今朝、ソウル新聞に、日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中均さんのインタビュー記事が載りました。インタビュー内容全てに同意するわけではありませんが、『政権が変わるからって国家間の仲がよくなるわけではない。お互い、なんでお互いが重要なのかを考えないといけない』とする部分、記事の題にもなっていますが、この部分は『あ、それは本当にそうだ』と思いました。
<<・・韓国側は、日本の首相だけ別の人に変われば韓日関係が良くなると見て、日本側は文在寅政権が終わると改善されると思っているが、そんなものではない。 韓国と日本がお互いを必要な国家と認識し、関係改善に乗り出すと決意をしない限り、日韓関係の改善は容易ではない。 残念ながら韓国の5月新政府発足後も、韓日関係の改善は難しい(ソウル新聞)>>、などです。
それ以外は、同意する部分も、いや違うと思う部分もありました。一例として、田中氏は韓国警察庁長の竹島上陸で日本が共同記者会見を拒否したことに対し、そのスタンスを批判しました。私はあの記者会見拒否は必要なものだったと思っているので、この部分は反対です。
でも、田中氏は韓国側に対して『もし立場が逆なら、韓国でそう批判する人がいるのか』な趣旨を話しており、この部分に対しては私も「それはそうだ」と思いました。親日だうわあぁぁとか、結構叩かれて、本ブログで紹介されたり、そんな流れになったでしょう(笑
でも、案の定『日本で韓流ブームだから関係はそこまで悪いわけではない』という意見が出てきたのは、実に残念です。記者会見がどうとかというのは考えが違うこともあるでしょうけど、この『~が人気だから』は明らかな誤謬です。インタビューではこうなっています。<<日本では韓流ブームで韓国文化を楽しんでいる。コロナ19拡散前は韓国人観光客が日本をたくさん訪れたりもした。韓日関係が政治的には最悪の関係だが、経済と文化、国民交流ではそれほど悪い関係ではない。だが、音楽や映画など文化交流の側面から見ると悪くはないという話だ。問題は政治だ(同記事)>>。
数十年前から、韓国で日本文化がどれだけ人気だったのか。でも、それで反日思想が弱体化したのか。違うでしょう。中国の拳法映画が人気だった頃、中国と関係がよくなりましたか。違うでしょう。『楽しんでいる』だけです。『日韓関係は~』と思いながらドラマ見る人、そういません。よく引用する記事ですが、三国協力事務局長などを歴任した道上尚史さんは、「月刊中央」とのインタビューで、この件についてこう話しました。
<<私の親戚に、政治の話には関心がなく、韓国を何度も訪問したり、韓流ドラマを字幕無しで楽しんで見ている、そんな人たちがいます。 7〜8年前になりますが、その人たちが、私に「あなたが韓国業務をすることは、国家公務員だから仕方ないでしょう。でも、私たちは、もういいと思っているよ」、「仲良くすることが出来ないと、もう分かったから」と言いました。韓国に親近感を持っていた人たちが、こうなんです。韓国は、こういう日本の動きを「保守勢力の政治活動」としか見ていませんが、実際は、全然違います。
一例として、日本の高校生の海外修学旅行先を集計した統計があります。2002年から2011年までは、韓国が常に1位か2位で、全体の20%を占めていました。しかし、2012年以降、急速に減少し、上位から消えました。今は1%にもなりません。韓国に修学旅行に行く学生の数は、シンガポールの20分の1、オーストラリア、マレーシアの10分の1、ベトナムの4分の1です。私からしても、これは衝撃でした。修学旅行先は、学校で生徒と保護者、先生たちが相談して決めます。これは政治とは関係ありません。普通の日本人の心は、もう離れてしまったのです(月刊中央2021年10月号)>>
個人的には、道上さんの意見に同意しています。韓流ドラマも日本アニメも、ちゃんとした形で楽しむなら、それでいいでしょう。でも、『それでいい』だけに、それで『関係改善の可能性』『問題は政治』の根拠にはなれません。そういう意見こそ、見方にもよりますが、文化コンテンツの政治利用になりませんかね(ここは考えすぎでしょうか)。なにせ、政治は、世論に支えられるものでしょう、普通。
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