忘れた頃に出てくる、韓国の「日本を動かして、米国の対北政策を変えさせよう」論

対北政策において急な進展があった2018年頃は、日本を「蚊帳の外」とし、「この素晴らしい協力ムードに入りたいか?」と上から目線だった韓国。特に南北鉄道連結においては、日本は大陸進出のためにも、海底トンネルで、南北・中国・ユーラシア経済圏とつながろうとするだろうし、南北を中心とした新しい経済圏に日本を編入させることもできるだろう、とかなんとか、そんな主張がかなり出ていました。

ですが、それから南北関係、特に米国の対北政策が消極的になってからは、逆の意見が出るようになりました。どうしても日本を動かして、米国を説得させるしかな、という類の意見です。なんだかんだで、北が望んでいるのは、米国との対話です。でも、韓国だけでは米国が動いてくれないから(仲介とやらでも完全に失敗しましたし)、日本と一緒にやろう、というのです。大手でも教授や政治家を名乗る人たちが同じ趣旨の意見を出したりしますが、主に中小規模のメディアで展開されている主張です。

前に本ブログや私の拙著でも紹介したことがありますが、チュ・ジェウ慶熙大学教授の主張が、代表的です(色んな意味で分かりやすい)。教授は「問題は、現政府が渇望する対北政策(北朝鮮制裁の緩和など)と関連して、米国を動かすことができるのは、日本だ」としながら、「日本に対抗するには、韓国の周辺国を動かし、周辺国を相手するときには日本を動かす。これこそが、日本に勝つ外交だ」という趣旨を展開しています。ちょっと引用してみましょう。<<~>>が引用部分になります。

 

<<・・日本の対抗馬として、周辺国を活用することができる。周辺国に対抗するために、日本を利用することもできる。これが、外交で日本に勝つということだ。米国の対北朝鮮戦略において、核心は日本だ。米国が日本の立場を代弁するように見える理由でもある。米国が強硬な対北朝鮮措置を検討するときにも最優先的な交渉の対象は、私たちではなく、日本だ。北朝鮮住民のためでも、朝鮮半島の平和のためでも、私たちは日本との外交を避けることができない宿命である。韓半島の平和の仲介者として実利を取る最良の方法は、北朝鮮と日本の外交関係の改善を仲介することにある。日朝関係の改善こそ、対北制裁解除について、日本に米国を説得させられる、最高の名分である・・(2020年7月23日亜州経済>>

 

オチはちょっと後に書くとして・・チュ教授、中国関連ではいい意見も結構あるのに、日本、北朝鮮関連になるといつもこのパターンです。それからも数ヶ月に1回ぐらいは、いくつかのメディアで似たような主張を見てきましたが・・今日、また似たような主張がありました(※今回はチュ教授ではなく、ソース記事の記者が書いたものです)。<<・・米国は、今まででもっとも韓国と日本に依存している。韓日が同時に要求すれば、米国は無視できない。アメリカを説得したいなら、日本を説得すればよい。日本と調整された対北政策なら、強い推進力を得ることができるのだ。問題は、日本がなかなか応じてくれないという点だ。韓日関係の悪化の責任は韓国にあるので、題解の解決策決策を韓国政府が先に提示しなければならないという。「条件ある対話」だけを固守しているわけだ・・

・・日本が、譲歩を望んでいるのか、文在寅政府の敗北宣言かは分からない。時期政府になれは分かるだろう。日本と、どのように折衝点を探すか、今から多様な可能性を考えてみる必要がある。ただし、具体的な提案をする前に、「条件のない対話」から促す必要がある。日本が「条件ある会話」を要求するなら、「どんなことでも話し合いの扉は開かれている」とし、条件のない会話を繰り返し提案しよう。それでも日本がずっと応じないなら、その時にアメリカを見つめながら、こう言えばいい。「ボールは日本にある」、と(デイリアン>>

 

かっこよく書いたつもりかもしれませんが、最後の部分でちょっと笑ってしまいました。「それでも、ボールは日本にある」と言い残し、ホワイトハウスファンクラブ(どこにあるのかは分かりませんが)のほうに向かう文在寅大統領。画面が暗くなってスタッフロール、といったところでしょうか。3部作とか言っておいて続編の話はいつまでも出てこないタイプ・・かどうかはともかくして。2020年のチュ教授の見解より、さらに悪化している気がします。なにより、最近本ブログで紹介してきたキーワードがいくつも入っています。『日本を動かす』としていつつ、『米国は、韓国と日本に依存している』ってどういうことでしょうか。この矛盾こそが、『地位(位相とも言います)』への未練ではないでしょうか。というか、『事実上のG8』なら、こんなこと気にしなくていいのでは。2020年のものもそうですが、外交という領域で、そんな『自分が得するだけ』がいつまでも成立するはずないでしょう。ギブ・アンド・テイクですから。日本が要求しているのは、『国際法を守れ』だけです。

この記事を読んで、『賊反荷杖』という言葉を思い出しました。韓国側が日本に対してよく使う言葉ですが・・問題を起こしたほうが、むしろ『手を差し伸べたのに、日本は手を握らなかった。(アメリカの方を見ながら)ボールは日本にある』と言い出すとは。まさに「賊反荷杖(盗っ人猛々しい)」です。あ、これが本来の使い方か、と思いました。まぁなんというか、根はこれですよね。「日本は、韓国が思ったとおりに動いてくれないといけない。それが『正しい』」。この考えが精神世界に刻まれているかぎり、日韓がギブ・アンド・テイクの外交になることはないでしょう。本当は、ギブ・アンド・テイクこそが『外交の勝利』でもありますが・・

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