外国人直接投資の40%を占める。中国は3%程度だ。米国企業は着実に韓国と手を取り、韓国が今世界で影響力を発揮する産業を発展させてきた。1960~1970年代フォードは現代と提携し、1970~1980年代韓国の半導体産業に始動をかけたのはモトローラとテキサスインスツルメントだった。これは、感謝しろという話ではなく、二つのまったく異なる経済協力アプローチに対する話だ。一方(韓米協力)は相互利益となる関係で、もう一方(韓中協力)は略奪的な関係だ・(今日、東亜日報)>>
象徴的な問題ですね。いままで在韓米軍は「対北朝鮮専用」としてきましたが・・この作戦計画の話は、北朝鮮と中国、米軍と韓国を明確に『分ける』象徴的な案件になるでしょう。もちろん、韓国が素直に応じるはずはないと思いますが、そんなスタンスが、さらに米韓関係を崩していく、そんな悪循環になるでしょう。
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