『相手の領域に足を踏み入れてこそ、自分の影響力を発揮できる』とする考え

拙著、特に日韓比較論において、『日本人は線を守る、韓国人は線を破る』という話を書いてきました。

デジタルタイムズというネットメディアによる新刊書籍紹介を偶然読みましたが、韓国で「線を超える韓国人、線を引く日本人」という題の本が出版されると聞いて、びっくりしました。著者さんについてはよく分かりませんが、同じことを考えていて、しかも表現がここまで同じだなんて、面白いものです。でも、よく読んでみたら、決定的に違う部分があったので、その部分を本題にしたいと思います。

本を読んだわけでもないし読む予定もないので、本エントリーはあくまで記事で紹介されている部分だけを範囲にしたいと思います。いわば、ソースはデジタルタイムズであり、『線を超える韓国人、線を引く日本人』という本ではありません。読んでない本にああだこうだ言うつもりはありません。以下、引用します。<<>>が引用部分となります。

 

<<韓国人は他人に自分の影響力を投射しようとする存在で、日本人は他人の影響力を受け入れようとする存在だと見る傾向がある。韓国の公演場は大騒ぎになるが、日本はせいぜい拍手を打つ程度だ。韓国にはいろいろな種類のヨク(※相手に攻撃性を持つ低俗な言葉)があるが、日本には特にヨクと言えるものがない。韓国人たちは大勢が集まるMMORPGを楽しむが、日本人は一人でコンソールゲームに熱中する。韓国には「プロ・不便ラー(※何でも不便だと文句を言う人)」が多いのに、なぜ日本人は空き家に戻ってきても挨拶をするのだろうか。

日本人は異世界を背景にしたアニメの中で葛藤を免れ、幻想の世界に逃避するが、韓国人は「イカゲーム」「ミナリ」で見られるように、痛みを伴う現実を直視して「関係」から脱出口を探そうとする。「ひきこもり」が日本人口の1%に達するという。彼らは社会活動を拒否し、親の助けを借りて生きていく。他人に被害を与えるかもしれないという恐怖に包まれ、他人の接触を避ける極度の「注意深さ」のためだ。

著者は、このような日韓の違いは「関係」に対する態度に由来すると説明する。韓国人は自分と他人の立場を自由に行き来できると思うが、日本人は自分を他人と明確に区​​別される存在とみなし、互いに被害を及ぼさないようにする。つまり韓国人は関係で線を超え、日本人は線を引くという説明だ・・>>

 

まず、アニメとゲームの部分ですが、『日本でもMMORPGやる人はやるし、韓国でもコンソールゲームやる人はやります』と言ってしまえばそれで終わりです。日本には、前から蓄積されてきたコンソールゲーム文化があり、韓国にはありませんでした。イカゲームなども、『似たような設定の作品』なら日本のほうが先です。こういう論拠は、あまり意味は無いでしょう。

繰り返しになりますが記事に書いてある部分だけだと、『韓国人は自分と他人の立場を自由に行き来できると思うが、日本人は自分を他人と明確に区​​別される存在とみなし、互いに被害を及ぼさないようにする』は、間違っていません。韓国人の場合、その『行き来』を邪魔されると、『私たちの関係はこの程度だったのか』と怒ります。借りたものを返さない心理とも、関係があります。『相手の領域にまで行き来できる』を紐帯関係、いわば『情(ジョン)』だと思いこんでいる人たちが多いですから。

私は、いままで拙著にこう書いてきました。韓国人は線を『破る』、日本人は線を『守る』、と。破った結果はどうなるのか。個人レベルだと優越感が味わえるかもしれませんが、社会全体で見るとストレスだけです。私はそれを『疲れる』と表現してきました。守った結果どうなるのか。私はそれを『楽』だと表現してきました。

なにせ、単に「超える」だけならともかく、結果は『相手をコントロールすること(ある種の上下関係を作る)』になります。引用部分にも影響力がどうとかの話がありますが、『他人の領域に入ってこそ、自分の影響力が大きくなる』と思っている人が多すぎで。

韓国にいたとき、生まれて、育ちながら、私は『韓国人』という定義を無数に強要されてきました。日本に来て、まだ5年ですが、私が感じた『これだけは守って欲しい』たる雰囲気(これはこれで書き方が変ですが、なんとなく感じられるオーラというかなんというか)は、『周りに迷惑をかけるな』だけでした。もちろん、ちゃんとした合法的手続きも含めて。そういうのも自分の守るべき線ですから。政治への直接的な関与(投票)以外では、日本の皆さんと同じ権利を享受できましたが、本当に『迷惑をかけるな』、いわば『線を守れ』だけです。

『超える(肯定的なイメージがある)』と見るか、『破る(否定的なイメージがある)』と見るか。『守る(肯定的)』と見るか、『引く(どことなく否定的なニュアンス)』と見るか。私は何の迷いもなく、『破る』と『守る』の差ですよ、と答えます。そう書いてきたし、これからも書いていきます。最後に余談ですが、韓国のニートに関するエントリーを書いたばなりなので、引きこもっている人に関する部分も、あまりピンときませんでした。

 

 

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