韓国の野党側、尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏と安哲秀(アン・チョルス)氏が、やっと候補単一化に成功しました。これで、ユンソクヨル氏の当選可能性が高くなったと言えます。
ちょうど昨日発売された拙著『卑日』に、私は「ほんの僅かではあるが、まだ与党の李在明(イ・ジェミョン)候補の当選可能性が高い」とし、「『国民の力』党が多少譲ることがあっても、候補単一化すればいいのに、まだ具体的な話がでていない」と書いたばなりです。その単一化が、タイムアウトギリギリで成立しました。むしろ反作用があるのではないか、という分析もあるにはあります。安哲秀氏が何度も単一化しないと公言していたため、支持者たちからすると『裏切られた』結果になる、というのです。ただ、一般論としては、今回の単一化で尹候補の当選可能性はかなり高くなりました。
ちょうどタイミングよく、『文大統領は、大韓民国において保守政権という存在を認めていない』という記事があったので、紹介したいと思います。彼にとって、韓国の政府は、臨時政府の次は金大中政府で、次が盧武鉉政府、文在寅政府の順になるというのです。それ以外は存在しない、民主主義で選ばれた政府ではない、と。本ブログでも、左派思想家たちにとって、韓国は「本来あるべき姿の『半分』で生まれた国にすぎない」と書いてきましたが、大手新聞(東亜日報)にここまでハッキリ書いてあるのは初めて見た気もします。こういうのも、任期末、政権交代の可能性を見計らってのことでしょうか。以下、東亜日報です。<<~>>が引用部分になります。
<<・・文政権は5年間、歴史清算を進めてきた。文大統領が任期最後の3・1節記念史で「金大中政府が初めての民主政府」と話したことは、実に意味深である。2日、大統領府国民疎通首席秘書官はこの部分について「初めて平和的政権交代を成し遂げたためだ」と説明した。国民をバカにしているのだろう(※韓国で一般的に『民主化』というと、大統領選挙が今のような直接国民投票制度に戻った1987年の選挙と、その結果で誕生した盧泰愚政府を言います)。李在明 共に民主党大統領候補もまた、「金大中、盧武鉉、文在寅政府に続いて4回目の民主政府を作りあげてみせる」と、盧武鉉大統領の墓の前で涙を流しながら誓った。彼が当選した場合、その政権が民主的にできた四番目になるらしい。
チェ・ジャンジプ高麗大名誉教授は、最近、東アジア研究院の「大統領選挙特別論評」にて、「文在寅政府の言う歴史清算とは、80年代の民主化以降、韓国の民主主義を支えた『協約による民主化』を破棄するという意味だ」と分析した。1970~80年代、執権勢力と民主化勢力の間で戦いが続いたが、そこで合意が行われた。それを「協約による民主化」という。その結果、1987年、民主主義で誕生した盧泰宇(ノ・テウ)政府が、協約による民主化によるものだ。
文政権は、2016年の「ろうそくデモ」を「ろうそく革命」と規定した。南北統一を志向する、民族主義勢力こそが、文政権である。彼らの目に、1987年の民主化で誕生した保守政権など、『日帝』とともに消えさらなければならない、『反』 民族な勢力だったのだ。李承晩(イ・スンマン)、朴正煕(パク・ジョンヒ)政府はもちろんのこと、民主化以後の盧泰愚、金泳三(キム・ヨンサム)など保守政府もすべてそうだ。私たちの歴史でそれらをすべて消してしまえば、臨時政府の次の政府は金大中政府になるだろう。それこそが、まさに文政権の歴史清算なのだ。3・1節記念演説で、文大統領は「3・1独立運動には南と北の区別はなかった」とした。韓国が人民民主主義共和国だとしても、金氏王朝によるものだとしても、分断さえ無くなればそれでいいという大統領の認識は、恐ろしい。そして危険だ・・>>
この記事を読みながら、今朝の「4つの顔」がなかなか的を射た分析だな、と改めて思いました。苦しめられたから、苦しむわけです。否定されたから、否定する。本ブログでは前からこの現象を『根本的には変わらず、二つの勢力の上下関係が入れ替わるだけ』と書いてきました。書き方は異なるけど、ほぼ同じ意味ではないでしょうか。韓国で生まれ育った者にとって、「グェリェ(傀儡)」という言葉は、恐ろしいものでした。本物じゃないという意味で、韓国は北朝鮮を、北朝鮮は韓国を、そう呼びました。正式な政府ではない、というのです。すなわち、『領土の半分を占拠しているだけ』の集団だ、と。
いまの韓国の左派側は、基本的に、軍事政権のときに『傀儡』北朝鮮の考えに同調する人たちでした。彼らもまた、あってはならない存在として扱われました。韓国の国民ではあるけど、それでも韓国人とは言えない、そんな存在として扱われました。『傀儡国民』とでも言いましょうか。そもそも右派勢力が当時のことをあまり反省していないし、左派勢力もまた、口では統合、和解を叫びながらも、考えているのは、相手側を『傀儡』にすることだけです。その過程で、「『反共』に同調しないのは韓国人ではない」という流れを、「『反日』に同調しないのは韓国人ではない」という流れに変えたのは、実に大きな成果を得ました。『反』の対象を、国(北朝鮮)から民族(日本)に変えたわけですから。これは、保守勢力の自業自得でもありました。高度経済成長期以降、韓国社会の民族主義教育や反日思想を容認し、利用してきたのが、保守勢力最大の失敗だったとも言えるでしょう。次の更新は、18時~19時あたりを考えております。
おかげさまで、拙著『卑日』が無事発売されました!本当にありがとうございます!
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